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株式会社サイバーテック
取締役 小野 雅史 氏
サイバーテックは今年で設立15年たった。本社は飯田橋、支社としてフィリピンのセブ島にITアウトソーシングセンターを持っている。社員は合わせて50名、今となってはフィリピンのほうが社員は多くなってしまった。フィリピンのほうも設立して6年たつ。このように、日本とフィリピンの二極体制でやっている。
事業内容は、XMLデータベースおよび関連製品の提供ということで、NeoCoreというXMLのデータベース製品を持っている。もともと三井物産が持っていたのを、2007年に事業取得という形で受け継ぎ、日本の総代理店ということで、パートナー、企業への提供サポート、マーケティングを行っている。
これが一番メインだが、今日紹介するソリューションは、このデータベースを組み込んだパッケージ製品である。今まで、NeoCoreはデータベースエンジンなので、SIベンダーがその上でフルスクラッチでアプリケーションを作ってお客様の要望を解決するという手法をとってきた。
しかし、ここ数年、そういう手法はなかなか難しくなってきた。コストが高いし、お客様側になかなか要件を整理できる人がいない。業務が複雑になっている。いろいろあって、ここ1年くらいはこういったNeoCoreを組み込んだパッケージ製品を推進するというのを、1つの方向性として出している。
もう1つはWebサイト最適化サービスとか、システム開発およびITアウトソーシングサービス。このITアウトソーシングサービスというのが、先ほどの、コストダウンのためにフィリピンのセブ島に拠点を作って、なかなかプログラムで自動化できないところのデジタルtoデジタルのデータ加工とか、WordからHTMLとか、DTPのInDesignから画像を切りだすとか、そういったデータ加工系の単純作業、人海戦術的なところを、低いコストで定容するというサービスを行っている。
先ほど紹介したXMLのデータベースは、XMLデータのみを格納できる専用のデータベースエンジンとして、おかげさまで多数のお客様に使われている。一部だがWebサイトでも公開している企業があるので、どのような感じで使われているかはWebサイトの事例を見ていただきたい。この製品を中心としたプロダクトおよびソリューションの展開を、パートナーと一緒にやっている。
今回はコンテンツ管理というテーマだが、最初に少し一般的な話というか、こういう声があるというところを紹介したい。出版分野を例に、コンテンツ管理について考えてみた。
出版社を例にとると、業務の効率化とか、「手でやっているのが自動化できたらいい」という声はもちろんあるが、最近、特にコンテンツを自社で保有している出版社は、「それをビジネスチャンスに変えないとだめだ」という状況になっている。
具体的に、これはお客様からの声に近いが、決まった書店のルートで決まった形で本を出し続けるのではなく、出版物には一般の小説、雑誌だけでなく専門書籍とか学習参考書とか図鑑とか辞書、教育教材も含むと考えると、そういった読者も含めたお客様の囲い込みと付加価値を提供しなくてはいけない。
例えば、本だけでなくWebサイトで積極的に情報提供していこうとか、サイトでちょっと立ち読みお試しサービスをやってみようとか、Webを使ってバックナンバーを提供するとか、会員制でWebサイトを作って、そこでバックナンバー等の情報の検索サービス、データベースサービスを始めようとか、お金の取り方がいろいろWebを使えばあるということを言っている。
さらに、新しい購買層に訴求するために、紙は紙でもいろいろある。例えば200ページのものを30巻シリーズ化しているような専門書籍の出版社は、分冊化とか別冊化をして、いろいろな角度で違った購買層に対して違った商品をどんどん出していかなくてはいけないとか、紙の出版物とWebを連携させた新しい読書とか学習スタイルを提案しなくてはいけない。これは主に学習塾とか学校関係だが、タブレットで教材を作ったりということは当たり前のように行っている。
それから、紙の出版物の電子書籍によるニッチユーザーの掘り起こし。これは主に小説とかマンガが多いが、こういう新たなマーケットに対する取り組み。さらに、自社コンテンツを資産として持っている会社は、ただそれを本にして出すのではなく、BtoBビジネス、いわゆる検索サイトやポータルサイトに、価値のあるコンテンツであればコンテンツを切り売りできるのではないか。データ提供である。
また、業界内外の企業にコンテンツ販売というのは、同じ業界でも競合他社でも、優位性を見いだせれば自社のコンテンツをどんどん販売していこう。それから会員制度、広告収入、セミナーなど、書籍以外の販売による売上拡大も考えられる。
あとは、単純に販促という意味で、ソーシャルメディアの活用。これもコンテンツは多少なりとも紐付くところなので、コンテンツとか書籍を売るために、こういったフェイスブック、ツイッターを使った調査とかマーケティング、告知などをいろいろ仕掛けていくというのが最近のトレンドではないか。
一方で、そういうことをやろうとすると、目に見えるコンテンツだけを管理すればいいという状況ではなくなってきている。いわゆるテキストのデータがある。印刷物のDTP、Webのコンテンツ、配布用にPDFにしたデータ、それから最新版ではなく旧版のコンテンツ、あるお客さんとかある学校とかある支店の特定顧客に向けた似たような文書、流用データ、これがたくさん出てくる。
これは素材データである。出版物のマスターとしての素材。何に使うかわからないけれども写真の高解像度のマスター。それから、中間生成物。それからWeb電子書籍向けの加工済みのJPEG等のデータ、印刷物向けのCMYKに変換したデータ、さらには関連ドキュメント、動画、音声といった素材データ。こういった付属するコンテンツ等で管理しなければいけないデータが膨大になってくる。
さらにまだある。コンテンツの測定とか識別のためのメタ情報。書誌情報。この書籍は何か、ISBNコードは何か、いくらかという、いわゆる書誌情報がある。それから著作権情報。画像の素材については、どこの出版社に行ってもこれを管理する必要があるというふうに皆さん言われる。使用権とか使用許諾の関係である。
あとはバージョン情報、目次の情報、リンクの情報、検索のためのキーワード情報。販促用のキャッチコピーなどの情報。いわゆる表に出てこない、こういったメタ情報を管理しなければいけない。
あとは、それを社内で運用するための管理情報。例えば社内の出版企画書であったり、原価とか制作者に関する各種情報。それからコンテンツの利用履歴とかシステム利用履歴、それから社内承認プロセスの履歴、こういうのも会社によっては求められることがあるのではないか。
「管理すべきコンテンツとかデータが増えて大変だ」というところも、お客様の課題ということで、最近特にお客様と商談を行っているときによく出てくる言葉だと思うので、紹介した。
それなら、これをシステム化すれば、何かいいことがあるのではないか。業務効率が上がるし、それでコンテンツをどんどん展開できればうれしいということで、コンテンツ管理のシステムはいろいろあるが、1つは紙の出版物を作るためのいわゆるデータベース自動組版というシステムが昔からあった。
これはInDesignが普及してから、データベースにためておいて、そのコンテンツをInDesignに吐き出して自動組版をするという、実はサイバーテックのデータベース導入事例の中でも一番多いのがこのパターンである。
入力インターフェースをフルスクラッチで作って、データベースにコンテンツを入れて、そこから自動組版ソフトに流し込んでInDesignで自動組版するという、そのパターンの事例が一番多い。
これは確かに紙の出版コンテンツの制作プロセスを効率化できるとか、自動組版機能によっていろいろなレイアウトとかプリプレス工程が自動化できる。それからInDesignと密な連携ができることで一番大変なところが自動化できる。これが長所である。
ただし、実は短所もある。これは機能自体が紙面に特化している。企業ごとに、作るものの違いとか、その会社の運用体制によってカスタマイズが必須なので、どうしても導入コストが高くついてしまう。
あとは自動組版の限界がある。先ほどのような規定集とかテキストベースのフィックスなレイアウトなら非常に効果が高いが、書籍とか雑誌とかカタログとか、どんどんレイアウトが複雑になってきて自動化できないというようなものも結構ある。「結局手作業が減らない」という声も非常に多い。
また、費用対効果が非常に測りにくい。お客様の手作業が減らないと、システムを入れてもどれだけ効率ができたのかとか、そんな話になる。紙面制作専用なので、紙面の仕事が減ってしまうとシステムも要らないというさみしい結末で終わる。コンテンツマネジメントシステムなら、もう少し汎用的に使いたい。「この仕事が終わったからこのシステム終わり」というのは非常にもったいないと感じる。
もう1つ、もっと汎用的なエンタープライズコンテンツ管理製品を使えばいいのではないかという話がある。あらゆるコンテンツとか素材が管理できて、大規模にも対応してシステムの拡張性があるコンテンツ管理システムもある。これはこれでいいが、非常に高い。2,500万とか3,000万とかするものもある。
きめ細かく対応できるので、業務の効率化は非常に図れると思うが、カスタマイズが必須なので導入期間は長くなる。製品のライフサイクルがどんどん短縮化されて、早く入れたいというお客様にとっては、ちょっと重いような気がする。
こういう背景もあって、どんなコンテンツ管理システムが求められるのか、考えてみた。まずデータベースありきである。データベースで一元管理するのは必要だと思う。それから、紙だけでなく、さまざまなメディアへの展開ありき。これがないと、立派なシステムを入れても費用対効果は出ない。
紙だけだったら今までのやり方でやってもらえばいい。ピンポイントで効率化できるツールを導入してもらいたい。例えばカタログを作るときに、基幹システムから価格表とかCSVを吐き出して、それをマッチングして、差分もとってInDesignに吐き出すとか、そういう細かいツールを組み合わせたほうが絶対いいという話はしている。
3番目で、紙面とWeb制作管理プロセスの最適管理。私は、「システムを入れたらある程度システムに業務を合わせてください」と言っている。「今までの業務を全く変えずに、人の配置も全く変えずに業務を効率化しようと思わないでほしい」と最初から言っている。
お客様側の業務フローの変革も絶対必要である。そこをどれくらい、変革まで行かなくても、「ちょっと変えればよかった」くらいになるのが一番ハッピーだが、そうはいっても多少はスタイルを変えてもらう必要がある。
また、システムはシンプルでわかりやすく、低価格であること。合わない業務とか合わない作りものに対して、あまり違う製品を適用してはいけない。
そういうことで、これから紹介する製品、ソリューションは、XMLデータベースNeoCoreが組み込まれている。アプリケーションが最初から作られている。製品化のコンセプトとしては、紙の出版物の制作効率化に限定されない、従来のデータベース組版とは違う製品を作る。
もう1つ、レイアウト指定、プレビュー、校正、公開などの機能は持っていない。なぜかというと、それらはマルチユースを前提としているので、Webかもしれないし、電子書籍かもしれないし、紙かもしれないし、InDesignかもしれないし、流し込み系の組版エンジンかもしれない。
ということは、レイアウトは全部そこでやればいい。大事なのは、コンテンツがきちんとした形で、最新版と旧版、素材、メタデータも含めてきちんと管理できること、これを第一目標にしている。
そのような製品化コンセプトで、Publish MakerXを開発した。読んで字のごとく、出版物をXMLで作るという単純な名前の製品である。スライドのほうでは機能の詳細とか一覧があるが、まずデモをご覧いただきたい。
その前に、特徴だけ簡単に説明する。コンテンツの入稿、管理、出力までをシステム化する。Webアプリケーションである。もう1つは、構造化された文章ものが得意である。製造業の取説、サービスマニュアル、技術系の文書。出版社だと専門書籍、問題集、教材、学習参考書、辞典、図鑑、社内報。金融官公庁なら業務規程集、約款、事務処理マニュアル、研究論文等々。
この中に小説とかマンガとか雑誌とか、分厚い総合カタログは入らない。基本的にはテキスト文章ものプラス素材というのを主に扱う出版物のエディット。さらに、マルチユース、紙だけではなく、いろいろな形で分冊したりWebに展開したり電子書籍化したり、会員向けのデータベースサービスに使ったりという用途を前提としたコンテンツ管理に特化した製品である。
Webアプリケーションなので、ブラウザで動く。メインメニューを出すと、検索、トピック(情報単位)、素材、マップ(構成)、データ出力とある。トピックとかマップと書いてあるので、DITAっぽいが、DITAそのものには準拠していない。DITAの考え方を応用している。
これは編集画面である。規定とか約款、マニュアルであれば、章とか項の単位で文書を作ることができる。従来のDTPだと1ページ分を作らないと、その1ページ分の文字と素材とレイアウトが固まらないと誰も編集できないが、これならブラウザ上で分業ができる。レイアウトを確定する前に、まず文字と、そこで使う素材、メタ情報を全部ここで分業してブラウザ上で入力できる。
エディター上で軽くスタイルが見られたり、一緒の窓で素材が見えたりするが、レイアウトはここでは指定しない。上側に見えるのが属性で、今属性を編集している。コンテンツの編集、入力するところに属性を入れることができる。トピックという文書の最小単位、章とか節の単位で、そこに必要な属性を入れていく。これが、例えばWebで使ったときに検索キーワードになるとか、そういうような形になる。
あとは、「掲載素材」というところで、この文書の章、節の塊でどんな素材が使われているかが見られる。あとは関連素材とマップ。この文書の部品は今どういうマップ、インデックスみたいなものだが、そこに所属しているかというのも見える。あとはXMLを生で見ることもできるし、メモ書きとか、トピックという文書の構造単位でいろいろな属性とかメモとか、そういうものを付与することができる。
これはバージョン管理である。文書の構造ごとにバージョンを自分で明示的に上げたり下げたりする。一番新しい1.2を見ようとすると編集したところが出てくるし、1.2のもので文章に変更を加えて確定してバージョンアップで見ようとすれば、???わかる。データベースの中には1.1、1.2、1.3全部保存されているので、昔のものを使いまわすことも間違いなくできる。
使い方はいろいろである。細かい修正も全部バージョンアップに入れるというやり方もあるし、1回すべて校了したものをここに入れて、校了済みからバージョン1.1で始めるというやり方もある。どういう使い方をしても、お客様の使いたい形で、運用に合わせて使っていただければいい。
トピックの編集ということで、こういうWebの画面から文書の部品をどんどん入れていくというところを紹介した。
2番目は素材の管理である。素材も同じように、こちらのタブから素材を登録したりする。これは素材に付けられているメタ情報で検索している。「工作機械」と入れて検索すると、そのメタ情報が付いた素材が出てくる。このようにメタ情報で検索できたり、自分が登録した素材だけ見るということもできる。
先ほどの、著作権とか使用制限が大事という話は、ここのところである。素材にいろいろファイル名は自動的に付くが、プロダクト番号とかコンテンツとか著作権者とか協力者とか、素材1つ1つの著作権の管理がここでできる。これは特にマスター素材を管理する上では重要である。
別に素材のフォルダがあるが、その下にフォルダをいくつか作って、種類別に画像を入れたりする。画像の他にも、いろいろな文書データとか、他のものも管理することができる。今、複製して、違うファイルをローカルのパソコンから登録しようとしている。こちらの菊の画像を選択して、ローカルから入れて「保存」を押す。メタ情報を入れてドラッグ&ドロップして、素材のデータを登録するというような流れになっている。
これで登録できたので、もう1回「工作機械」というキーワードを入れて検索してみると、先ほど出てこなかったが、今登録した菊の画像が出てきている。登録されたので、先ほどのトピックに戻って、本文中に今登録した素材を取り込んでみる。
トピックを開いて、先ほど登録した画像をここに登録する。「図表」ボタンを押して、タイトルを入れて、キャプションを入れて、画像を選択してというような一連のWeb上での操作をすると、先ほど作った文書の部品に、先ほどの素材が紐付けられるというような仕組みになっている。
「画像を選択」で、フォルダの中から選んで、「決定」を押して、「OK」を押すと、先ほどのエディターの中に出てくるだけだが、こういった画像が貼り付けられる。これを保存すればコンテンツが最新になる。
素材に戻って、先ほどの菊の画像が工作機械のマニュアル文書の中に取り込まれたので、この素材の情報の中に新しく情報が1つ追加される。「この素材を使用しているトピックを表示」というリンクがあり、素材から、その素材を使っている先ほどの文書の部品に戻ることができる。「この素材は何に使っていたか」というのがすぐわかる仕組みになっているというのが特徴である。
ここまでで、文書部品を作って素材を登録した。あとは出版物やマニュアルを作るために文書部品をまとめる作業が必要である。それがマップという概念になる。マップはマニュアルとか出版物、書籍の目次と考えてもらいたい。どの単位でもいい。本がルートになっていてもいいし、章がルートになっていてもいい。とにかくマップというので先ほどのトピックをどんどんその下に構造化して紐付けていく。
マップにもさまざまな属性が付けられる。マップを1つの本とたとえるとISBNコードとか、商品コードとかプロダクトナンバーとか、そういった属性を付ける。今、選んだマップは、「NC工作機械取扱説明書」という、何も文書部品がぶら下がっていない状態である。これから部品をぶら下げる。
「トピック追加」を押して、トピックを何かしらのキーワードで絞り込んで、最新バージョンだけ検索すると、1つ出てきた。「工作操作盤の説明」という文書部品が出てきたので、「マップに追加」というボタンを押して、これを子供にぶら下げようとやると、1つぶら下がった。こういう形でどんどん、分業して作っていった文書の部品を、いわゆる執筆者が書いたものを、今、編集者が本にしているという作業である。
たくさん出てきたので、どんどんぶら下げていく。「はじめて使うときは」をぶら下げる。リンクが張ってあるので、中身も確認しながら、これとこれを子供にぶら下げようという形でぶら下げていく。
マップとトピックという呼び名も含めて、考え方が製造業のDITAに似ている。それを参考にさせていただいたという感じである。マニュアルでデモを行っているが、別にこれはマニュアル専用ではなく、実際、医療系出版社の専門書籍を作るのにもこのシステムは使われている。テキスト、文章ものの書籍であればできる。
今3つぶら下げた。子供の子供もできるし、矢印で順番を入れ替えることもできるし、マップの下にマップを紐付けることもできる。
いったん、これを1つのまとまりとして確定する。何百ページもあるものだと、これがばーっと並んだり、章単位でマップを作ったり、ドキュメントの長さによっていろいろ単位を変えればいい。
作ったもののマップを編集して保存し終わったので、この後、ワークフローの申請をする。簡単なワークフローだが、編集者が責任者に「これでいいですか」と、一応社内的な承認を取る。
アクセスの権限等はあらかじめ設定してあるが、マニュアル企画編集部門の誰々さんに承認してもらうというワークフローの画面である。宛先もワークフローの申請先の対象者になっている人でないと出ないようになっている。この画面で申請を出してもらう。ファイルも添付できるし、文も書くことができるので、これで申請する。申請されたほうは、未読か既読かとか、OKだというようなことを出す。
もう1つ、先ほどは素材からトピックを逆に引いたが、今度はマップからその構成物であるトピックを逆引きすることができる。今、マップの画面からトピックを指定して「詳細」を押したときに、マップの構成が左側に出ていて、リンクを押すと右側のメインの画面にトピックが並ぶような形で編集もできるようになる。マップからトピック、トピックからマップ、またトピックの中にある素材、素材からトピックに戻るということが、こちらのアプリケーションの中でできる。
これが一通りの流れである。あとは「申請中」というのがトップ画面に出たり、制作管理系の機能もある。今、承認された。承認がないとデータの出力をしてはいけないとか組版してはいけないとか、いろいろな社内のルールをこれで作ることができる。
データ出力は、一番右のタブで「ダウンロード」とあり、パソコンにダウンロードすることもできるが、現実的にはある程度承認済みのマップの1つの塊をバッチファイルか何かで、例えばWebに展開するのであればスタイルシートでWebのCMSのデータベースの構造に合わせた形で吐き出して、それをCMSから取ってもらうという、電子書籍ならEPUB、WebならCMS用のデータベース、生のHTMLならHTML5というふうに、中身がXMLでできているので、バッチファイルで裏側で吐き出して裏側で取りに来るというほうがスマートだと思う。一応画面上でもこういったデータの出力の機能はある。
アドミンの機能も少しだけ紹介する。ユーザー管理とかグループ管理とかがある。アドミンユーザーになると、こういう画面が出てくる。権限管理、グループ管理、役割等、全部出る。
こういった形でユーザー登録をしてグループでまとめて、グループとかユーザーごとにアクセスする権限、「あなたはトピックを見ることしかできない」「あなたは素材しか登録できない」「あなたは承認できる」「あなたは承認を依頼することしかできない」といった権限も最初から付いているので、画面上でこれを指定するだけである。
Publish MakerXは、ある専門書籍の出版社に入っている。まずは紙の自動組版から出発して、今、これをもとにタブレット上のコンテンツを吐き出そうとしている。あとは、授業で使う先生のアンチョコも、実はこれまでは一生懸命コピー&ペーストしてWordで作っていたらしい。そういう先生用の指導用教材にも展開しようとか、いろいろ用途があるようで、いろいろな企画がその出版社の中で出ているようだ。
このアプリケーションは、出版社が一番合っている。製造業のマニュアルに適用しようとすると、やはり少しDITAっぽいところとか、「入力インターフェースがWordじゃない」と無理とか、そういう要求が出てくる。規定集だと「新旧対照表がないのか」とか、必ず言われる。
したがって、合っている分野は何かと言えば、出版分野である。ただし、入力、出力のところは比較的連携するパッケージやツールがあるので、ここの組み合わせ次第だと思っている。
ここで弱いところはWord系の入力ツールと変換ツールを使って、データをどうデータベースに取り込むかというところだし、DITAに吐き出すのであれば、DITA変換をもとに、XMLからXSLTにかけて、それ用のデータを定期的に吐き出すような形にすれば、あとはきめ細かい新旧対照とかWordに持って行くところはデジタルコミュニケーションのツールでやっていただくとか、スクラッチで作る部分をどんどん減らすためには、1つのパッケージだけではなくていろいろなパッケージの組み合わせが大事だと思っている。
私は「何でもできます」とは言わない。できることは限られるので、皆さんいいツールを選択してもらいたい。どのツールが相性がいいか悪いかはいろいろあるので、そこは相談してもらいたい。最近は提案するときも、そういうスタンスでやっている。
スライド39ページは、システム要件である。これはまだクラウドではなくパッケージ製品になっている。1サーバでも動くが、基本的にはデータベースを含むWebアプリケーションのコンテンツサーバと素材サーバの2台構成になっている。AmazonAWS上でも動作することは確認している。仮想環境をこのサーバとAmazonで作っていただければAmazonでも使える。
価格は明朗会計にしている。基本サーバライセンス260万、ログイン数はユーザーによって5ユーザー、20ユーザー。50ユーザー、無制限ということで、プラス、ライセンスを設定する。初期導入パックということで、インストールとか、ログを入れ替えたり、初期データを設定したり、属性の情報もお客様オリジナルの属性を設定しなければいけない。紙面の分析をしたりXMLの構造化、トピック、マップ画面設計をやらなければいけない。これは20時間30万円1パックということで、最低1パックご契約いただくという形になっている。それから年間保守サポートということで50万円。最低が260+10+30+50なので350万円である。
その他、個別見積もりはしない。初期導入サポート価格追加分ということで、20時間を30万円で買っていただく。これを最初に何パック買ってもらうかという相談をさせてもらうが、このサービスを購入していただければ、バッチプログラムを作ったり、移行ツールを作ったり、初期コンテンツをロードしたりというようなサービスを20時間30万という単位で提供する。
このような形なので、スモールスタートしたければスモールスタートできるし、がっちり最初からやるなら、入力のところ、出力のところ、属性情報の設計もがっちりとサービスすることができる。
あとは、付帯パッケージということで、フィリピンのアウトソーシングサービスということでデータ加工とかコンテンツ移行とか、そういうところもあるので、参考として見ていただければと思う。
適用例は、何度もご紹介しているように、出版社のコンテンツ管理というところが一番大きい適用事例になる。2番目は業務規程集で、これも今実際のお客様と商談を進めている分野だが、いわゆる業務規程のような構造化文書を作って管理するところである。あとは、公開して検索するところは、いわゆるポータルサイトとか検索エンジンの製品と連携して組み合わせの提案をさせていただいている。
3番目はサービスマニュアルコンテンツ管理、先ほどの取説である。自動組版はInDesignのサーバと書いてあるが、自動組版がInDesignである必要は全くない。Publish MakerXは取説のデータベースということで、DITAとか多言語対応など、なかなか難しい問題が出てくるのがサービスマニュアルの世界で、一筋縄にはいかないが、ぜひその辺はデジタルコミュニケーションに頑張っていただければと思う。
最後にまとめということで、導入のポイントである。システムに適したコンテンツに限定しようということで、Publish MakerXはどんなものにも合うというわけではない。出版物であれば、改版もの、蓄積もの、定期もの、データベースもの、こういった出版物に合っている。あとはコンテンツがある程度構造化されていること。レイアウト優先のような、チラシとかカタログとか、そういうものには使えない。
これは、Publish MakerXだけでなく、どの製品を選定するときでも重要なことだと考えてもらいたい。何をしたいのか。何の出版物に対して管理したいのかというのを、提案する立場の人は、お客様と一緒に明確にする必要がある。
また、紙面制作のプロセスを変えたくない場合。「これを導入すると、編集者の作業が増えて嫌だ」という声がよくある。たしかに、今まで、制作会社や印刷会社が作ったDTPのデータを、見て校正する、赤入れする、レイアウトする、それが仕事だったのが、一部、「この原稿を僕がこの画面に入れるのか」ということに対して、非常にアレルギーを起こす人が多い。
そういうお客様には、「もう紙面を作るプロセスは変えなくていいので、そこで校了したコンテンツをこの中に入れてください、そこから始めましょう」と言っている。それであれば無理ではないと思う。
今、DTPのデータがばらばらになっているとか、印刷会社、制作会社が持っているという状況を、使いやすい形でマスターコンテンツとして自社に持つ。それだけでも価値があると思うので、ぜひここから始めていただきたい。
3番目、導入効果が最も高いものから始める。ワンソースマルチユースと言っても、なかなかビジネス展開を考えるのは難しい。まずはWebサービスの展開を一番してほしいと思う。まだ電子書籍はお金になるのは難しいと思っている。まずWebをうまく使ったビジネス展開とか、顧客満足度とか顧客囲い込みから始めるのが無難ではないか。実際、出版社はそこにものすごく力を入れている。Webをいくつも立ち上げている。
紙面制作だけでは、費用対効果は図れない。薄い。したがって費用対効果をどんどん上げるために、これを使うお客様は、どう展開しよう、どう使いまわしてやろうか、それを一生懸命考えてもらいたい。
Publish MakerXも、今年の9月くらいからWebサイトを立ち上げたりして本格的に紹介させていただいたばかりの製品だが、お客様への導入実績もあるし、今後、「うちで使える」とか、「あのお客様に合うのではないか」ということがあれば、お気軽にお問合せいただきたい。
2013年12月10日TG研究会「デジタル出版時代のドキュメント管理ソリューション」より(文責編集)