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コダック グラフィック コミュニケーションズは、「幅広い製品・サービスと革新的なソリューションの提供を通じて、お客様のビジネスの成功をサポートする優れたパートナーとなる」という方針の下、常に新しい印刷の付加価値を提案し続けている。
コダック グラフィック コミュニケーションズ株式会社
取締役 マーケティング&ビジネス開発本部長兼チャネルマネジメントディレクター 亀井雅彦氏に聞く
――「drupa2008」に出展された3種類のインクジェット製品について伺いたい。
亀井氏 一つはフルプロセスカラーでのバリアブル印刷がより容易に行える新製品Kodak Versamark VL(ヴァーサマーク ブイエル)2000で、日本では2008年10月より販売開始した。ドロップオンデマンド方式のインクジェットプリンティングシステムで、従来のVersamarkシリーズの300dpiから600dpiに解像度を高めた。さらに用紙の種類を広げ、これまで文字印刷を中心に展開されていたフルバリアブルの請求明細書を、訴求性の高いフルプロセスカラーで、より付加価値の高いトランスプロモの印刷物として提供できるものである。
さらに次世代のインクジェットプリンティング技術STREAM(ストリーム)では、2種類の開発が進んでいる。モノクロの追い刷りができるプリントヘッドとフルプロセスカラーの印刷機である。STREAMでは、コート系の用紙も使える。モノクロの追い刷りが可能なプリントヘッドに関しては、2009年中旬に発売を予定している。
プリントヘッドをオフセット印刷とうまく組み合わせると、例えば通常の商業輪転機にインクジェットのプリントヘッドを一つ載せることで、付加価値のある可変情報が追い刷りできるようになる。従来のチラシの上に、バーコードや店名、地図などを差し替えて印刷するなど、さまざまな対応が現実的に取れるようになった。これが今現在コダックが一番期待する製品である。
――インクジェット以外はどうだろうか。
亀井氏 オフセット品質のインクジェット印刷機が出てくるのは2011年以降で、それまではトナー方式が中心になる。トナー方式では国内メーカーが徹底的にコストダウンした製品をどんどん投入している。これは非常にいいことで、トナーの印刷が少しずつ市民権を得つつあると言えるだろう。
コダックとしては、国内メーカーがカバーできないところに提案をしていく。例えばNexPress(ネクスプレス)は5色機だが、5色目を使った付加価値印刷は、今の国内メーカーは提案できていない。あるいは月間枚数でいくと、NexPressは200万枚だが、国内メーカーは10万~20万枚で、生産量は国内メーカー機器の10台分くらいになる。
小型のデジタル印刷機で仕事を集めているお客様が、次にアップグレードする選択肢として、あるいは4色のデジタル印刷機が当たり前の世界で、付加価値が必要なお客様に対して提案できる機械として、今回NexPressを刷新した。
また、写真品質となると通常の4色のデジタル印刷機ではなかなか厳しいが、NexPressなら写真プリントに近いところまで再現できるし、5色目を使って光沢加工を施すと、写真とそん色ない。通常のオフセット印刷でもPP貼りなどは別工程になって手間が掛かり、ニス塗りはコストが掛かるが、NexPressの5色目にクリアトナーを入れることで、そういうものがワンパスでできるのもポイントになる。NexPressに関しては、今お使いのオフセット印刷機にプラスしたり、お手持ちの小型のオフセット印刷機と入れ替えていただくような機械にしたいと思っている。
――Web to Printへの取り組みはどうだろうか。
亀井氏 2009年はWeb to Printの年になるだろう。お客様と制作会社、あるいは印刷会社の関係が大きく変わると考えている。印刷会社はもともと、より大判に、より早く、より多色にという流れでどんどん大型化して量産し、コストダウンしてきた。しかし、今後はそういう風潮ではなく、いかにして今の設備でより利益を上げるか、お客様との関係、すなわち営業コスト、あるいは生産にまつわる固定費のコストダウンが求められるだろう。
それに対して、コダックの提案は、「Kodak Unified Workflow(ユニファイド ワークフロー)ソリューション」に代表されるワークフローとWeb to Print、Web校正である。Webを使っていかにコストを削減するかというインフラを提供するのが2009年だと思っている。
Web to Printでこういうことができるとか、ワークフローでこういうことができるとかはいくらでも言える。しかし、実際にそれを使ってお客様との関係はどうなるのかということまで追求できる印刷会社と、そうでない印刷会社がある。現実にはまだ、「そんなことを言われても困る」というところが大半だろう。
ポイントはワークフローである。ワークフローを中心に、CTPやデジタル印刷システム、インクジェットプリンティングシステムなど各機器が取り囲むわけであるが、重要なのは、お客様の業種、業態、ニーズに合わせて提案していくということだ。
ハードを作るだけではなく、それを例えば業種業態別に落とし込んでいき、「この業界でWeb to Printというなら、こういうことである」と、コダックの考えるワークフローを、コンテンツを入れて使い方まで提案することで広げていきたい。
そのためにはわれわれの知識だけでなく、お客様を持っている印刷会社のパートナーとして仕事に当たることが今後の重要なポイントだと考える。実際に成功事例も出始めており、「PAGE2009」では、そうした事例の紹介も考えている。
――新装ショールームの見どころを教えてほしい。
亀井氏 2008年10月に本社併設のショールームをリニューアルオープンした。新ショールームは、「Kodak iM CUBE(コダック アイエム キューブ)」と名付けた。iはimage(画像)とinformation(情報)、MはMake(作り出す)、Manage(うまく取り扱う)、Move(進展させる、活用する)を意味し、これらMを、英語で3乗、立方体を意味するcube(キューブ)でくくっている。
最大の特長は、印刷工程全般をカバーするコダックの幅広いソリューションを一堂に体験できることであり、それにより来場されたお客様が、オフセット、インクジェット、電子写真など個別のソリューションではなく、自社の印刷ビジネスに最適なトータル ソリューションを検討することができるようになっている。また、ここではコダックのアジア地域のショールームで唯一Kodak Versamark VL2000プリンティングシステムを設置しており、日本のお客様はもちろん、ほかのアジア地域のお客様のご要望におこたえして、随時Versamark VL2000による印刷実演を行っている(要予約)。
Kodak iM CUBEにお越しいただいたお客様にコダックのトータルソリューションを紹介することによって、来場目的以外にも新しいビジネスのヒントを見つけていただければと考える。今後、ショールームの充実も含めたコダックのさまざまな取り組みを通じ、お客様のビジネスの成功をバックアップしていきたい。
コダック グラフィック コミュニケーションズ株式会社
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-9
TEL 03-5577-1200/1250(営業本部)
(『Jagat Info』2009年1月号に掲載)