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私自身写真屋にいて、その前も写真の勉強をしてここまで来ており、映像(動画)に関しては何も知らなかった。この会社に入って、カメラを売って生きていくのだろうと思っていたが、気付いたらこういう話(動画を含めた拡写真)をするような立場になっていた。
それには4年くらいかかっているが、いろいろな失敗をして、映像をたくさん撮って、ここまで来ている。何でもそうだが、いきなりうまくなるわけはなく、最初は「なんじゃこりゃ」というものを撮ったり編集したりしてここまで来ている。
先ほど、「映像を撮ったことがある人」「カメラを持っている人」という質問があったとき、ほとんどの人は手が挙がらなかったので、ここで「このカメラはすごい」という話をしても、多分あまり伝わらないと思う。特に「それを仕事に、こうしていこう」という話をしても、全然イメージが湧かないと思うので、非常に失礼な言い方かもしれないが、コンシューマ相手のような話をしていければと思う。「まず趣味から入りましょう」というところが、今日の落としどころかなと思っている。
そうはいっても、印刷業界は厳しいと言われている。その中で電子書籍とか電子マガジンに映像を入れていこうとか、そういった話が盛んにされている。Adobeデジタルパブリッシングプラットフォームがすごく騒がれているし、我々も、ああいうものを見たり社内で作ったり、映像コンテンツを入れていって、スライドを作ったものをもう少しインタラクティブにして教材にしていこうといった提案をしたりもしている。
そこでうまくいった事例を1つ挙げよう。ユネスコと一緒に、文化財というか、街を保存するための映像作品を作っていこうという話をしたことがある。街をよく見せるのなら、その街に住んでいる人たちが一番知っているだろうと考え、街の人たちを集めて、デジタル一眼レフに触ったこともない人たちにデジタル一眼レフを貸して、実際に撮ってみよう、編集してみようということで、3日間ワークショップという形でやって、グループに作品を何本か作ってもらった。
そういったところから、何もやったことがない人たちが何かを作っていくという過程は、なかなか大変ではあるがそんなにすごくハードルの高いことではないと思う。そうはいっても、ある程度機材が必要だったりする。
そういったときに、GoProをはじめとするウェアラブルカメラは、3万円くらいからある。もう少し高いものも安いものもあるし、車と同じで、ちょっとずつオプションを足していくと結局結構高かったみたいな話になりがちなので、ある程度の金額で、いい作品を少しずつ作っていこうというところの導入として、すごくいいカメラだと思っている。今日はそのご紹介を簡単にしたい。
GoProとは何かというと、ウェアラブルカメラ、POVカム、アクションカムという名前で呼ばれている。POVというのはポイントオブビュー、視点という意味である。「ここに付けて撮れる」というのがPOVという意味になる。ウェアラブルは「纏う」、アクションカムは「衝撃を与えても大丈夫」といった意味である。
実際にお客さんで、「これを気球の上から撮ってたら落としちゃって、100メートルくらい落としちゃったんだけど」と言われたときも、ハウジングは割れたけれども中は大丈夫だったというくらいの感じである。
また、実際にF1とか、そういったものにマウントして走って、ぼろっと落として後ろの車が轢くといったこともよくあるが、中のメディアがSUNディスクなら大丈夫みたいな話と同じで、わりと映像が残っていたりする。カメラは壊れてしまっても、そこまでの記録はちゃんとできていたというのがわりと多くある。
F1などを見ていると、「何グラム削りたい」というような話がよくある中で、大きいカメラは乗せられない。そういうところにも、こういうものだったら入る。バイクなどもあまり重いものだと傾いたりするし、ヘルメットに重いものがたくさん付いていたら乗るのも大変という話もある。そういうところにも100グラム切るようなカメラであれば食い込んでいけるというのがメリットである。
今や、GoProはテレビ映像とか映画にも使われている。ハイクオリティではないと思うが、そこにしか仕込めないとなったらこういうものを使わざるをえないというか、選んで使っていただいているとは思う。本当に世界中どこに行っても見られるくらい、みんなが持っている。プロも持っているしアマチュアも持っている。
そのカメラがどういうふうにここまで来ているのかというのは、結構おもしろい。2005年、最初は35ミリフイルムカメラだった。社長がサーファーで、「自分撮りしたいが、カメラが壊れるので防水にした」というところから始まっている。
そこから2年たって、Digital HERO 3、その次の年にDigital HERO 5が出た。今よりちょっとダサいようだが、いわゆるおもちゃカメラの分類だった。記録はVGAだったと思う。お店では、カメラカテゴリーでものを売っているというよりはトイカテゴリーで売られているというような側のクオリティの製品であった。
ブレイクスルーは2009年である。GoPRo HD HEROで、いきなり2009年にフルハイビジョンが撮れるようになった。これは当時かなり画期的だった。他の、こういうハンディカムですらフルハイビジョンを乗せていなかった時代に、ランボルギーニがやってきたような感じで、本気のカメラが出た。これより少し、前から見た大きさは同じだが、後ろは少し大きくなったくらいの大きさであった。
これが前のものに比べると、「ちょっと格好良くなったし、なんかすごい絵が撮れるらしい」ということで売れ始めた。特に2009年、5Dマーク2とか、あの辺が流行り始めて、「動画、動画」といろいろな人が騒ぎ始めた時代だった。YouTubeなり何なり、ユーザーがアップロードするような、コンテンツを簡単に見られるようなところが非常に増えてきた。そういうところも手伝って、このカメラは爆発的に売れた。
それから2年たってHD HERO 2が出た。形は同じだが、性能が非常に良くなった。画質も非常に良くなったということで、これもすごく売れた。買い替えの人が非常に多かった。これはハウジングに入っているのと入っていないので見た目が違うかもしれないが、形が同じだったので、ハウジングとかアクセサリーが共用できるということで、買い替え、買い足しということでテレビ局とか映像制作の人をはじめ、たくさん揃えている人も買い替えやすさということで、どんどん買い替えが進んで行って、これもよく売れた。
去年、GoPro HD HERO 3が発売になり、4Kが撮れるようになった。こんなに小さい。ハウジングに入れておけば落としても平気という話だが、どんどんいろいろなところが良くなってどんどん小さくなっている。
他のウェアラブルカメラ、ソニーとかパナソニック、JVCと何が違うかといわれると、「そんなに違わないが、形が違うかな」というくらいの話である。しかし、それは一番大事だったりする。
操作系がどうだとかいうのは、やはりユーザーインターフェースは皆さん気にされるので、今までと同じように操作できるとか、同じところで見られるとか、そういったことで選ぶ人も非常に多い。ただアクセサリーが小さくなってしまったというのもあって共用できない部分もあるが、それでも「やはりGoProがいい」と言って選んでいただける人が非常に多いように思う。
どこにでも付くというのが一番である。ヘルメットにどうやって付けるかというと、両面テープで付けるマウントを売っている。サーフィンに付けようと思うと、サーフィンに付けるものを売っている。吸盤で付けるものも売っている。三脚に付けるマウントを売っている。腕に付ける、胸に付ける。いろいろなところに付ける。GoProは犬用はないが、それを代用できるようなものは何か考えればできるのではないかと思う。
じゃあ、ここに付けるためにどうすればいいかと思ったとき、「大きいカメラはここには付かないから、ここに足を立てて取ろうよ」というのではなく、「ここだったらこのアクセサリーを付ければ付くよね」というところから自由なアングルを探すことができるというのが、今までにない映像表現するための1つの価値だと思う。
3Dについては、HERO 3はハウジング、アクセサリーが違って撮れないが、HERO、HERO 2までは3Dが撮れた。多分もう3Dは流行らないだろうというのが世の中的な流れで、3Dから4Kに移行しているので、ちょっと置き去りにされている感がある。
SDカードが2枚本体に入って、撮影のボタンも1つ押すと両方のカメラが連動して、データをコピーして専用のソフトで勝手に偏向メガネ用とか赤青メガネ用とか赤緑メガネ用とか、やるだけで、出力すると、もうそのまま書き出しができるという簡単なソフトも付いていて、3Dが簡単にできた。
3Dの撮影というのは非常に大変である。視差を使うとか距離がどうかというので破綻を起こしやすいが、コンシューマでも簡単に3Dが撮れるというのは、こういったものがないとできないのではないか。
小さいからできるというのは、あまり距離が離れると一体感がなくなってくる。このセンサー同士を人間の目に近くできる。それは小型だからできるということのメリットなので、それも生かしている。
それから、Wi-Fiを使ってiPhoneやiPad、もしくはこういうリモコンが専用であるが、こういったものでコントロールできる。少し遅延があるが、これで見るとここに映っているものがここで見られる。それからここで記録の設定、解像度といったものを簡単に変えられる。
これはプロの方だが、現場で仕込んだ挙句、触れないとか、壁の面についてしまってこちら側が見えないとか、どういうふうに絵が今映っているのかわからないといった話があると、ここでチェックできるのはかなりメリットがある。
これはソニー純正のものもできるようになっているものが多いので、最近はこういうWi-Fiを使ってコントロールできるというものが増えている。ただ電池をすごく食うので気を付けていただきたい。
今の、タイヤトルクの中に仕込むというのは普通のカメラにはできないし、Bullet Timeが使えるとか、そういういろいろな撮影が簡単にできる。これはBullet Timeを見せたかった。海の映像なので、普通のカメラではなかなかこうはいかないというのを見ていただきたい。よく見ると、各個体ごとに若干映像の色が違う。それはしょうがないが、その辺についてはこの後説明する。
水の中もすぐ撮れる。買った状態でこのままである。パッケージにこのまま入っているので、このまま水に落としても大丈夫である。一緒にお風呂に入っても大丈夫なので、60メーター防水なので、ほとんど素潜りでも絶対潜れないし、ほとんどの人が使う範囲では、ちゃんとパッキングにはまっていれば使えるということで、「カメラを買います。海に行きます。ハウジングも買わなきゃ。ハウジングがカメラと同じ値段です」ということが普通よくあるが、そういったこともなく、いっぱい使おうと思えばたくさん買って並べればいい。安いというのが一番である。
1,080といわれるフルハイビジョンをフルフレームで撮れるというのは、今までありえなかった驚異的なことである。それから4K12フレームもしくは15フレームというのは、まだちょっとフレームのレンズは足りないが、使い方によっては十分使えるのではないか。視聴環境があまりまだないので、これをどういうふうに使うかというのはユーザーの使い方次第である。
それからWVGAの240フレーム撮れるということは、例えば30フレームに変換すると8倍スローが撮れるということである。この量でスロー映像が撮れるのは、あとEXIVくらいしかない。普通はハイスピードカメラというのは何百万、何千万とするようなもので、例えば「陸上競技場で幅跳びしてるところをちょっと撮ってこよう」といって簡単に撮れるというのは、3、4万のカメラではちょっとない。
それから、1,200万画素/30フレームバーストというのができる。私は日曜日に浅草に行ったが、外国人がこうやってGoProで写真を撮っていた。「ああ、そういう使い方もあるのか」と、私は正直思ったが、1,200万画素で静止画を撮ったら普通のデジカメなので、これで写真を撮ってもいい。ただズームができないので表現次第だとは思う。
その1,200万画素を、1秒間30フレームだけだが、1秒間撮り続けることができるというのはすごいことだと思う。D4でも10フレームしか撮れない。そういう感じなので、使い方によっては、ちょっとイメージが湧かないが、「ハイチーズ」で押しておけば、「目を閉じていないかな、1枚ぐらいは」という使い方もできるだろうし、他にもいろいろな使い方ができるのではないか。
Time Lapseは、時間軸を圧縮する。先ほどはスローという、時間軸を伸ばすということができると言ったが、今度は時間軸を圧縮することもできる。
一眼レフと違ってミラーがないので、うるさくないし、電池は食わないし、物理的な消耗がないので、しかも雨が降っても大丈夫ということで、外で放っておける。一眼レフを放っておいたらずっとそこで待っていなければいけないという話になるが、とりあえず置いておいて、「まあまあ撮れてるんじゃないか」みたいな使い方ができるというのはメリットではないか。
これは去年の夏、撮ったものだが、三脚の上据え付けるとき、それもトライポッドアダプターという、三脚のねじに変換するものを忘れていって、付かないという話になって、とりあえずテープで止めておいた。軽いから、それでもちゃんと撮れる。普通はそういう使い方はできない。これを撮った映像は後で見てもらう。
それから、1,200万画素あると言ったが、最終的な映像に出すとき、フルハイビジョンというのは約200万画素なので、Time Lapseでもそんなに要らないという話になる。例えば大きい写真を撮っておいて、切り抜くということができる。写真を切り抜いて、たとえばこういうふうにフレームを動かしていくことで、疑似的にスライダーを使っているような絵が撮れる。静止画を切り抜いて映像にするという使い方である。
耐衝撃、耐水というのは先ほど説明した。完全に壊れないわけではないが、普通のものよりも衝撃に強い。それから水を被ってもハウジングに入っていれば大丈夫である。
Bullet Timeのシーンは、こういうふうに持って撮る。360°動画も、こういうふうに、5台か6台はめ込んで撮ると、全周が撮れて、後でステッチすれば360°パノラマの動画が撮れる。これはGoProの機能というよりはハウジング側の問題である。
アクセサリーがたくさんあるということで、いろいろなところにマウントできる。どこにマウントするにはどうすればいいのかと考えるくらい、たくさんマウント類がある。これをちょいちょい買い足していくと、今回の撮影にはこれが使えるということで選んでいただけるだろう。
本体も3種類あって、値段が違って機能も若干違う部分があるので、その辺はスペック表などを見ていただければと思う。
メリット、デメリットということで、私はGoProの人間ではないので、デメリットもちゃんと言わなければいけないと思うが、とにかくGoProは壊れない。そして小さい、またセンサーサイズも小さい(これはデメリットでもあり、メリットでもある)。
先ほど鹿野氏はセンサーサイズが大きいから良くなったと言っていたが、センサーサイズが小さいからいいこともある。被写界深度を稼げる。ここからあそこまで、何もしていないのにピントが合うというのは、それはそれでメリットである。
一眼レフでここからそこまでピントを合わせるのに、F16まで絞っても来ないという話になると、16まで絞ってこの辺は撮れないということになってしまう。それはもうセンサーが大きいから仕方がないと諦めるしかないので、そういったときにはこういったものが非常に役立つだろう。
ただ、普通はできることができないということがいろいろある。露出のコントロールができない。Fをいくつにしようとか、シャッタースピードをいくつにしようということは、最初から選べない。絞りも選べない。焦点距離も固定である。記録ファイルの連番のリセットすらできない。何もできない。
ある程度できることというのも、焦点距離もセンサーをプロットすることでニコンのFXモード、GXモードのように画角を変えることができるので、それで170°、127°、90°の3種類角度を選べるが、それでも3種類である。記録の画質の設定によって選べないものも出てきて、それはいろいろあるのでチャートを見ないと言えないが、あまりいろいろなことができない。
だから放っておいてもいいというのもある。できないからいいことというメリットもあるので、それがこの後につながる。これはTime Lapseを撮った映像の作品である。置いてあるだけだが、「これはおもしろいね」と言ってもらえると思う。
これは去年の???で出しているアウトドアイベントがあって、カメラを、来ているお客さんに貸して、「好きに映像を撮ってきてください。それを私がつなげて作品にするので」と言ったものである。
普通、カメラを貸して「撮ってください」と言ったら、「何かいろいろ設定したら映らなくなりました」とかいうのはよくある話だが、何も設定できないから押すしかない。それで撮ってくる。そうすると、「みんな楽しいよね」という映像を撮ってきて渡してくれる。
このときのコンセプトとしては、それを撮って「当日の夜に上映会をするのでみんな見に来てね」というイベントをやった。親子のキャンプイベントだったが、みんな楽しそうだというのが伝わる。
こうやってカメラを並べておいて、「じゃ、行ってきてください。電池切れたら帰ってきてくださいね」と言うだけで、こういう作品が1本できる。それこそ、びしょびしょになっていてもいい。自転車で走って落としてもいい。「なくさなければ何をしてもいいので」という感じでお客さんに渡している。
我々はこれでお金をもらっているわけではない。機材を借りたり、うちから用意して持っていったりしたもので、撮って皆さんに楽しんでもらうということをワークショップという形で体験型でやったが、それを後でコンテンツとして残すと、このイベントはこういう感じだったというのを、撮影クルーを入れて撮らなくても、お客さんが撮ってきてくれたものをまとめれば、次の年はこれをプロモーションビデオとして使えるということで、新しい展開ができていく。さっきのトロンボーンのほうがこの映像よりおもしろいと思ったが、体験型としてはおもしろい映像だと思う。
誰でも撮れるからこそ、コンシューマとプロの垣根がなくなっている。GoProを持っている方がこの場にいる20人くらいの中にもいるし、ハリウッドでも同じものを使っている。できるものはもちろん違ってくるが、できることは同じはずである。それなら撮るか、撮らないかという話だけだと思う。
まず仕事がどうこうというよりも、撮ってみるということ。最初に言ったように、私は別に映像は興味がなかったが、今は撮るのがおもしろいと思っている。鹿野氏とか染瀬氏のようにお金をもらう仕事は、私は販売員だからしたことがないが、それ以外にこういうふうな作品を頼まれたり、イベントで作ってきている。それはいつも、仕事でもプライベートでも、楽しいと思ってやっている。
そういったとっかかりから入っていただければ、仕事に徐々につながっていくのではないか。何でもそうだと思うが、仕事仕事でいくと、多分きついと思う。今持っているカメラで、GoProなりiPhone、Androidでもいいが、この前関西テレビで、関西ローカルで、iPhoneだけでテレビドラマを撮るという企画があった。実際、地上波に乗せて放送して好評だったということである。機材はiPhone周辺の機材があったので、うちから貸し出しをしたりしたが、何でも撮れる。
一眼レフでなければだめとか、もっと大きいカメラじゃなきゃだめだとかいうことではなく、何でも撮れるものをつないでみて、音がどうかというのはやっぱりやらないとわからないので、音を乗せてみてどうだとか、写真よりも露出等もかなり厳しいので、そういった現場での経験をいろいろ試して、実際には撮る側ではないとは思うが、そういったことでカメラマンと話をつなげたり、そういうことで仕事の幅が広がっていくのではないかと思っている。
(質疑応答時間)
司会:GoProは撮影の面では非常に身近になってきて、携帯の写メと同じようなところまでいくかどうかは別だが、動画というコンテンツに対してのアプローチが非常に身近なものになったと思う。
動画が簡単に撮れるというのはわかったが、先ほどのフラフープの動画など、非常にいろいろなアイディアがある。あれはただ偶然に撮れたのか、あるいは意識をもって、お金を取ろうと思って撮ったのか。カメラマンに静止画を撮ってもらうのと、普通の人が撮るのとの、動画の上での違いは何なのか。
例えば紙面を作るのでも、デザイナーが作る紙面と、ただ単に我々がWordで作る紙面とで言えば、やはりデザイン性が違う。動画でのそこのエッセンスとは何なのか。お金の取れる動画とお金の取れない動画。音を入れる云々は当然だが、もし何かヒントになればと思って質問する。
柏原氏:お金が取れるというのは、多分仕事があるからということだと思うので、企画がないと多分進まない。イントロダクションというところが何かいろいろやったりというところがあるので、クライアントありきかなとは思う。
その手前に、カメラマンがお金を取れるように準備するというのは、ポートフォリオなり何なりが必要だと思う。そういった作品は、やはり自分で撮っていくのに、染瀬氏のように新しい違うものを撮る。フラフープもそうだと思う。「あの作品はおもしろい、じゃああいつに頼んでみようか」みたいな話が広がっていくということで作品を発表していく。あれはお金になっているのかどうかわからないが。
染瀬氏:プロモーションとしては大きいだろう。何百万回も視聴されているし、それで1つ大きな仕事があれば、また展開していくのだから。やはり新しい表現とか新しい技術をどんどん取り入れて、今までにない見せ方をしていくというのが、新しい仕事を生んでいくことかなと思っている。
柏原氏:垣根がなくなっているということで言うと、例えば「GoPro」とYouTubeで検索するとGoProの本国のアップロードしている映像がたくさん出てくる。例えば、ケン・ブロックという人がラリーカーに乗っている映像が非常に有名だが、あれは誰が撮っているのかといったら彼が撮っている。乗っているドライバーが撮っている。ここに付いているだけである。
それ以外の人は、外側ではカメラを回しているが、彼が撮っているわけで、別にカメラマンなんて要らないという話になると、クリエイターのすそ野が広がっていく。他のことで特化している人が映像をそこにちょっと足していくだけで、すごく普及していくというようなことがあったり、昨日の夜見ていたら、宇宙から地上に飛び降りた人がいた。たしかアメリカ人だが、レッドブルが出したものだが、成層圏か何かにぽんと打ち上げて、そこで撮っているカメラはGoProである。それで降りてその映像が出る。「レッドブル」と出るだけで、すごいプロモーションである。
誰でも撮れるからこそ、誰でもチャンスがあるということかなと思うので、どんどん作ったものを公開していくことの重要さというか、こんなことをやったということを広めていくというのが大事なのではないかと思う。
(質問)
基本的な質問だが、これは音は録れないのか。
(柏原氏)
音は録れるが、お風呂の中に潜って声を出すとあまり聞こえないのと同じで、ハウジングに入っていると、振動があまり伝わらない。アクリルを通った音は入るが、もごもごした音になってしまう。
そこで、音を録るときはハウジングを外して撮る。例えば、びしゃっと水がかかるようなところだとできないが、普通に陸上で撮るなら、別に濡れないから、衝撃がかかるようなところはだめだが、このまま撮ればいい。
ここにマイクが付いているし、あとはマイク端子が付いているので、これ単体に入れることもできるし、先ほどのようにICレコーダーで録っておくことは必要かもしれない。ただYouTubeなどを見ていると、多くの作品は音がなくBGMというものが多いのが実際である。それで完結してしまうというのが大きい。
(司会)
動画というところで、とっつきにくいコンテンツというところで、我々と縁遠いコンテンツというとらえ方も出ているが、こういうようなウェアラブルカメラの存在によってかなり身近なコンテンツになっている。
当然、YouTubeとかニコ動とか、配信もかなり我々の知らないところでされている。今後のビジネス展開の中で、動画というのも何かの1つの可能性があるのだと私は信じているので、ぜひ、このセミナーを何かのきっかけにしていただければと思う。
2013年5月14日TG研究会「動画コンテンツの活用とビジネス」より(文責編集:郡司秀明)