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プリントメディアの変化は、商業系に顕著に現われるだろう。請求書、納品書関連は電子化が進むということで、印刷の比率は少なくなる。もともとこの分野はデジタル化が進んでいるが、特長としてはカラー化が進む。総量は減るがカラー化が進むということだ。
逆に増えていくのはDMで、ボリュームが増えてカラー化も進行する。書籍は倍増、カラー化もする。マニュアルのように電子化も進みながら、紙としての利便性として残るというものもある。
それから販促関連は、技術的な進歩、革新があるとこのバーは一気に伸びるのではないかと思う。今の技術が進歩していくが、バーとしてはこういった高さ、カラー化を含めて進んでいくということが注目。こういったことを見据えて、帳票、DMを狙いつつ、商業印刷、そしてパッケージの方に進んでいこうことは共通の方針というか、戦略である。
我々は変わっていく印刷物に対して、技術的に乾式トナー、インクジェット、液体トナー、かぶる分があるが、同様の技術でお客様への価値提案をやっている。トランザクション、DM、出版、新聞のあたりまで、トナーベースの技術でかなり多くのお客様に使われていて、ここの分野がインクジェットに移り変わってきている。
液体トナーに関しては、InfiniStreamという技術を開発していて、左側から右に技術革新しながら、お客様を増やしていくということである。
オセを含んで製品のポートフォリオになる。
インクジェットに関しては2008年から我々はやり始めているが、左側のカラーのバーの一番上、JetStreamということで、お手もとのカタログにコンパクト、デュアル、ワイドという3つのシリーズをやっているが、世界的に売れている。
用途としては先程の3つ、デジタルプリントサービス、請求書関連から書籍、新聞といったところで使われている。
JGASで発表したColorStreamシリーズは、JetStreamが最高で254mに対して、最低48mのところまで下がっていって、そこから100mくらいまでのジョブ、多品種、小ロットのジョブに対応するインクジェットプリンタということで出したのである。
右側にいくとトナーベースになるが、モノクロの連帳。ここ最近では珍しいがトナーベースの新製品である。その下はカット紙のベースになる。枚葉の高速プリンタということで、ここまでがオセの製品である。
この下はキャノンの従来型のカット紙のプリンタで、カラータイプのものからモノクロタイプ。我々の方もトナーベースのもの、インクジェット、生産性であるとか、カラー、モノクロの需要に合わせてご提案をしている状況である。
今日は時間の関係もあるのでオセの商品を2つに絞ってご紹介をする。
まず、カラープリントColorStream 3000 Zである。弊社のグループ会社の中でトナーベースの連帳のプリンタを多くデジタルプリントサービスに販売している部隊がある。主にプレプリント用紙に追刷りする用途のお客様が、請求書関連でいらっしゃる。そういうお客様は設置スペースが限られる。
また、従来型のロール紙に加えて、Z紙、折りの紙を流したいということがある。従来のインクジェットプリンタよりも6割くらい設置寸法を省スペースしたり、あるいは折りの紙を流すということで製品化している。
来年から発売をしていくが、オセのインクジェットの製品の特長としては、1つは拡張性ということが挙げられる。例えば今のお仕事がモノクロであれば、あまり過剰投資にならずにモノクロからスタートしていただいて、アップブレードしていく。インクも通常インクに加えて、磁気インクやセキュリティインク搭載も可能になっている。この辺もお仕事によって増やしていく。生産性も48mが一番下で、数千万単位で入れていただいて後で拡張していくことができるのである。
シングルと片面の選択、ロール紙とZ紙。またインクも染料、顔料が選べる。この辺の拡張性を非常に評価いただきご利用いただいている。また、JetStreamのように高生産のものに関しては、安定性、耐久性、信頼性といったところの評価もいただいている。
もう1つのコアのテクノロジー。どうしても色々なデータを右側のプリンタに流していかないとならない。デジタルプリンタそのものは仕事そのものが決まったあとに、印刷工場の中をどうシステム化していくかということになる。この図も左側から仕事が流れて、それを処理している姿になる。
まず、印刷のワークフローとして1つの特長は、PRISMA。3000クライアントを超えるユーザーさんに入っているが、このPRISMAが一番右側にある連帳、カット紙をコントロールする。面付けとか、オペレータが再プリントする、またはジョブによって大量のものは連帳に、小ロットのものはカット紙に、といったことができる。
もう1つはSRA。ブレードのサーバーがたくさん入ったものになるが、やはりフルカラーのジョブが増えてきて高速でRIPしないといけない。プリンタが止まってしまっては生産性を殺してしまうということで、プリンタの生産性を殺さずにRIPして処理をするということでは、このSRAという技術もプリンタを支えているのである。
ここから事例を交えてお話しする。
世界のプリンタユーザーの中で特に顕著なのが、5つのステップの中で我々がホワイトペーパーソリューションと呼んでいる白い紙に最初から打つものである。半分くらいはデータプリントサービスのお客様と言えると思うが、従来のプレプリントを止めて白紙から打っていく。
いきなりクロスメディアと言われて、紙と電子あるいはWebをつなぐというところにいくのではなくて徐々にステップアップしていくようなお客様が多いと思っている。
ホワイトペーパーソリューションの代表的なものをご紹介する。
これは請求書だが、まずはオフセットでプレプリントして名前、住所だけを追刷りして、帳票そのものをデータのフォームを造り替えて、デザインでお客様対して見やすいものを作っていくという、帳票のデザインがある。
それからトランスプロモと言われる広告である。右側の方にはクーポンも付いているということで、広告料金をもらって掲載をするものである。比較的こういうタイプ、モノクロからフルカラーにしてデザインもして、クーポンチケとなどを付けていくパターンが多いと思う。このように帳票をいかに効率良く印刷物に仕上げていくかということで、前処理と後加工が付いてくると思う。
これは連帳プリンタの加工の双方向を表している図である。下の方にプリンタがあって、右の方からロールで前処理をして印字して後加工して巻き上げるシステムになっている。今のような帳票をまずはスプロケットホールパンチ、マージナル縦ミシン目。これを前処理のほうでやる。それからレジスタマーク、印字のピッチを入れる。この後プリンタ側に回して、フルカラーの印字を回す。今度はページの中でダイナミックな縦ミシンを入れたり、ファイルの2穴のパンチを開けたりして最終的にこれを配送に回す。
ホワイトペーパーソリューションそのものが今受け入れられているのは、全体の印刷業務のそのものの改善にある。従来ならオフセットのプレプリント用紙を倉庫に置いて、それを使って、デジタルデータで追刷りするパターンである。これをデジタルソリューションに変えると、在庫レスとか倉庫代が浮くとか色々メリットがあるが、一番の特長としてはクライアントから仕事が入ってきて、従来は3週間とか1ヶ月かかっていた仕事が3日間で対応できるということである。
販促プロモーションに使われるケースも増えている。その場合は費用対効果が求められる。連続紙プリンタの特長である封筒。表の部分と中紙の部分を上手くコントロールできるので、送り主の興味のある広告を封筒の一番上に持ってきて開封率を上げようという提案である。
いかにクライアントさんに対して、こういった提案をしていくかがテーマになるのである。大小の印刷会社様に限らずこういった提案がなくては、デジタルプリンタをなかなか選んでいただけない。
次はカット紙。VarioPrint 6000シリーズのご紹介である。
特長はカット紙で最速A4 314ページ/分の生産性を誇っていることである。世の中にあるカット紙の中でも最高生産クラスになる。さらに紙の両面を一気に印字してしまう技術が使われているので、非常に表裏の見当精度が高いことが特長になっている。
もともと製品のコンセプトとしてはもちろん軽オフも狙っていて、マット系の紙に非常に見た目のいい印字をすることである。それを高生産で安定した品質で、そして使いやすくということがコンセプトである。
使われている特長的な技術はいくつかあるが、まず高信頼性というところではエアーを使った用紙の分離、給紙、そして2枚送ったときの重送の検知の機構が付いている。従来型のマルチファンクションプリンタと違うのは搬送経路が非常にシンプルなことである。直線的な搬送経路を持っているので、紙詰まりがほとんどない。トラブルがほとんどないことも非常に重要なポイントである。
それからオセと共通のポイントとしてアップグレード機能ということで、拡張性である。仕事に合わせて生産性を上げたり下げたりがキー1つでできるということである。こいったところも技術的な特長である。
また扱いやすいというところでは、オペレータの方々が、1日のスケジュールを管理できるツールも準備している。スキルレスでソーターができる機能を有している。
こちらは搬送の中身だが、左側から右側に流れているが、用紙のパスがシンプルである。マニュアルとかブックものになると合紙といわれる色紙、プレプリントしたものを突っ込むような印刷が増えてくる。定着部を通らないのでそのままスルーで最終工程にもっていって、ブック型に仕上げるということで、こういった点でも用紙に対してストレスがない。
現像、定着のエリアは用紙のパスが下に下がってきて上に一気に抜けて右に出していく。ここで表裏を一気に右と左で行うので、非常に見当精度が高い、低誘電の定着をするタイプのプリンタである。
特にブックものでは波打ちという現象があるということで、このプリンタはもちろん端ものにも使われるがブックものにも使われる。定着を通ってあとで加工に回すと、波打が起るということで、個別に加湿のユニットをプリントアウトの後ろに付けて波打を制御して、見た目も品質のよい製本に仕上げる、こういったカスタマイズもやっている。
どうしてもインクジェットとトナーベースの定着器といわれるものを使ったものの違いが出ている。かなり紙ストレスをかけてしまうので、こういったことも必要かと思う。
オセは1996年から世界的に出版書籍関連のお客様に販売をしてきている。最初はトナーベースのプリンタになるが、デマンドストリームというプリンタから販売を始めて、カット紙のプリンタが多く入り、海外の本としてかなり販売されてきた。途中にトナーベースの連帳プリンタも出して、カット紙と連帳プリンタを同じような紙で流していくというところでお使いいただいた。
ここ最近はインクジェットが出てきて、コストや生産性の面で、それから印字した後の後加工のしやすさという面でお客様が増えてきている。
今日ご紹介した連帳とカット紙を上手くお使いいただいているユーザーさんだが、連帳の方はトナーベースのものになる。同じ紙を書籍用に使い、大量生産のときにはColorStream 10000というトナーベースの連続紙プリンタの方に流して加工までもっていく。小ロットや短納期のものはカットして流していくというソリューションをやっている。
このお客様の中に工場側を運用するのに使っているのが、PRISMAプロダクションというワークフローである。こちらで上流の情報を、連帳、カット紙をコントロールして印刷をしている。非常に効率のいい印刷をやっている。
もう1つはLightning Sourceということで、トナーベースの連続紙プリンタを24台お使いいただいている。先日のPRINTシカゴで10台規模のインクジェットプリンタを入れていただき、書籍用にお使いいただいている。ショートランというよりも完全オールラウンドでお使いいただいているお客様で、1日の生産平均生産数が5万冊である。
月に120万冊ということで、1回の平均が1.8冊の受注になっている。
サイズも、ページ、厚みも違うジョブが複数のお客様から入ってくるので、それをお客様ごと、ジョブ単位で、同じサイズのジョブ単位にまとめて印刷して配布するというシステムを組んでいる。
プリンタそのものも重要だが、工場全体のデータが、受け取ってから配送に回るまでをオートメーションでいかに安全に確かに印刷するかというところで、一緒にやらせていただいている。
最後のページの開発中のテクノロジーである。2枚目のスライドで見ていただいたが、トランザクションから入って、書籍、新聞、商業印刷、それからパッケージ。
オセも長い年月をかけて液体トナーを開発してきて、これは去年のdrupaでドイツのミュンヘンで発表したものである。生産性がB2サイズで14,000Sheet/時である。
左から右に流れてきて、7色。
非常に高いデータ性を誇っていて、ロット数が数百というよりは数千から数万というような小ロットの紙のパッケージを狙っていきたいということで、10月にドイツのお客様に1号機が入って、大手のメーカーさんのパッケージを刷り始めたという状況である。
我々はトナーベース、インクジェット、液体トナー、カットから連帳のものまで持っているが、お客様の用途に合わせてご提案をしていきたい。
2013年12月12日トピック技術セミナーより
(文責編集:郡司秀明)