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XAMLは画面のPostScript

新言語XAMLなどの登場によってWebアプリケーションの表現方法が変わろうとしている。クロスメディア研究会のセミナーより、Windows Vista周辺技術、アプリケーション動向についての講演を要約、紹介する。


WPFを利用したアプリケーション

Windows Vista関連技術で注目したいのは、.NET Framework 3.0の画面描画エンジン、Windows Presentation Foundation(WPF)である。Windows Vistaには標準搭載されている。

WPF対応のアプリケーション作成には、XAML(eXtensible Application Markup Language)という記述言語が使われている。これによって、XMLという構造自体で、アプリケーションのプログラミングを可能としている。この言語体系を使って、Flashの動画と同じようなこともできるし、Microsoft Expressionを使って編集することもできる。

WPFを利用した、ニューヨークタイムズのアプリケーションがある。閲覧ソフトのTimes Readerで、「最新情報」をクリックすると、新聞を取りに行く。つまり新しいニュースがあれば、Webサイトから情報がどんどん入ってくる。かつ、1週間分のニュースがハードディスクに蓄積されるので、オフラインでも全く同じ形で見ることができる。 動きで特徴的なのは、ウィンドウサイズを拡大・縮小すると可読性を考えて段組等が自動的に変わる点だろう。この際、アプリケーションは何もしていない。すべてWPFがやってくれる。

ページをめくる感覚

XAMLは、デザインとプログラムを分離しているので、その分だけユーザーインタフェースの自由度が高まる。ある意味、制作上のマナーはほとんどなくなっている。リッチなアプリケーションにはなるが、混乱も起きるのではないか。

日本でもTimes Readerと同じようなもの、例えば青空文庫ビュアーXamler01がある。スクロールモードも可能だが、ページをめくるようにして読み続けることができる。これまでA4サイズで約5ページ分のドキュメントを画面で読む人はほとんどいなかったと思う。

イーストの次世代Windows 体験サイトからダウンロードできる。Xamler以外にもいろいろなソフトウェアがここにある

画面のPostScript

スティーブ・ジョブズがジョナサン・シーボルト等とDTPを考えていたころ、キヤノンのLaser Writerが出た。このプリンターは高解像度で、非常に鮮明にページが見える。Aldus社の「PageMaker」(DTPソフトウェア)との組み合わせを彼らは考えた。まずMac+Laser Writerでゲラを出し、これで校正してもらう。その後、PageMakerを使い、イメージセッターに出してフィルムを出力すればいい。この際キーとなったのはMac、PageMaker、Laser Writerではなく、これらの解像度の差を全てクリアして実現しているPostScriptであった。

ジョブズはネクスト社に移った後、ディスプレイPostScriptをやったが、同社と共になくなってしまった。しかし、その技術は現在多くの人が使っているPDFの中に生きている。

PostScriptとXAMLというのは、位置付け的には似ている。画面上で動くようなものの定義には、従来、PostScriptは使えなかったが、XAMLはダイナミックなページを記述する言語、そういうもののインフラとして今後標準になるであろう。 アプリケーションはあまり気にせず、映像の場合は映像を貼り付ければいい。ストリームを出すように指定すればいいだけで、自ずとそれはグラフィックボードのほうに行き、処理されるためCPUの負荷もあまりかからない。

新しいテクノロジーがつまっていて、かつ言語基盤になるだろうから、XAMLは「画面のPostScript」といえよう。

(概要はJagat Info 2007年5月号、詳細報告はクロスメディア研究会会報 VEHICLE No.216に掲載予定)

2007/05/16 00:00:00


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