2006年の日本経済を見ると、景気回復局面は高度成長期のいざなぎ景気の57カ月を超えて、戦後最長となりました。世界経済の拡大を背景に輸出が好調で、また設備投資も好調だったほか、個人消費も堅調に推移しました。なかなか景気回復の実感は感じられないとの指摘もありますが、かつての好景気のようにすべての人や地域で所得が増加する結果になっていないからだと思われます。そのために地域格差、所得格差のように格差社会の問題が指摘されています。
雇用情勢は2006年12月には失業率が4.0%に低下して、有効求人倍率も前年を0.11ポイント上回り1.06倍となりました。06年の平均完全失業率は4.1%(前年4.4%)と4年連続で低下しました。
2007年はアメリカを中心とする海外経済の減速の影響が不安視されますが、個人消費は安定的に増加すると予想されるなど、いくつかの不安要素を抱えながらも景気の拡大傾向が続くものと予想されています。
印刷業界を見ると、印刷物の生産量が大きく減っているわけではありませんが、全般に受注価格はかつてのような水準にはありません。プリレス加工度が減少していますし、印刷業の売り上げ構造が変化して収益状況は厳しくなっています。そのためITを活用しての生産工程の見直し、効率化で収益性の改善に取り組む必要性に迫られています。既に印刷会社、クライアント側の一部には、ITを活用しての受発注や制作の効率化を実現して実績を上げる企業も現れています。今後、このような会社がますます増えることが予想されます。
また、クライアント側のプロモーションなどでは、印刷物が単体での利用から、Webなどのデジタルメディアとの併用・融合が進んでいます。従って、従来の印刷ビジネスモデルの枠を越えて、時代に合ったビジネスモデルを発想することが必要になっています。そのためにはコンテンツ制作においてもデジタルを基点として展開するクロスメディアへの対応が求められます。一方、利益を向上させるためにはさらなる生産性の向上が必要です。印刷物制作・製造全体を見渡してのボトルネックの排除、情報伝達の効率化などに視点を変える必要があります。そのために経営情報システム(MIS)を構築し、JDFやEDIなどを活用しつつ、印刷CIMを実現をすることが重要です。
本号では、印刷業を概観する際の参考となるよう、印刷・製版業界に関するさまざまなデータを各種統計から選び出し、「印刷界OUTLOOK2007」としてまとめました。
制作にあたり、関係各省庁、関連業界の各種調査統計資料を参考にさせていただきました。出典資料の版元各位に厚くお礼を申し上げます。
(編集部)
Webには紙にはない機能があり、新たなコミュニケーションの世界を形成しつつある。一方、紙メディアには長い歴史に培われた表現力、信頼感、ビジネスの基盤がある。しかし、紙メディアの良さをこれからの時代に生かすには、Webとともに進化し続けなければ、新たなコミュニケーションの一翼を担うことはできない。紙メディアの進化のためには、クライアントと一体となって新たなビジネスモデルを構築する必要がある。
2006年12月13日にJAGATで開催された「進化する紙メディア」セミナーより博報堂プロダクツ 秋山隆之氏と横浜市行政運営調整局 齋藤紀子氏の講演から紙メディア、Webメディアのそれぞれの現状とこれからの新たな展開について紹介する。
(文責:編集部)
●PAGE2007&DIRECT MARKETING FORUM見聞記/大槻陽一
ダイレクトレスポンス広告の理論と実践●ダイレクトレスポンスと媒体/宮澤節夫
●PDFの無料ツールを騙(かた)った偽ソフトウエア〜PDFとしおりで客をどれだけ引き付けられる?〜/山木大志
●データ納品に必要なメディアの知識/古殿竜夫
●行動し、ノウハウを社内に根付かせる作戦/山田英司
●20世紀の宿題:色(その1)/小笠原治
●楽譜のボキャブラリー ― MusicXML/岸 和孝
●デジタルカメラの仕組み●デジタルカメラからの入稿/小俣昭夫
BOOKS●『オフセット印刷技術―トラブル解決』『文字本』/澤田善彦
PUBLISHING●マーケットリサーチ的企画の落とし穴/永江 朗
輪転印刷機の全自動印刷コントロールへの道
IRS, IDS, IQM
/株式会社QIPC ジャパン
●人口減少社会到来における仕事と育児の両立とは
●書体と字体―漢字の歴史・字体の変遷
●知識を身に着けやりがいある仕事に生かす/阿江千恵
●校正の品質が問われる出版印刷物 LP-1010導入後、クレームが消える/株式会社セイコーアイ・インフォテック
2007/04/20 00:00:00