CTP時代のデジタルプルーフ技術と実用性(研究会速報)
■実用性を増したインクジェットプルーフ技術の最新動向
富士フイルムグラフィックシステムズ株式会社 技術2部 部長 塩沢 登志夫 氏
CTP導入が加速し、本格デジタル化が進んだ。CTP化率は、2002年:20%台 → 2007年:60%台になる。
CTP化時代に要求されるデジタルプルーフは、以下のとおりである。
1.初期コストの低減
2.ランニングコストの低減
3.短納期に対応できる生産性
4.印刷近似性の向上
5.高いCMS精度
6.安定出力
7.環境対応
8.省スペース
出力デバイスであるインクジェット技術の向上を以下に示す。
1.解像性向上(吐出インク量の低減)
2.印字スピードの向上(ヘッドのノズル数アップ)
3.安定性が向上(搬送機能などハード面で改善)
4.印刷物に近似した色再現(顔料インクが実用化)
ハイエンドDDCPでは、本体が高価であること、またランニングコストが5000円/m2程度になるなど、コスト面の問題がある。
インクジェットプルーファーに求められるものは、品質、機能、コストである。品質は、印刷物と同じ画像再現であり、文字品質やモアレの再現性等、実網点を使うハイエンドDDCPと同等のものがインクジェットのシステムにも求めらる。また、印刷物と同じ色再現、印刷物への近似性が求められている。
機能面では、スミのせなど印刷と同じハイエンドDDCPが実現したものは全て要求されるという。特色の再現については、ハイエンドDDCPはCMYKというプロセスカラーの印刷物を前提に設計されているので、むしろインクジェットの方が強い部分かもしれない。
また、品質、機能面の要求と同時に、当然ながらコストはハイエンドプルーフより安くなければならない。実際のコストは、専用紙タイプDDCPと比較した場合、3分の1以下の1300円/m2程度であり、生産性はA2サイズ約10枚/時間である。
また、独自のディスクリーニング技術、1bit-TIFFから出力などにより以下の効果がある。
1.文字再現の信頼性
2.文字品質の向上
3.近似網点による印刷物に近似
モアレ・ロゼッタマーク・ザラツキ感を再現
■印刷会社におけるCTP効率運用とデジタルプルーフ
新日本印刷株式会社 生産管理課 課長 道城 成人 氏
新日本印刷株式会社は、昭和34年現高松本社で設立、昭和62年東京営業所(現東京支社)開設、平成18年羽田東京工場が稼動開始した。
羽田東京工場では、以下の設備がある。
・B縦半裁両面4色オフセット輪転機(SYSTEM35S)
・菊半4色ニスコーター付UV印刷機
・菊全8色オフセット印刷機
・四六全5色オフセット印刷機
・菊半5色オフセット印刷機
・菊四4色オフセット印刷機
・システム裁断機 CTP室
・A横全判両面4色オフセット輪転機(SYSTEM38S)
・折り機・中綴じ機・シリンダー打抜き機
デジタルプルーフの変革では、平成12年SpeedProof-8000導入(高松本社/東京支社/大阪支店)、平成16年SpeedProofの老朽化による更新システムの検討を開始した。そして、平成H17年プリモジェットに決定した。
選択ポイントを以下に示す。
・イニシャルコストの低減
・ランニングコストの低減
・網点品質:CMS後のプルーフと印刷とは網点面積は完全に一致しないため、高品質な網点は不要
・印刷物近似:モアレ/ロゼットパターンが見れる
・環境適性:廃材/廃液が出ない
プリモジェットをメインプルーフに位置付けために、クライアントに対して、導入当初各種プルーフにプリモジェットを無償で提供し、インクジェットプルーフの高品質をアピールした。その結果、現在はスピードプルーフに代わって、メインプルーフとして使用できるようになった。
2007/06/20 00:00:00