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Windowsにおけるサポート文字拡大と今後の外字対策

マイクロソフトのWindows Vistaが発売され、文字セット・フォントも最新のJISの文字規格に対応されることとなった。
テキスト&グラフィックス研究会では、インデックスフォント研究会の伊藤英俊氏に、Windowsにおけるサポート文字拡大と今後の外字対策についてお話を伺った。

文字政策と文字の規格

国の文字政策では、当用漢字から常用漢字までの字体に変化はない。国は表内字(常用漢字)に対してだけ字体を決め、表外字に関する指針は示していなかった。
しかし、2000年に表外漢字字体表を発表し、1,022字について字体の指針を出した。ここでは康煕字典体が採用されていた。
また、2004年に人名用漢字が488字拡張され983字になったが、ここでも表外漢字字体表の考え方である康煕字典体が多く採用された。

文字コード規格では、JIS78とJIS83(JIS X 0208:1983)があり、それぞれ当時の当用漢字および常用漢字をベースに制定された。
JIS83で字体の齟齬の問題が起きたが、これは当用漢字から常用漢字に変わった際に増えた95字、例えば「頻」や「嫌」が新字体になり、その考え方が第1水準全部に準用されたためである。

国際的にはISO10646UCSやUnicodeが出て、日本のJIS83および補助漢字がUnicodeに全部入った。
それでも文字が足りない、として作られたのが、第3、第4水準漢字が拡張されたJIS X 0213:2000である。これは2002年のUnicode3.2に入った。
このJIS X 0213:2000に対し、さらに国の指針である印刷標準字体に基づき、例示字体を変更したのがJIS X 0213:2004である。

Windowsは、NT3.1からOS内部のコードをUnicode1.1とした。Windows2000とXPでは、Unicode2.0がネイティブコードになった。そして、Windows VistaではUnicode3.2となり、JIS第3および第4水準漢字が含まれることとなった。

人名用漢字

戸籍法では、子供の名前には平易な文字を使うとして、戸籍法施行規則でその範囲を定めている。具体的には常用漢字と人名用漢字、それにカタカナおよびひらがなである。その人名用漢字が983字になった。以前は290字と非常に少なかった。
人名用漢字は、第1水準685字、第2水準191字、第3水準107字となっている。Windows XP以前のシステムでは、第3水準がサポートされておらず、人名用漢字の107字が使えない。これもVistaで第3、第4水準まで拡張しようという背景のひとつである。

Windows VistaにおけるJIS X 0213の実装

Unicodeに最初に入れられたのは、CJK統合漢字で、JISの第1・第2水準漢字、補助漢字である。その後、JISでは第3・第4水準が拡張された。Unicodeで、JIS第3・第4水準すべてがサポートされたのは、Unicode3.2である。

Windows VistaにおけるJIS X 0213の実装は、Unicode3.2のコード体系のもとでJIS X 0213の文字セットをサポートするという形である。
今までWindows XPがサポートしていたものは、Unicode2.1であり、第1・第2水準漢字と補助漢字の部分だけである。今回、第3・第4水準漢字の補助漢字との差分をWindows Vistaが追加サポートするということであり、追加される漢字の数は、約1,200字である。

(この続きはJagat Info 2007年4月号、詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報誌 Text & Graphics No.253に掲載しています)

2007/04/19 00:00:00


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