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モニター環境の見直しで実現するカラーコミュニケーション

2007年2月8日PAGE2007コンファレンスで開催されたグラフィックストラックの「モニター環境の見直しによるカラーマネジメント再構築」では、エックスライト 中込浩之氏、クレオジャパン 郡正也氏、凸版印刷 三橋徹氏に印刷会社におけるプルーフやモニター環境の動向についてお話を伺った。



印刷会社では、より一層の短納期化やコストダウンを実現するための、色校正や承認プロセスの改革が求められている。そこで、印刷会社におけるモニター環境のあり方とカラーマネジメント再構築について議論をおこなった。 例えば、凸版印刷では視環境の研究やさまざまな実験結果から、照明や周囲を考慮した環境をつくり、色見本を見ながらディスプレイ上で色修正したり、プリプレスの現場だけではなくクライアント側にも同様の部屋を用意して、色の伝達がより効率的になる環境づくりを実践している。

モニタープルーフへの期待

デジタルカメラ、スキャナ、モニター、プリンタ、印刷機など多数のデバイスが存在するなか、色情報を管理するしくみであるカラーマネジメントシステムは重要度を増している。とくにモニターは、画像の入力時や修正時の確認など利用する機会も多く、色の見え方は作業効率に大きく影響する。

従来の平台校正に代わり、インクジェットプリンタ校正への移行が増加している。1998年に大型インクジェットプリンタ校正がブレイクスルーしたと考えられる。そこでは、こなれた価格、ICCプロファイルの運用、マーケットの容認などが大きな要因であろう。

モニタープルーフへの要望として、さらなる短納期対応、コストダウン、遠隔対応、ハードプルーフとのカラーマッチングなどがあげられる。モニタープルーフの環境は、色温度やガンマカーブの調整などのモニターキャリブレーションとセンサーを使用したキャリブレーションが重要である。
モニタープルーフのブレイクスルーは、トータルカラーマネジメントの確立、ハードプルーフとのカラーマッチング、適時適用(運用方法)、運用の仕組みとコストなどがクリアされることが必要だろう。

コダックのポータルソリューション

コダックが提供するモニタープルーフの仕組みは、ハイエンドLCDモニター+ウェブポータル+カラーマネジメントである。インターネットまたはイントラネットをインフラに利用し、汎用Webブラウザからの簡単アクセスで、オンラインでのモニタープルーフを実現する。モニター上での色校正として、印刷色シミュレーションや校正プロセスのより一層の効率化、スピードアップが可能になる。

また、印刷現場でのモニタープルーフとして、モニター端末一式を印刷現場に設置し、色見本用途として使用する。オペレーターは、モニターを色見本に刷り出し確認でき、制作から印刷までモニター上で一貫した同じカラーを共有する。
モニタープルーフのメリットは、スピード、コラボレーション、エコロジーがあげられる。実現に向けての課題は、自社色基準(ターゲット)の策定、色基準をもとに、制作〜印刷まで全工程にわたる安定的運用、モニター設置環境、ハードプルーフとの比較環境の共有、クライアントの理解がある。

色の見え方と観察環境

視対象からの光の特性が同じでも周囲の条件によって色は変わる。したがって、色を正しく伝えるためには、観察環境の標準化が必要である。
色を正しく判断する環境として最低限考慮すべき項目は、以下があげられる。
・周囲の色
・照明光の特性(分光エネルギー分布)
・照度
・モニターの輝度

照明が変わると、紙(反射物)よりも自ら発光して光の特性が変わらないモニターの方が色が変わって見える。色を正しく評価、判断するためには、周囲や照明光は無彩色であることが望ましい。また、濃度差を検出する能力は、とくに照度の影響は受けにくいが、その確度は暗い色は暗い環境で、明るい色は明るい環境で若干下がる傾向にある。

環境照度による色の見えの変化を調べた結果は以下のとおりである。
・環境照度が異なると見えが変わる
・照度差が大きくなるとシフト量も大きくなる傾向にある
・中間的な照度条件を基準とすると他との差は少なくできる
・今回の実験条件範囲内では中心の600(lx)基準が比較的良い

各種実験結果から、印刷物などの反射画像をモニターと同時に評価することを考慮すると、照度はおよそ600〜1200(lx)が適切である。
実運用例では、照明:色評価用D50、周囲:無彩色の環境を整備して、場合によってはクライアント側にも同様の部屋を用意して、色の伝達がより効率的になる工夫をしている。
以上のように、モニターの機種、設定、環境条件などを統一することにより、カラーコミュニケーションが可能になり、作業効率アップと品質向上が実現する。

(PAGE2007コンファレンスD1セッション)

2007/02/19 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会