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活字を用いる活版印刷術が1445年ころグーデンベルグにより発明されたが、欧文書体は時代の変遷により新書体が生まれ、現在では数千種類も存在しているといわれる。
また、DTPのPostScriptやTrueType対応のフォントでも1000書体以上が市販されているが、時代とともに新書体が生まれ、古い書体は淘汰されてきた。書体というものは、時代により使われる書体に流行があるのは通例である。
従来、欧文書体の系統的分類として8種類に大別されてきた。最近では多様な書体が生まれ、この系統分類の範疇外の書体も数多く出現しているが、基本的にはこれらの分類の派生書体といえる。その8種類の系統的分類は次のようになる。(図参照)
1.ゴシック系
グーデンベルグが活字を最初につくったときに、当時のペン書きの書体を取り入れたもので、「ジャーマン」の呼び名で使われている。和文のゴシックとは異なる。
2.ベネチアン系(ローマン体)
1465年にイタリアのニコラス・ジョンソンが創作した最初のローマン系の書体。現在では「クロイスター」の名称で使われている。「クロイスター・オールド」や「ゴーディ・オールド」などが代表的な書体。
3.オールド・スタイル系(ローマン体)
ベネチアンを母体として、1500年ころフランスのクロード・ガラモンドが改良を加えたローマン体で「ガラモンド」が知られている。またイギリスでは1772年にウイリアム・カスロンがデザインした書体が有名で「カスロン・オールド」」がある。この他に「センチュリー・オールド系の書体が有名で、現在でも本文用の主流書体として使われている。
4.モダーン・スタイル系(ローマン体)
フランスのディドーが最初にデザインし、1790年にイタリアのボドニーが完成した。オールド・スタイルに比して縦線と横線の太さの差が大きく、しかもセリフなども直線的にデザインされている近代的感覚の書体。「ボドニー」が代表的な書体。
5.イタリック系
1500年ころイタリアのフランシスコ・グリフォが創作した書体。当初は独立した書体として存在していたが、後世になって書体に付属してデザインされ、ローマンとイタリックが1対として存在するようになった。
6.スクリプト系(筆記体)
手書き文字を活字体としてデザインした書体。1911年アメリカで初めて作られたといわれる。その後ペンやブラシで書いた書体を活字化した「ブラッシュ」や「バンク・スクリプト」「ロイヤル・スクリプト」などが代表的書体。
7.アンチック系
縦と横の太さが同じで、角ばったセリフ(serif)がついている書体。「エジプシャン」「スタイミー」などの書体がこの系統。和文書体の「アンチック体」の意味とは異なる。
8.サンセリフ系
サンセリフ(sans serif)とは「セリフがない」の意味で、縦・横同じ太さの書体をいう。和文書体の「ゴシック体」に相当する。18世紀から19世紀にイギリスで生まれた書体。アメリカでは「ゴシック」と呼ばれ、ドイツでは「グロテスク」と呼ばれている。
「ヘルベチカ」「ニュースゴシック」などが代表的な書体であるが、1920年代に「フーツラ」「ユニバース」などが登場してから、モダーン・サンセリフの代表的書体として広く使われている。