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和文文字は全角を基準に設計されているが、欧文文字は文字ごとに異なるセット幅をもっていることは以前にも述べた。したがって日本語組版とは異なるルールが存在する。
「ジャスティフィケーション(justification)」とは行揃え(行頭/行末揃え)のことをいうが、和文組版の場合は縦・横組みともに全角ベタ組みが基本であるから行揃えは容易である。しかし和文組版でも禁則処理や2分、3分などの約物が入ると、端数調整が必要になる。
欧文組版では文字ごとに字幅が異なるため、ジャスティフィケーションを行う場合はいろいろな制約がある。標準語間スペースは3分(1/3 em)が適切とされているが、ジャスティフィケーションの結果、語間スペースは変動する。
ジャスティフィケーションは、本文の各行を左端、右端ともに揃える組み方である。1行内に単語を入るだけ入れ、残りの長さを語間数で割り語間に割り振る方法が処理基準になる。しかしコンピュータ組版でジャスティフィケーションを自動処理すると、語間スペースは行ごとに異なることになる。
欧文組版形式の一つに、ジャスティフィケーションを行わない「ラグ組み(ragged setting)」がある。raggedは「不揃いの」という意味であるが、一般的に本文組みの場合は、「左揃え右ラグ組み(flush left=ragged-right)」または「右揃え左ラグ組み(flush right=ragged-left)」の形式がある。
その他に欧米のパンフレットに見られる「左右振り分け」や「中央揃え」などの形式がある。
ジャスティフィケーションを行う場合、英単語が行末に収まればよいが長い単語は収まらない場合がある。このときに必要な処理が「ハイフネーション」処理である。ハイフネーション(hyphenation)とは、行末にくる語を音節で分割してハイフンをつけ、残りを次行へ送る処理をいう。
ハイフネーション処理は、ジャスティフィケーションに伴う単語の分割と、その部分へのハイフン挿入処理をいう。ハイフン記号は3分を使うのが原則である。
ハイフネーションは和文の禁則処理に似ているが、禁則処理は体裁的要素であるのに対して、ハイフネーションは文法的な要素がある。
たとえば、行末にjastificationという単語がきたとき、1語全部が収まりきれない場合にハイフンを挿入し単語を分割する必要がある。この場合ハイフンの挿入個所はどこでもよいわけではなく、一定の文法的基準がある。英語、フランス語、ドイツ語など、それぞれの外国語の標準とされる辞書を基準として処理を行う。
このハイフネーションはジャスティフィケーションにともなうものであるが、ジャスティフィケーション処理の原則として次のことがいえる。
1番目の処理方法は、単語と単語の間隔(語間)を1行中で調整して行端を揃える。それで揃わない場合は、2番目の処理方法として、単語の文字間のスペースを開け調整する。それでも揃わない場合は、3番目の方法としてハイフネーションを行う。
つまりハイフネーションの目的は、語間スペースをできるだけ最適値にして、平均化することである。しかしハイフネーションを施した行が連続すると体裁や可読性を損ねるため、3行以上は連続してはならないという通則がある。