日本でもPDFによる印刷入稿は随分浸透した。画像のRGBワークフローもデジタルカメラの普及とともに一般化しつつある。ブロードバンドネットワークによって、印刷会社内も発注者も外注先もつながったリアルタイムの作業環境が出来上がった。当然ながら印刷すべきコンテンツはあらかじめデジタルで用意され、データベースの取り扱い、オフィスソフトウェアとの連携、企業の基幹システムとのインターネットと介したデータ互換などが印刷の前準備作業のための重要な要素となるようになった。
一見するとあまり変化が無いように見えるDTPの世界ではあるが、このようにDTPの作業環境は20世紀とは一変してしまったのである。だからPDF化でプリプレスが完成したのではなく、PDFによる印刷入稿から逆算して、遡るように、カラーマネジメント・自動組版→データマッピング→コンテンツ管理・DAM→インフラとしてのXMLの浸透というように、ITを駆使して印刷制作を高能率化すべきテーマが急速に現実味を帯び始めた。
印刷物制作の高能率化は従来は特定のリピートのある大きな仕事に焦点が当てられていたが、フリーペーパー化の急速な進展のように、一般の商業印刷にもどんどん上記のような高能率制作メソッドが利用され始めた。このようにプリプレス全体の高能率化が一般化すれば、今まで前処理のハードルの高かったバリアブル印刷の環境も整うことになる。高速高機能のデジタルプリントの活躍する夜明けも近い。
また制作業務の高度化を活用し管理するために、WebToPrint・印刷のECや、その工程の流れを常時追跡するMISの必要性も高まっている。特に海外でのオフショア制作オフショア開発の進展は、従来の日本国内の阿吽の呼吸による工程管理から脱して、役割分担が明確で合理的な生産管理の方法を発達させようとしている。このようにデジタル文化・ネットワークリテラシーが印刷の仕事にも要求される時代になっている。
今まで印刷には直接関係しないように思えていた世界を牽引する日本のデジタル画像技術は、コンピュータの処理能力の向上とともに、日常のグラフィックアーツの仕事においてもさらに素晴らしい仕事をする機会を多く提供しようとしている。このようなダイナミックな状況の中であなたの会社が近未来に向けて挑戦していることを、PAGE2007で発表して、いろいろな人と意見交換をしてみませんか?
21世紀は20世紀のメディアの常識を超えて、メディアの種類も表現も、よりカラフルになろうとしていることが、さまざまな兆しから分かる。PAGE2007は、紙を含めたメディアの制作がどのように変わろうとしているのか、どのような価値を高めようとしているのかを追求し、情報の送り手から受け手まで、メディアの発注者から利用者まで、メディアのバリューチェーン全体を取り上げ、多様なメディアを効率的に活用するためのノウハウに焦点を絞った唯一のコンベンションです。
PAGE2007コンファレンスは、印刷からWebまでの各種メディア制作の2〜3年後のビジョンを考えるために、グラフィックス、デジタルメディア、MIS/JDFの大きく3つのトラックを設け、その中の各セッションでは、先進的な取り組みをしているところに広く呼びかけて、オープンな形での運営を予定しています。
デジタルメディア・トラック
Web2.0はインターネットを使ったビジネスに再考を迫るものである。ブログやSNSなどでのクチコミ情報の影響力などマーケティングの方法も販売促進ツールも、普通の人々との双方向コミュニケーションの中で展開していかなければならない。一方、ワンセグ、検索エンジンの搭載など、ケータイは新たな利用分野を拡大し、変身を遂げつつある。
メディア、コミュニケーションの連鎖を的確に読み解き、新たなビジネスを開拓するために、PAGE2007デジタルメディア・トラックでは次のようなキーワードをベースにセッションを行う。これらの範疇の中で、2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は、それぞれの試みをPAGE2007コンファレンスで発表していただきたい。
デジタルメディア・トラックリーダー JAGAT研究調査部 大石 収
e-mail : ohishi@jagat.or.jp
●Internet Publishing
動画活用、ユーザビリティ、制作管理
●EC、eマーケティングリサーチ
Web広告、ユーザサポート、コミュニティ、電子決済サービス
●電子カタログ、電子マニュアル、電子書籍
システム、運営、コンテンツ
●eラーニング
コンテンツ制作、運営管理
●コンテンツ管理
メタデータ、DAM、標準化、セキュリティ
アーカイブ(美術品、地域文化・情報、ビジネスドキュメント)
●ユビキタス
携帯電話応用、2次元コード、ICタグ
グラフィックス・トラック
印刷プロセスのデジタル化は進展したが、ネットワークという点では離れ小島のようなもので、前後工程とは人的なつながりで仕事をしていることも少なくない。
Web環境を活用し、前後工程とコンピュータtoコンピュータでつながったシステムが確立しつつある。
オープン化、データの再利用、システムの柔軟性、最適化などの要素を用いて顧客の問題解決を図り、サービスの価値を高めるチャレンジが行われている。
PAGE2007コンファレンスのグラフィックス・トラックでは、ITを使った付加価値と生産性向上を大きなテーマとして取り上げたい。このトラックは次のようなキーワードをベースにセッションを行う。これらの範疇の中で、2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は、それぞれの試みをPAGE2007コンファレンスで発表していただきたい。
グラフィックス・トラックリーダー JAGAT研究調査部 千葉弘幸
e-mail : chiba@jagat.or.jp
●自動レイアウト
組版エンジン、プラグイン、Web上での組版レイアウト
●オンラインパブリッシング
ASP印刷サービス、ワークフロー、コラボレーション、XMP
●カラー
カラー再現性、色管理、標準化動向、広色域印刷、CG合成
●デジタルカメラ
新技術、標準化、次期目標
●デジタル印刷
バリアブルプリント、パーソナライズ、ブックオンデマンド
●XMLパブリッシング
複合文書、XMLツール、XML関連ミドルウェア
●文字コード/字形
次期OS、ユニコード、標準化、フォント、外字
MIS/JDFトラック
生産設備のコンピュータ管理がJDFで行われるようになるには、事務処理のIT化や経営管理のIT化などが伴わねばならない。そのためにSCM(サプライチェーン)だけでなく、企業全体としてデジタルインフラの見直し、セキュリティを考慮した運用の確立が急がれている。
ITを断片的なテーマとしてではなく、MISのトータルな戦略の下に組み立て上げ、印刷業界は社外との連携を含む全体最適化を成し遂げるために必要な環境整備が始まっている。
IT化したコラボレーションとその前提としての管理の整備はまだ始まったばかりだから、その全体像を把握するために、将来ビジョン・基本コンセプト、現状、今後の課題を話し合いたい。
MIS/JDFトラックでは次のようなキーワードをベースにセッションを行うので、2〜3年先をターゲットに活動を始めている方々は、ぜひそれぞれの試みをPAGE2007コンファレンスで発表していただきたい。
MIS/JDFトラックリーダー JAGAT研究調査部 花房 賢
e-mail : hanafusa@jagat.or.jp
●JDF開発
規格開発、ツール開発、検証
●生産システムの連携
MISと生産システムの連携、JDFアプリケーション
●オープンシステムへの対応
インフラ対応、企業間情報交換、IT戦略
●CIM、JDFへのユーザの取り組み
CIMのビジョン、ロードマップ
●マネジメント・インフォメーション・システム(MIS)
印刷業界における経営管理、経営意思決定ツール
●JDFワークフロー
モデル化、課題
クロスメディア・コンファレンス同時期開催
会場:サンシャインシティ 文化会館7階
期日:2007年2月7日(水)〜9日(金)
クロスメディア・コンファレンス担当 JAGATメディア開発部 秋本千里
e-mail : cakimoto@jagat.or.jp
展示会場にはクロスメディアZONEもあります
展示会担当 メディア開発部 岡田・田中・秋本
e-mail : okada@jagat.or.jp
●クロスメディアシステム
SI、コンサルティング、データベース、
コンテンツマネジメント、サーバ・ネットワーク
●クロスメディア制作・管理ツール
XMLツール、デジタルイメージング、ICタグソリューション、グループウェア、
eラーニング、電子カタログ、セキュリティ、ストレージ、電子透かし、2次元コード
●クロスメディアサービス
コンテンツ配信、ECプラットフォーム、制作サービス、マーケティング
Call for speaker
急速に進行するIT化、EC化のなか、日本の産業構造が大きく変革していく時代にあって、過去のビジネスモデルが通用しなくなり、それぞれの事業プランは以前にも増して緻密なシナリオ化が必要になっています。しかし個々の企業の判断・理解が可能な領域は限られているので、お互いのビジョンや試行錯誤の経験を有効に交流させて、今後3〜5年後のビジョンを強化するための話し合いをしようというのがPAGEコンファレンスの開催主旨であり、グラフィックアーツ業界の将来を左右するトピックスを濃縮した各トラックのプログラムは、関係の経営者・管理者にとって最も重要なものとなることを目的としています。
各トラックの主旨のように、近未来のビジョンをもって上記に関する取り組みをされていて、PAGE2007において30分ほどのプレゼンテーションが可能な方は2006年10月19日までに、各トラックリーダ宛に、発表できるテーマについて簡単な内容をお書きの上、eメールにてお送りください。追って当方から、連絡を申し上げます。
ご応募いただいた方には、PAGE2007基調講演にご招待をいたします。また各トラックのセッションで発表いただくことが決まったスピーカーの方には、PAGE2007コンファレンス全セッションに参加できるフリーパス(94,000円相当)を差し上げます。
Call for speaker締切 2006年10月19日(木)
社団法人日本印刷技術協会
〒166-8539 東京都杉並区和田1-29-11 TEL 03-3384-3113
詳細は http://www.jagat.or.jp/page/
参考:前回のPAGE2006は ここ
2006/10/09 00:00:00