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Webでさえ2.0を目指す時代、旧来メディアはどこへ行く?

10月に 「メディア制作の高能率化が急速に現実味を帯び始めた」 の記事で、2007年2月7日から3日まで開催されるPAGE2007コンファレンスのスピーカー募集を行ったところ、たくさんの応募をいただき、誠にありがとうございました。コンファレンスの時間枠が限られている関係で、入りきらないテーマは別途何らかのセミナー・ミーティングで採り上げさせていただきたく、検討を行っています。

21世紀はネットメディアの変化だけでなく、印刷メディアでも雑誌の凋落とフリーマガジンの増加のように、似て非なるもの、いや正確には読者にとっては同じようなもの、出版する側にとっては別世界というような、微妙なすれ違いの変化が起きている。画像はスキャンしてレタッチという作業の流れから、デジタルカメラやCG合成なども含めてRGBワークフローになり、レタッチと色校正は製版の外という微妙なすれ違いの変化がある。当然ながらマスメディアからケイタイ・Webという変化も随所にみられ、利用者からすると徐々に変わる微妙なものであるが、非常に本質的な非可逆の変化をもたらそうとしている。

フリーペーパーの増加は、Web上で無数の著者が無料で原稿を書くようになったのと同根である。今はWebの情報が見られないところがあるから紙媒体が使われるので、今後両者のバランスは変わっていくだろう。レタッチと色校正は製版の外というのは、絵作りをどこでするかが変わったのであり、印刷会社で撮影までする分には合理化になるが、絵作りが印刷会社から離れていると付加価値の低下なのかもしれない。つまり以上のどのことも、従来のビジネスモデルを白紙にして考え直さなければならない変化であるといえる。

20世紀の末にアナログからデジタルに転換した仕事は多くあるが、そのデジタルの仕事が今後も安泰で続けられることはなく、著者からクリエータ、デザイナ、編集、流通、そして読者まで、すべてがデジタルでネットワークでつながっていることを大前提として、メディアのビジネスを仕切り直しすることが迫られているのである。今までの部分的で不自由も強いていたインターネットが「Web2.0」という新たな目標を掲げ出していることをみても明らかである。

PAGE2007コンファレンスに向けて、昨年と同様に多くのスピーカー募集をいただき、Web2.0やXMLパブリッシングなど今日的な動向を強く反映した、PAGE2006より一層前進したものになっていると感じられた。過去のアナログにデジタルを継ぐような前進ではなく、21世紀的なメディアのあり方から逆算して今日の課題を考えるきっかけがPAGE2007コンファレンスでの発表から感じていただくことができるだろう。PAGE2007は「21世紀のカラフルメディア」をテーマに、展示・コンファレンス・セミナーの他にもさまざまな特設ZONE、ジョイントイベント、クロスメディアコンファレンスなど、多彩なプログラムを用意する予定である。

今回応募をいただいたPAGE2007コンファレンスにおけるいろいろなソリューション提案は、以下の4つのトラックの下にある各セッションに振り分けさせていただいた。詳細は12月に入ってから順次紹介していきたい。

基調講演トラック 2007年2月7日(水)

午前の基調講演A0では「21世紀のメディア環境はこうなる」をテーマに、写真のレタッチに代わって、CGと実写合成で見事な質感を描き出す浅岡肇氏、ケイタイやコンシューマエレクトロニクスの急激な進歩や今後人々を取り巻く新たなメディア環境を追いかける清水計宏氏、ネットの未来やその中の出版の姿、CGMやYouTube、MySpaceなどWeb2.0的動向を考察する歌田明弘氏という今日の変化の最先端にかかわる3人が、20世紀のアナログメディアでは考えられなかったような、ボーンデジタルの先に起こりつつある兆しを解読するためのプレゼンテーションを行い、それらを受けて、クリエイタ側から、利用者側から、またビジネスの視点で、21世紀のメディア環境を見通し、その影響や社会的効用について話しあう。

午後の部は、以下の4つのセッションで構成される。

A1「色再現技術の可能性 脱三原色」
A2「CGが変える写真の世界」
B1「IT・サービス化の中のビジネス・イノベーション」
B2「情報の影響力とメディアビジネス」

デジタルメディアトラック 2007年2月8日(木)〜9日(金)

デジタルメディアトラックでは、メディア、コミュニケーションの連鎖を的確に読み解き、新たなビジネスを開拓するために、メディア周辺のさまざまな事例や最新技術の動向を紹介し、議論することでデジタルメディアの近未来を考える。 Web2.0はインターネットを使ったビジネスに再考を迫るものである。ブログやSNSなどでのクチコミ情報の影響力など、マーケティングの方法も販売促進ツールも、普通の人々との双方向コミュニケーションの中で展開していかなければならない。一方、ワンセグ、検索エンジンの搭載など、ケータイは新たな利用分野を拡大し、変身を遂げつつある。そこで今回は以下のテーマでセッションを行う予定である。
C1「モバイルコンテンツの充実」
C2「次世代Web検索」
C3「紙メディアからクロスメディアへ」
C4「Web2.0時代のサイト構築」
C5「プロデューサ、ディレクタへの道」
C6「クロスメディアの進化」

グラフィックストラック 2007年2月8日(木)〜9日(金)

DTPおよびプリプレスのデジタル化の次には、印刷会社と顧客間でコンテンツデータや指示情報をやり取りするという本当の意味でのネットワーク構築が目標となる。一部では、顧客の立場に立ったオープン化、データの再利用、柔軟なシステム、全体最適化などを実現し、顧客の問題解決や印刷制作のサービス価値を高めるチャレンジが行われている。このトラックでは、ITやWebを活用した印刷ビジネスのサービス価値と生産性向上を大きなテーマとして取り上げる。
D1「サーバサイド・パブリッシング」
D2「プルーフにおけるモニタ活用」
D3「デジタルカメラデータの運用」
D4「広色域印刷と広がるビジネス」
D5「デジタル印刷の伸展」
D6「コンテンツ再利用を重視するXMLパブリッシング」

MIS/JDFトラック 2007年2月8日(木)〜9日(金)

JDF投資を従来の設備投資の延長と狭義にとらえるのではなく、今後の印刷の市場環境を考え、短納期・小ロット化の顧客の志向に応えて、スムーズに仕事を流せる環境を作るために、受発注業務の合理化、進捗状況の可視化、顧客が望む製品仕様を迅速かつ正確に製造現場に伝えるJDF投資を考えるべきだろう。また、その前提として、デジタル化・ネットワーク化の時代にふさわしい次世代MISの構築が重要なポイントとなる。このような観点から、以下の6セッションを企画した。
E1「MISのJDF対応の道筋」
E2「PrintTalkとJDFによる印刷ECの可能性」
E3「JDFの規格動向と実装」
E4「JDFのユーザ事例」
E5「WebToPrint/デジタル印刷とCIM」
E6「印刷FAの行方」

狭義の印刷業界から頭ひとつ抜け出して、グラフィックアーツの世界での飛躍を考えているあなたのために、業界の明日に希望が持てるホットな息吹を随所に感じるPAGE2007コンファレンスは開催されます。

2006/11/26 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会