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今、出版コンテンツのデジタル化は?

電子書籍は、書籍データなどを電子デバイスに表示するものであり、紙資源や印刷・流通コスト削減などの観点から、インターネットが普及する以前から普及が期待されてきたが、再生端末の能力や、通信環境、権利・著作権などの様々な課題により、本格的な普及にまでは至っていなかった。

しかし、携帯電話の表示機能の向上やパケット定額制の普及に伴い、携帯電話向け電子書籍市場がコミックを中心に近年急速に拡大してきている。また、携帯電話向け小説投稿サイト生まれの「ケータイ小説」から書籍化・映画化される作品が登場するなど、若い世代を中心に携帯電話で書籍を読む習慣が広まりつつあり、電子書籍市場は今後もさらなる拡大が見込めそうだ。

このほど刊行された『インターネット白書2007』(株式会社インプレスR&D発行)の有料コンテンツに関する調査から、電子書籍の利用動向についての現状を確認してみる。

◆有料コンテンツではエンターテイメント系が強い

調査によると、約3割(32.3%)の人が「有料コンテンツを購入したことがある」と答えている。有料コンテンツ購入経験者のうち「電子書籍」を購入した人の割合は26.7%で、「音楽ファイルのダウンロード」(61.6%)、「オンラインゲーム」(28.4%)に次ぐ3位となっている。今後購入したい有料コンテンツについては、購入意向のあるジャンルは「電子書籍」が約1割(10.0%)で「音楽ファイルのダウンロード」(18.9%)に次ぐ2位となっている。購入経験がない人も含めてたずねたため、全体全体の7割弱が「特になし」と回答しているが、購入経験、購入意向ともに音楽、書籍、ゲーム等のエンターテイメント系のコンテンツが多く占めていることが特徴的である。

また、電子書籍購入者および今後利用意向がある人に「閲覧している、または今後閲覧したいジャンル」をたずねたところ、「文芸小説」が32.7%ともっとも多く、次いで「コミック(少年・ヤング・成年)」が26.6%、「趣味・実用・ガイド」が26.3%であった。そのほか「パソコン・IT」(18.9%)、「ビジネス」(18.3%)と続いている。

◆有料情報は月500円未満が多数

有料コンテンツに対して支払う1ヶ月あたりの金額は、音楽ファイル、電子書籍、オンラインゲームのいずれも500円未満が最も多く、約半分を占めている。一方で、月に2,000円以上支払っているジャンルもあり、「電子書籍」が12.2%ともっとも多く、「オンラインゲーム」(11.4%)、「動画」(7.0%)、「音楽ファイルのダウンロード」(4.2%)がそれに続いている。


7月24日に開催されるクロスメディア研究会の定例ミーティング(勉強会)では、このような傾向を踏まえ、今後市場拡大が見込めそうなジャンルのひとつである電子雑誌の最新動向として、小学館の岩本氏、大家氏を招きお話をうかがう。
同社のネット・メディア戦略や新しい取り組みについて、さらに、「読み物」としてのメディアと読者が参加する「双方向性」を持ったインタラクティブメディアとして先月オープンした『 雑誌の市場SooK(スーク)』の事例等、電子雑誌、コンテンツ活用の可能性を紹介する。

関連セミナー: 電子雑誌は何を変える?〜小学館のネット・メディア戦略〜

(2007年7月)

2007/07/19 00:00:00


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