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紙製品・プリンタ・ソフトの融合点とは

会場内の様子

8月25日(金)、26日(土)の2日間にわたり、東京交通会館において、紙製品の老舗で知られる、株式会社山櫻による「山櫻プライベートフェア2006/75th」が開催された。今年は、創業75周年の節目に当たり、当日は約2600人の来場者を集め大変盛況であった。会場内は、紙製品から、プリンタ、セミナーなどを始め6つのゾーンに分けられ、それぞれのテーマごとに製品展示やプレゼンテーションが行われていた。
紙製品ゾーンでは、名刺、はがき、封筒を始め関連製品の展示から、個人情報保護への対応製品、環境配慮型の製品展示やサンプル配布も行われていた。協賛企業は25社、プリンタメーカーから製紙メーカーまで多岐にわたっていた。本稿では、このフェアの模様を報告するとともに、開催の目的や成果などについて、山櫻企画部 内田芳嗣氏にお話を伺った。

―今回のフェアは、75周年事業として開催されたようですが、全体的な印象についてお聞かせ願えませんか。

内田 前回は4年前に開催し、製紙メーカーを中心に出展いただきましたが、今回の特徴はプリンタメーカーの出展も積極的に行ったことかと思います。紙製品だけでなく、出力するハードについてもお客様のビジネスシーンに合わせて選択できるよう配慮したつもりです。紙製品を売るにしても、どのプリンタを選んでいただくかということも提案したかったのです。来場者の多さについては、2日間という短期間と会場のスケールからしても想像以上でした。

株式会社山櫻 企画部 内田芳嗣氏

―出展ブースについての特色や工夫された点などについてはいかがでしょうか。
内田 協賛企業の出展については、各企業のブースに仕切りを設けず、フリースペースに機器を配置したスタイルが、今回効果的に機能したと考えています。通常こうした総合展示会の場合、社名板の付いたパッケージブースにより、各社が並んで展示するようなやり方がまだまだ主流ですが、あえて印刷会社の現場を想定し、マシンとの連携やワークフロースタイルに変えました。主催者からすれば運営が容易な方法を取りたいところですが、それをせず、各社の特長を引き出すことにつながりました。
また、出展と併せて、プレゼンテーションセミナーを併催し、協賛各社の製品紹介や業界動向の紹介をし、単なるコミュニケーションにとどまらず、複合的コミュニケーションも実現しました。

プリンタ・ASP・印刷システムゾーンの様子

セミナーの様子

―御社の営業活動やPR活動などへの寄与する部分というのも多かったのではないでしょうか。

内田 やはり、通常の営業活動にはマンパワーや時間に制約があるため、お客様に直接ゆっくり提案できる機会も少ないことが、いつも大きな課題の一つでした。また、6000種類以上もの製品すべてをお客様に伝えることは難しいという側面があるのですが、2日間という短時間でそれをある程度実現できたと思います。営業員にもそれぞれ、扱う分野が異なり、プリンタをメインにセールスする者や、紙製品を扱う者などさまざまです。こうしたフェアでは、そうした扱い分野の隔たりを越えて、一堂に製品ラインナップをお見せできます。これまでは、紙の総合商社のようなイメージでおられたかもしれませんが、「山櫻はこんなことまでやっているのか」という声も多く聞かれました。また、商品の説明にとどまらず、目の前で商品メリットを実感できる場としても絶好の機会でした。

―今回のフェアでは、御社を始めとして関係の方々に大いにメリットがあったということですが、御社として、お伝えになりたかったことや開催の本来の目的などお聞かせ願います。

内田 製品サービスの紹介はもちろんのこと、弊社では、企業のミッションとして、ロジスティックとCSR(企業の社会的責任)に注力しています。弊社は、紙製品から始まった会社ですが、なかなか差別化の難しい商品でもあります。そこで、紙製品だけでなく、その関連製品や関連サービス情報についても提供していくことも重要と考えています。今回のフェアでは、関連製品、プリンタ、ASPサービス、セミナーを並行して行いましたが、それらをとおして伝えたかったのは、日ごろ単面的にしかお見せすることができない弊社のトータル的な事業活動であり、「姿勢」であります。ISO・Pマークの認証取得やロジスティックの強化は、商品と違い目に見えにくいですが、お客様へのサービスの質を高める上で必要不可欠であり、通常展開しているファクターです。
会場では、昨年新木場に竣工しました、弊社のロジスティックの象徴である新物流センター、Sakura Cubeをなかなかお客様にお見せする機会がなかったため、映像としてお見せできたのも良いタイミングでした。Sakura Cubeは、基幹システムを立ち上げ、新しい商品を即納するまでの流通システムを効率化して、お客様のニーズにこたえるのが目的です。当然、在庫調整も効果的に行え、経営の合理化にもつながっています。弊社ではお客様のニーズもあり、商品のバリエーションを増やす方針を打ち出しています。保管スペースも必要になってきたというわけです。それをかなえる意味でもSakura Cubeのようなスペースが必要となったのです。

―最後に今回開催の効果についてはいかがでしょうか。開催テーマの[心のかたち、紙のかたち]についても教えていただきたい。

内田 弊社は、今なお印刷会社様への製造・卸売りというスタンスで企業活動をしていますが、印刷会社とクライアントとの間の橋渡しの役割でありたいと考えます。その一つにフェアの協賛企業との協力体制があります。今回のフェアで言えば、協賛の出展社の皆様にはマーケットリサーチの場としても役立ったようです。 弊社は、やはり名刺に始まり、紙製品を長年にわたって製造・販売してきたこともあり、伝統に対する敬意、つまり先人たちの技術力に培われた礎の上に今があると考えております。そして、私たちが、それらを次世代にまで受け継いでいくことの重要さを表したのが、今回の開催テーマである「心のかたち、紙のかたち」なのです。

CSRに関する活動紹介

新物流センター「Sakura Cube」紹介ゾーン
株式会社 山櫻

『プリンターズサークル』2006年10月号より

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2006/10/01 00:00:00


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