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写真家 染瀬 直人 氏
今日は「ウェアラブルカメラの魅力と可能性」ということで、非常に注目されているウェアラブルカメラについて話をする。その代表格がGoProというカメラだが、それについては後程柏原氏から話があるので、私からはウェアラブルカメラ全般について、概要というか、どんな状況になっているかを話ししたい。
私も鹿野氏と同じで、スチールのカメラマンをやっていて、雑誌を中心に撮影していた。何年かするうち、スチールのカメラマンが動画の解説をする時代になったのか、鹿野氏と一緒に私も電塾で毎月一緒に動画の勉強会で講師をやっている。
もともと雑誌を中心に撮影していた。今、雑誌の仕事は非常に少なくなってきて、近年はWebサイトの仕事が多くなってきている。自分のホームページはこんな感じだが、項目がいろいろあって、雑誌の仕事では音楽誌の仕事などをやっていた。
もともと出身はファッション雑誌のスタジオにいて、ファッション誌の仕事もやったしタレントの撮影などもやったりしている。ミュージシャンや芸能人、グラビアの仕事などもやっていたが、近年はWebの仕事が多くなってきている。
その中でも、360°のパノラマというのを力を入れてやっている。これは今日の本題から離れるが、少し紹介したい。
今、主にやっているのはnippon.comという、日本の情報を海外に発信するというサイトで、日本語もあるが、英語やフランス語、中国語、スペイン語、最近はロシア語も加わって、そのテキストを各国語に翻訳して配信するというサイトである。
その中で主に、例えば世界遺産とか、東京のサブカルチャーとか、そういったおもしろい場所に出向いて360°のパノラマでそれを見せるということをやっている。
これは、オランダで画家のロッカクアヤコさんが個展をされたときに、ランダのロッテルダムに行ってそのの様子を撮影したものである。
このように360°すべて撮影して、それをステッチしてブレンドするという技術である。Googleストリートビューもそうだが、あれをもうちょっと高精細というかクオリティの高い形で見せていこうという形になっている。
このようにサムネイルが出ているが、これをクリックすると、また違う場所に移れる。これはiPadのようなタブレットとかスマホの端末でも見ることができるので、タッチ式のインタラクティブなものに非常に親和性がいいと思う。ズームもスマホやタブレット上ではピンチアンドズームをすればできる。私はこの表現に非常に注目していて、こういったことを今やっている。
それと、これは外の世界を360°ぐるっと見せていくが、逆に、商品なんかを見せたいという場合は、オブジェクトVRという手法があり、物をぐるぐる回して見せる。いろいろな角度から見られるというものである。
例えば、俯瞰で見せたり、後ろを見せたり、前を見せたりできるので、ネット上で物を見せる、商品を見せるにはとてもいい。物に限らず、人物を動かすこともできる。ウエディングドレスなど、結婚式のときにいろいろ悩んだりすると思うが、たくさん着替えたりするのは大変である。これなら後ろも見やすいし、ズームすることもできるので、インタラクティブにいろいろ操っていくことができる。
もう1つ紹介したいのは、シネマグラフという表現で、これは一見写真のように見えるが、屋根の一部だけ動いているという表現である。譜面のところとイヤリングが動いているが、それ以外は全部止まっている。
これは動画で撮ったものを、レイヤーとマスクを使って大部分止めていて、動かしたいところだけを動かしているという形になっている。動いているところにとても注目度が高まるので、これもWebで使うといい表現ではないかと思っている。
これはギガピクセルイメージというものである。今はカメラの解像度がとても高くなって、3000万画素とかになっているが、それをずっと細部にわたってズームして拡大しようと思うと、やはりモザイクになってしまう。
このギガピクセルという表現は、部分部分を望遠レンズで撮っていき、それをロボット雲台で次々に移動していく。それをまたソフト上に持っていって、ステッチしてブレンドしてオーサリングしていくと、莫大な量の超高画素の写真ができ上がる。そういった写真をつなぎ合わせて、それでズームしようということになると、こういった円形の1枚の写真が、ズームしても非常にくっきり見える。
これはカメラのもともとの画素数に依存するところがあるので、もっと高画素のカメラで撮ればもっとくっきり見えるし、いろいろ望遠レンズの組み合わせ方によっても、やりようがある。
これは風景だが、例えば壁画とか美術品といったものを複写する場合に、こういった技術を使うと、ただ単純に複写するだけではなく、細部のディテールがはっきり見えるので、これもなかなかおもしろい技術ではないかと思っている。今、私はそのような仕事をしている。
今の表現というのは、写真と動画の中間の狭間にある表現だと思う。そのこちら側にある動画の表現の中で、今注目されているものの1つにウェアラブルカメラがある。
ウェアラブルカメラはたくさん呼び名があって、アクションカムと言われることも多いし、スポーツカムとかオンボードカメラ、マイクロカムコーダー、アクティブカムとか、いろいろな表現、いろいろな呼び名が出てくる。定義としては、身に着けられるほどの超小型デジタルカメラであると言えると思う。
その辺の話は、先月発売された『COMMERCIAL PHOTO』の特集でも私が執筆させていただいた。柏原氏にもだいぶ協力していただいたが、今日はここに書いていないこともお話ししたい。
ウェアラブルカメラの特徴としては、超小型で非常に軽く、高画質、広角撮影である。120°とか、ものによっては170°くらいのものもある。これが受けた1つの理由としては、広角レンズにも関わらず、非常に多機能である。GoProの創始者が「世界最高の多目的カメラ」と言ったが、まさにそれくらい高機能である。
また、防水性能が高い。水深60メートルくらいまで潜ることができたりする。あとは耐衝撃、防塵、耐低温と、非常にタフに作られている。
カメラ本体は小さいが、いろいろなアクセサリーが豊富に出ていて、それを使うことによってまた違った使い方ができる。最近ではGPS機能が付いていたり、Wi-Fiで、スマホでプレビューしたり、リモコンを使ったり、ライブ配信をしたりといった使い方ができるようになっている。
撮影という部分で特化して考えると、動画、静止画は当たり前だが、スローモーションもできる。ものによってはスーパースローモーションといっていいくらいの超スローモーションでありながら画質もきれいというカメラもある。
あとはTime Lapse、つまりインターバル撮影で、要するにコマ撮りしたものを圧縮して見せる。長い時間の変化を短い時間で見せることができる表現でTime Lapseというものが、今動画投稿サイトでも非常に流行っているが、それが撮影できる機能を持っているものが多い。
GoProに関して言うと、3D機能を持っている。GoPro2台をハウジングの中に隣り合わせにくっつけて、1つは逆さまになっているが、このような状態で同時に撮影して、これを3Dに編集して見せる。それをYouTubeにそのまま上げることもできるし、おもしろいことができたりする。
それと、GoProの、最近かなり出たHero3というのは、なんと4Kの動画までこの小さなカメラで撮影することができる。フレームレートは制限があるが、そういったことができるようになってきている。
用途としては、サーフィンなどのマリンスポーツ、スキーなどのウィンタースポーツ、あとは車に積んで、車載カメラとして使う。同じように、マウンテンバイクとかスカイダイビング、ロッククライミング、あとは海や川でカヤックに乗せて使う。
こう言うと、スポーツの撮影ばかりなのか。あまりスポーツをやらないので無縁なのかと思いがちだが、使い方によってはとてもおもしろいことができる。UAVというのも、今動画投稿サイトで非常に流行っている。
ラジコンのヘリコプターとかマルチコプターにカメラを搭載して空中から撮るという使い方とか、本物のヘリコプターを飛ばすまでもなく、無人でリモコンで操縦して十分いい絵が撮れる。しかもカメラは軽いのでそんなに大きなラジコンのヘリでなくても大丈夫ということがあったりする。
カメラが小さいので、あまり被写体に圧迫感がないということで、被写体にカメラを意識させたくないような撮影、ドキュメンタリーなどで使われたりしている。実際、新聞社でも今Webサイトをやっているが、そういうところで記者がGoProを使うということが結構あるようだ。
あとは爆破シーンなど、危険を伴う撮影。爆破シーンの場合、カメラが壊れてしまうリスクはあるが、ウェアラブルカメラは値段的にも3万円前後が多く、1つの単価としてはとても安いので、こういった危険なシーンでも躊躇なく投入することができる。
それから自分撮りをするにも、マウントに付けて自分に向けて撮る。移動しながら撮るということもできるし、一部のカメラだがUstに配信する、要するに外部ストリーミングとしてWebサイトに中継するという機能があるものもある。
では、どのようなカメラがあるかというと、まずウェアラブルカメラの火付け役というか、ブレイクさせた1つのカメラがGoProである。一番最新のモデルはHero3で、3つのラインナップがあり、最高機種のBlack Editionでは最大4Kの動画が撮れる。
GoProという名前はよく聞くが、それだけではなく、他にもたくさんのウェアラブルカメラが出ている。去年から、国内のメーカーも参入している。ソニーのHDR-AS15というカメラもあるが、最初に出ていたのはJVCのカメラだろう。多くの場合、カメラにモニターが付いていないので、付属として後ろに着けるモニターを新たに購入しなければいけないが、このJVCのカメラはモニターが内蔵されている。
それから、GoProの場合は水深60メートルまで使えることになっているが、カメラだけの状態では1メートルでも水に浸けることができない。しかしJVCのカメラは裸のままの状態で水深5メートル潜れる。ハウジングなしで撮影ができるということは、その分、フィルターがない状態で撮影できるので画質がいいということになる。そういうアドバンテージがあると思う。耐震、耐低温、防塵ということもうたっていて、タフに作られていると思う。
ソニーのほうは、電子式手ブレ補正機能が入っている。他にも手ブレ補正機能が入っているカメラはあるが、その中でも性能がいいのではないか。レンズはカールツァイスのテッサーレンズを使っている。
最近出たのがパナソニックのカメラで、5月1日発売で出たばかりである。これは完全にボディーとレンズの部分が離れている。耳にかけている絵がメーカーのサイトにも出ているが、よりウェアラブル、装着感を重視したモデルになっているのではないか。
この他にも、海外のメーカーでたくさんのウェアラブルカメラが出ている。この辺は、量販店にアクションカムコーナー、ウェアラブルコーナーというのが結構それなりの大きなスペースをもって常設されているので、そこでも見られたりする。
その中でも人気があるのはContourというアメリカのカメラである。特徴としては、ここに非常に大きなシャッターのボタンがある。ウェアラブルカメラというのは、動きながら使ったりスポーツしながら使ったりするので、スイッチを入れるのがやりにくかったりするが、その辺のオンオフも使いやすい。また、GPS機能を搭載しているので、マッピングに反映したりすることができるという特徴がある。
次はDRIFTというカメラだが、これも少しJVCに似ていてモニターが内蔵されている。レンズが300°の回転レンズとあるが、例えば斜めにしか設置できないような場面で、普通は雲台で調整しなければいけないところを、このカメラだとレンズを回転させることができるので、斜めの状態でも画面上で補正することができる。垂直を出すことができるという特徴がある。
他にもおもしろいカメラがある。Cam One Infinityは、レンズが交換できる。プロのカメラマンが撮影する場合というのは、何しろ失敗できないということがあるが、Wカードスロット、つまり2枚カードが入るので、バックアップをとることができる。そういった意味では安心というウェアラブルカメラがあったりする。
このカメラは高品質6枚レンズで、アメリカ軍とか警察の意見を反映して作られたと言われているが、非常にタフな作りになっている。
このメガネは、メガネにカメラがくっついているが、UDCM310というもので、このまま水深10メートルまで潜れる。このようにいろいろなカメラがある。
また、つい最近、ポラロイド社から新しいカメラが出た。GoProのように3つラインナップが出ていて、微妙にそれぞれ特徴がある。ケース不要で10メートル防水とか、20メートル防水というのはとてもアドバンテージが高いと思う。
それと、おもしろいのは、LEDライトが搭載されているので、照明も自力でできる。それと、モーション検知による撮影開始という機能があるので、これを使えば、動きによって撮影が始まるということが可能である。
一番下はタッチパネル式の2インチのモニターが付いてくる。これはアマゾン限定で4月から発売になっている。このように、非常にウェアラブルカメラは業界としても盛り上がっていると思う。
ウェアラブルカメラは、非常に高機能であると同時に、アクセサリーがとても豊富だというのがブレイクした理由としてあると思う。このようにヘルメットに取り付けたり、槊ションカップ、吸盤でどこにでも取り付けられるようになっていたり、チェストで身体に付ける、例えば胸のところに付けたり、写真にはないが腕に付けたり、いろいろなところに付けるためのアクセサリーがある。
これはいいなと思うのは、Hero3で出たネイキッドフレームである。水中に潜らせるにはハウジングが必要になるが、そうするとケース越しに撮ることになるので、裸で撮ったほうが画質がいいということがある。その場合はネイキッドフレームを使えば、ケース越しでなく撮ることができる。
ウェアラブルカメラはとても小さいので、普通に写真を撮るとか動画を撮るという使い方にはちょっと使いにくいかもしれない。このように、いろいろなマウントを使ったり、チェストを使ったり、いろいろなアクセサリーを使ってどこかに付けることによって効果が出てくるというか、威力が発揮されるのではないか。
最近おもしろいアクセサリーが出た。これはソニーのアクションカムに付く、ウェアラブルカメラに付くアクセサリーだが、犬の背中に付けて、犬の目線で撮影するというものである。これが結構今売れているようだ。
実際どんな感じか見てもらうと、一生懸命てくてく歩いている。犬の目線で、犬がどんなものを見ているのかというのがわかる。他の犬と出会ったり、こういうふうに見ると、また一緒に散歩するのが楽しくなるのではないか。これはとても売れているらしい。
次に猫に付けるハーネスが出るのかというのが今話題になっているが、これもおもしろい使い方と言えるのではないか。アイディア次第でいろいろな見せ方ができるのがウェアラブルカメラのおもしろいところだが、ついに人間ではなく動物に付けるものが出たということである。
何がメリットかというと、手ぶらで撮影できる。主観影像、見た映像ができる。ということは、迫力や臨場感が出る。自分が体験したかのような映像が撮れるということになる。ヘルメットやゴーグルに装着する。
小さいので持ち運びが容易である。小さいにも関わらず、多機能、高性能、高画質。フルHDは当たり前である。一部、フルHDが使えない機種もあるが、今や4Kにまで手が届いている状態である。
先ほどの犬の映像ではないが、アイディア次第でいろいろ可能性がある。今まで見たことがないアングルとか、そういったものが撮れるというのが、受けている理由ではないかと思う。
私がおもしろいと思った作例を紹介したい。本当に完全一人称で全部作っているアクションドラマ仕立てのとてもいい迫力のあるVimeoに上がっていたビデオがある。お見せしたいが、アクションが残酷なシーンがあったりするので、こういう場でお見せするのは差し控えるが、銃撃戦があったりして、最初から最後まで主観の映像で撮っているので非常に迫力がある。そういったものが今話題になったりしている。
それから、ブライダル、結婚式で動画を撮ったりするというのはよくあるが、花嫁のブーケにウェアラブルカメラを仕込んでいて、そこの位置からずっと撮っていると、花嫁は大概ブーケを持っていることが多いし、持っていなくても高砂のそばに置くということがあると思うので、主役に近い映像が撮れる。これもおもしろいアイディアだと思う。
それから、360°のビデオ。先ほど私の作品で360°パノラマの静止画を見てもらったが、あれの動画版が出てきている。これを撮る場合、レディーバグという、何千万、何百万という高いカメラもあるが、今はウェアラブルカメラを複数台使って、それで全方向360°の動画をステッチしてブレンドして、なおかつインタラクティブに見られるようなビデオも作られている。そういう意味で非常に注目されているカメラである。
作例を見てもらいたい。これはGoProを十何台使っている。いわゆるバレットタイムという表現があって、映画の『マトリックス』のような絵が撮れる。ところどころでこの表現が使われるので、見逃さないようにしてもらいたい。
このようにカメラをたくさん使うと、たくさんのカメラの視点をストップモーションのように、時間を自由に、このような状態でパンしていける。こういうユニークな表現ができる。これがバレットタイムである。高いカメラを使うと何十台も使うのはコストがかかるが、GoProでやれば非常に低予算でおもしろい絵が撮れる。
これはフラフープにGoProを付けて撮影した動画である。これは動画投稿サイトで大ヒットで、前作は400万回、今日お見せする新作は58万回も視聴されているというものである。本当にアイディア次第で見たことがないようなものが撮れるというのがわかると思う。フラフープが回り出すとおもしろい映像になる。効果的に使われている1つのいい例ではないかと思う。
もう1つは、長崎県の軍艦島でソニーのアクションカムを無人飛行のマルチコプターに付けて撮影した動画である。私もそのロケに同行して、私はパノラマの撮影をしていたが、その傍らで撮影していた映像がこれである。ついこの間行って来た。
これもYouTubeにアップされるや否や、今61万回くらい視聴されている。これもヒットと言っていい作品ではないかと思う。軍艦島というのは、今はとても危険なので、実際に上陸できるエリアは本当に島の端のほうである。廃墟がたくさんあるところは立ち入り禁止だが、特別の許可をもらって撮影した。
マルチコプターとかアクションカムを使うことによって、高いところから撮ったり、入れないような危険なところに行ったり、細い、普通のカメラが入れないようなところも潜って行ったり、いろいろな視点で撮れる。これもアクションカムというウェアラブルカメラを有効に使った1つの例ではないかと思う。
こういったおもしろい映像がたくさん動画投稿サイトに上がっているので、見ていただければと思う。
動画共有サイトについては説明するまでもなく、皆さん親しまれていると思うが、1つの重要な環境であるので、ちょっとおさらいしたい。2005年頃登場したと言われているが、YouTube、ニコニコ動画、Vimeo、デイリーモーション、Googleビデオとあるが、これ以外にも結構ある。中国は中国のYouTubeのようなものがあるし、アメリカ、ヨーロッパ独自のものもある。
これが出たことによって、音楽業界とかテレビ業界には、良くも悪くもいろいろなインパクトがあったと思う。その後、2007年にはUstreamといった生の配信が開始された。2008年にはアメリカの大統領選挙に動画共有サイトが使われた。2009年には、これは動画共有サイトには限らないが、インターネットの年間広告費が新聞の広告費を抜いたということがあったりした。
今年の話でいくと、3月にYouTubeの月間ユーザー数が10億人を上回った。そして、ちょっと重要なニュースだと思うのは、5月9日、これはアメリカ限定だと思うが、YouTubeが有料配信サービス、課金制を導入した。これは製作者の要望により月額99セントからとなっている。今はジャンルに制限があるようで、スポーツとかそういったものに限られているようではあるが、有料で直接配信する。
今まで、間接的に広告収入的に、そのチャンネルを持っている人が収入を得るということはあったと思うが、自分のコンテンツによって直接利益を得ることができるようになったというのは大きなニュースではないかと思う。
動画コンテンツの利用は、インターネットとか電子書籍、電子書籍といっても動画も入るし、電子教科書、教科書ともなると従来の紙の教科書とは違うので、3Dとかインタラクティブな表現とか動画とか、適材適所というか、目的に応じていろいろな表現が使われるのではないか。電子カタログや電子マニュアルもそうである。
スティーブ・ジョブスが、亡くなる前に「テレビと写真と教科書を再発明する」と言ったと言われているが、それはとても重要な言葉なのではないかと思ったりする。
先ほど鹿野氏からも説明があったが、デジタルサイネージとか、今話をしたような動画共有サイトの公式チャンネルとか課金チャンネルとか、そういった形で動画をどんどん使っていったらいいのではないかと思っている。
究極のウェアラブルカメラがもうすぐ出るのではないかと思っている。それはGoogle Glassというものである。カメラだけが目的ではないが、ウェアラブルテクノロジーデバイスというジャンルというか、そういったものに当たるらしい。
Google Glassで何ができるかというと、静止画や動画の撮影ができる。つまり、メガネをかけている状態で写真を撮ったり動画を撮ったりすることができる。それをGoogle+という、Facebookのようなコミュニティ、SNSで共有できる。
カメラ以外の機能は、音声で検索することもできるし、ナビゲーションとかメッセージの送受信、電話の受信、天気の検索とか、テレビ会議などでGoogle Hangoutを使っているところもあるようだが、そういうこともできる。
OSはandroidを使っていて、カメラの機能としては5メガピクセル、動画としては720Pのハイビジョン。ストレージは16GB、実際ユーザーが使用できるのは12GB前後と言われているが、あのメガネの大きさにしてはそこそこのスペックだと思う。
これは既に開発者プログラムとしては売られているが、一般に販売されるのは今年の末か来年くらいと言われている。これはこれ自体がスマホに成り代わるわけではなく、やはりスマホとかWi-Fiネットワークと接続して使うという使い方になる。
Google Glass越しに見た絵というのが、ちらほら出ている。やはり、いろいろな情報が出ているということである。音声でいろいろ指示をしたりして、こんな感じで写真を撮ったり、動画を撮ったりして使っていける。
そうなってくると、写真や動画の表現というものに非常に影響を与えていくのではないかと思うし、メディアに与える影響もとても大きいと思うので、iPadに次ぐ重大な出来事というか発明というか、そういうものではないかと思う。これが発売になったら、私は真っ先に買いたいと思っている。
おもしろいアクションカムの使用例を紹介したい。これはトロンボーンにウェアラブルカメラを付けたもので、皆さん笑っているが、結構人気がある。アイディア次第で、いろいろな見たことがない絵を撮れる。例えばお祭りで、もし付けていいということであれば、御神輿のところに付けて担いでいる人の絵を撮ったり、いろいろなアイディアでおもしろい絵が撮れると思う。
プライベートでも仕事でも、このウェアラブルカメラを使っていただいて、皆さんも見たことがない映像を活用していただければと思う。
2013年5月14日TG研究会「動画コンテンツの活用とビジネス」より(文責編集:郡司秀明)