印刷物はどのくらい輸出・入していますか?
印刷界OUTLOOK2007(7)
●印刷物輸入は2年ぶりに増加
財務省の「貿易統計」によると、2005年の印刷物の輸入額は、前年比2.0%増加して1062億9100万円となりました。輸入総額としては2年ぶりの増加となりました。1990年代後半から印刷物の輸入は増えており、特に中国、韓国、東南アジアからの輸入が増えています。理由は価格の安さを求めたもので、包装資材、事務用品が主体で、印刷技術向上によって商業印刷物も増えています。しかし、その量は国内需要に対してわずかです。
今後も、低コストを求めて印刷需要の海外流出が懸念されますが、印刷産業の顧客である企業の工場が海外進出すれば、それに伴い包装印刷物(パッケージ、ラベルや取扱説明書、マニュアル)の製作を海外で行うこともあります。これは包装資材印刷物の利用のされ方から当然のことと言えるでしょう。デジタルデータ処理などはともかく、完成品の印刷物輸入は短い納期と物流コストを考えると印刷産業全体としては大きな問題とはならないでしょう。一方、輸出額は前年比5.2%増の454億1400万円となっています。
●輸入が伸びる包装資材、事務用品
印刷品目別に輸入額のシェア推移を見ると、はがき、カレンダー、宣伝印刷物などの商業印刷物は27.9%で、前年比で0.5ポイントのアップとなりました。金額では296億8800万円と前年より4%増加しました。トップは書籍で、そのシェアは前年より2.6ポイント下がり、37.1%となりました。金額も、394億6600万円で前年比4.7%減となりました。以下は、定期刊行物(新聞・雑誌など)が14.4%で153億5300万円(前年比5.3%増)、包装資材が12.0%で128億300万円(同10.6%増)、事務用品(帳票、便せん、メモ帳、日記帳など)が8.5%で89億8200万円(同10.5%増)と続きます。包装資材、事務用品の伸びが目立ちますが、これらの輸入相手国としては中国が大きく伸びています。また中国は全品目で伸びており、国別輸入相手国でもほかのアジア諸国を大きく引き離しています。
輸出については、書籍がシェア25.0%で前年比2.8ポイント減、包装資材30.9%と同1.4ポイント減、定期刊行物は10.1%で同0.3%減、商業印刷物が32.1%で同4.6ポイント増となりました。
2007年4月号より
2007/05/15 00:00:00