下川氏:3年越しでSNSに取り組んでいます。お客さんでSNSを根幹としてWeb2.0を育てていこうというところがあります。いろいろな会社から、いろいろなAPIを持ったサービスが出てきます。例えばOffice Liveというサービスは、スケジュール管理などいろいろな機能があるのですが、それと連携したり、Grooveという、世界中でバーチャルな会社を作って何人かで仕事をするようなことができるような仕組みまであります。
何かシステムを作るときには、結局サーバ上にASPでするのだとしたら、いろいろなサーバと連携して、多展開していこうということです。
JAGAT:Webも単に情報提供したら終わりではなくなって、いろいろなものが絡んできました。オーダーも絡んでくるし、広告も絡んでくるので、開発を外部に頼むときに「これ以外は知らない」と言われてしまうと困ってしまう。別途に似た機能も作らなければいけないので、拡張性を備えていて欲しいけれども、Webを作っている人は「これでいいじゃないか」という話になってしまうので難しいです。
下川氏:Google、AmazonなどのWeb APIを持っているところを見ましたが、RSSとかWeb APIとか、他と繋がるものをうまく組み込んだ形でやっておくと拡張性が持てるようになります。
JAGAT:Webの広告収入は増えていますが、クリック管理からクライアントへのレポーティングなど、いろいろ付随した機能を付けたくなります。しかし、トランザクションとかレポーティングはWebを作っている人は気にしない(笑い)ので、なかなか話が通じない。
下川氏:デザイン系の人はWebの見えるところだけに特化してしまって、バックオフィス部分というか、サーバとのやりとりのことは全然気にしていないので、イーストのような会社とデザインの会社が組めばいいものはできると思います。
Vistaにしても、Office2007にしても、今までのいろいろな課題に対して知識を入れた形でやっているので、その辺に着目すると解決方法のヒントになるし、そういうものを組み合わせて何か作ってしまったほうが、話が早いかも知れません。
JAGAT:最初はわりと単純なサーバでやっている間にだんだんサーバも増えて使い方が複雑になってきます。温泉旅館の増築のようにサーバ群がなると、ウチでも年に2回保全のための停電があるが、パソコンごとに再立上げ時間が違うので、元通りになりません。もっと単純なものに変えていかなければならない。
下川氏:Mixiのシステムも、単純だからこそ500万人まで行けたと思います。処理量の増加には、単純な1Uサーバの増設でこなすほうがいいようです。
JAGAT:Webの広告自身は検索エンジンに引っかからないので、広告にもコンテンツがついて検索エンジンに引っかかるようにして、そのコンテンツも広告主自身が成長させよくクリックされるよう努力しがいがあるようなメカニズムを入れたい。Webという媒体に対して広告クライアントの参加型のような形ができればいいと思います。
下川氏:最近、いろいろな人が投稿してくるWeb2.0的なサイトなど、そういうものをカスタマイズして出す案件が結構あります。ちょっとしたユーザ参加型のサイトを作ってほしいといわれます。
ユーザからいろいろな情報をもらってWebのほうにアプリケーションを作っていくので一番有名なのはWikipediaですが、コンテンツはオープンソースですが、今のところWeb APIは持っていません。イーストのBTONICという仕組みに入れてWeb APIを出して、そのWeb APIで今度はウィルコムのW-ZERO3で検索できるものを作りました。体験版を無料で出しています。
ある程度評価していただいているので、これからは辞書の利用も含めてビジネス化をしたいと思っています。
JAGAT:辞書は三省堂がダントツのようですが。
下川氏:Web上の辞書検索ということでは、多分三省堂が市場の多くを占めるでしょう。PC、ケータイともに小学館JapanKnowledgeが健闘しています。そういったいろいろな辞書類が、Vistaのサイドバーガジェットから検索できたり、IE7の新しい機能ではオープンサーチというアマゾンのWebサービスなどのためのインターフェースを使い、汎用的な検索が行えます。イーストはいろいろな辞書のオープンサーチインターフェースを作っていますので、IE7の標準の窓で辞書が引けるという形に持っていけます。またテクノロジーが進化して、なかなかおもしろい世界になってきたという気がしています。
今出てきているテクノロジーで、これから4〜5年はいろいろな新しいサービスが出現し、インターネット上も伸びる企業と伸びない企業が振り分けられて落ち着くのではないでしょうか。
JAGAT:お忙しいところ、たくさん刺激的なお話をいただいて、ありがとうございました。
−完−
2006/12/26 00:00:00