閉塞感を打ち破れ ~後継者・経営幹部ゼミナールより
掲載日: 2014年03月07日
激変する社会環境、経済状況、技術変化に適応し、勝ち残るためには「変化・変革」が不可欠である。そこで求められるのが経営者のリーダーシップと“決断”である。
厳しい現実を受け止めつつも自ら未来を切り開いていく後継者の育成は、自社のみならず業界の発展のためにも大きな意味を持つ。
JAGATでは、1984年以来
「印刷後継者・経営幹部ゼミナール」 を実施し、印刷会社の後継者および幹部育成のお手伝いをしてきた。第30期より現役経営者に自らの経験に裏打ちされた経営現場の生の声をお話しいただいている。
講演を引き受けてくださる経営者に共通するのは、
次世代を担う後継者に対して業界に漂う閉塞感を打ち破り、より良い印刷業界の未来を切り開いてほしいという強い願いである。5月9日に開講の第31期でも現役経営者にお話をいただく予定である。ここでは、前回の後継者ゼミから(株)
シー・レップ 代表取締役 北田浩之氏のお話しの概要を紹介する。
環境変化と経営戦略
北田氏が(株)ホーナンドーを創業したのは1990年で28歳の時である。当時はバブル経済の絶頂期で日経平均株価は3万9000円、印刷産業の総出荷額が8兆9000億円であった。いまは株価が3分の1、印刷業の出荷額は3分の1が失われて6兆円となっている。こうした時代背景の中、何を考え、戦略化し新しいマーケットにチャレンジしてきたか、当社の歩みを紹介したい。
創業時に3つの誓いを立てた。①毎年1億円ずつ売り上げをアップする。②新事業は部門ではなく関連会社として設立し、多くの経営者を育成する。③公私を区別し私利私欲のない開かれた経営を行う。そして、創業の精神として「選ばれる存在になるために」、また企業文化として「唯一不変なことは変化するという事実のみである」と掲げた。
2007年には、競争環境が厳しくなる中で、印刷会社のビジネスモデルに強い危機感を覚え、印刷だけに頼らない新しい事業を立ち上げようと、CIを実施し、自社の目指すべき姿を再定義し、経営戦略・戦術の策定を行った。
経営戦略を立てるに当たり、次の3点を考え抜いた。
① どこで戦うか?(マーケットは?)
② どのように戦うのか?(方向性と方針は?)
③ 何を大切にするのか?(どんな価値を提供するのか?)
その結果、ターゲットをSP市場にして、販売促進支援に特化した機能を分社化してシー・レップを立ち上げた。
シー・レップがお客様に提供する価値は“専門性”である。専門性を確保するためスクール/不動産/アミューズメントの各業界に特化した事業部制をとっている。
受講者へのメッセージ
成熟した産業において、その商品力が衰えていると感じた時、何を価値として提供できればお客様が発注したくなる要因となるか。経営者が真剣に考えなければならない。
既存のビジネスがうまくいかない。新しい何かを始めたい思いはある。しかし、何かを始めたからうまくいくわけではないし、うまくいく何かがあるわけでもない。だから何もしないではなく何かを始めよう。そして、始めた何かがうまくいくように試行錯誤を繰り返すことが次の何かにつながる。
印刷会社がお得意先様から期待されているのはコスト・デリバリー・品質だけでなく、その専門性にある。専門性とは印刷物そのもののことではなく、得意先理解のことである。もっと言えば「その先の顧客理解」のことだといえる。先の見えない今こそ、経営者がリーダーシップを発揮し、率先して「変化と創造」に向けて、手を打ち続けることが一番大切である。
(教育コンサルティング部 花房 賢)
2014年 5月9日~9月20日 全10回
印刷業および印刷関連企業の役員・幹部社員(候補)、後継者の方々を対象に
実務知識や事業計画作成のためのノウハウを学んでいただき、志のある仲間づくりをバックアップします。
詳しくは
コチラ
お申し込み、内容のお問い合わせは 教育コンサルティング部まで。電話 03-3384-3411 メール
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