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「メディア戦略×強み」で進化

2007年2月9日(金)、PAGE2007 デジタルメディアトラックC6セッションでは「クロスメディアの進化」をテーマとして、Webを活用したプロモーションやビジネス事例、クロスメディアを支える技術について、3名のスピーカーに講演いただいた。

  1. ネット中心のECとメディア活用の事例 [ゴルフダイジェスト・オンライン(以下GDO) 田村氏]
  2. 交通インフラを活用したプロモーション事例 [NKB 伊東氏]
  3. クロスメディアの基盤技術となる2次元コードとRFID [デンソーウェーブ 柴田氏]
GDOは、ゴルフというカテゴリーに特化したコンテンツやサービスを提供しており、強い媒体力を有することが強みである。ユーザーやコミュニティでの口コミ等、蓄積したデータをリアルな場面で販促ツールやコンテンツとして活用したり、ブログを最新情報提供ツールとして活用することで、ネットとリアルを融合したサービスを展開している。

NKBでは、利用者が多い駅や電車等の巨大マスメディアでの広告をベースに、地域を切り口にした情報提供や、コラボレーション企画等、単なる媒体のミックスではなく、ターゲットとなる人を中心に据えたプロモーションを展開している。

  GDO
「ゴルフダイジェスト・オンライン」
NKB
「レッツエンジョイ東京」
強み 高い媒体力
ニッチなゴルフ市場
駅は巨大マスメディア
高い広告認知度
サイト利用者 会員100万人 登録会員21万人
月間UU数160万人
クロスメディア事例 Webデータをリアルに活用
ブログの活用
エリア括りで情報提供
紙媒体の活用


ネット中心のECとメディア活用:GDO

■ゴルフではダントツのメディア

GDOは、Webサイトやケータイ、動画など、ゴルフ分野において高い媒体力を有している。 ゴルフ関連競技情報を入手するためによく閲覧するサイトを調査した結果、GDOはYahoo Sportsに続いて2位であり、3位以下を2倍以上引き離す結果となった。またゴルフ関連番組の視聴時間についても2位となっている。

■相乗効果を生むトライシクル(TRICYCLE)モデル

トライシクルモデルとは、総合サービスとコンテンツ、会員・コミュニティ、ブランドを土台に、ゴルフ用品販売、ゴルフ場予約、ゴルフ関連各種メディアの3事業をひとつのサイトで運営することで、強大な事業シナジーを開発するサイトモデルである。
GDOでは、ゴルフというカテゴリーに特化し、3つのサービスを融合・循環させたゴルファーのためのワンストップポータルを作ることで、モデルを実現している。

ゴルフダイジェスト・オンラインWebサイト

■ゴルフユーザーを牽引するサービス

◇Webデータを有効活用して顧客活性化
ゴルフ人気コースランキングなど、Webで得た情報をもとにコンテンツや販促ツールを作成し、ゴルフ場やスクールで活用してもらうことで、既存顧客の活性化(リテンションマーケティング)を図っている。


◇ブログを販促ツールとして活用
ブログを活用して、ゴルフ場営業担当者が、翌日のコース空き状況などタイムリーな情報を当日中に告知する。利用者は、ブログには最新で一番お得な情報が掲載されていると認知しており、ブログ閲覧者の予約確率は通常の予約コース紹介コンテンツの倍以上となっている。
ゴルフ場側でもブログで紹介されることを喜び、特別空き枠確保などの営業サポートツールとしても利用されている。

交通インフラを活用したプロモーション:NKB

■アテンション(注意)に強い交通メディア

駅は、首都圏で1日4,500万人が利用しており、TVにもひけをとらない巨大なマスメディアといえる。この巨大市場において同社は、車体広告や貸切広告、掲載期間の短期間化、沿線で同じ広告を掲載する等の、「大型化」「モジュール化」「ネットワーク化」を媒体開発コンセプトとして広告事業を展開している。
これらの交通広告は認知度が高く、JR東日本企画の調査によると、車内広告や駅ポスター、駅看板は、TV広告や新聞・雑誌広告と比べて目立つ媒体イメージと認識されている。

レッツエンジョイ東京Webサイト

■交通インフラ+ITでプロモーション

◇エリア括りで情報を串刺し提供
駅や交通機関を中心として、周辺エリアのショップ情報や展覧会情報の提供をおこなう。従来は展覧会ごとにプロモーションを実施していたが、例えば「上野」というエリアで括って、複数の展覧会をひとつのポスターやWebでまとめてプロモーションする。


◇紙媒体は、地道だが確実に効果
「地下鉄に乗って」という映画との連動キャンペーンでは、映画に出演している女優を「レッツエンジョイ東京」ポスターモデルに起用し、月替わりで駅貼りポスターによる告知を展開した。
紙媒体でのプロモーションは地道ながら、検索エンジンで「レッツエンジョイ東京」で検索するユーザーが増加するなど、確実に認知度の向上に寄与している。

最後にデンソーウェーブ 柴田氏より、クロスメディアのベースとなるテクノロジーとして、代表的な2次元コードであるQRコードと、ICタグについて、数円のタグを実現した響プロジェクトや東京都で行われた電子タグの実証実験、普及課題等について紹介いただいた。

2007/03/04 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会