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Windows Vista とOffice2007における新技術

マイクロソフト社は2007年より、新OSのWindows VistaとMicrosoft Office2007を発売した。これらには新しい文字セット、ドキュメント技術、および印刷モデルが採用されている。
テキスト&グラフィックス研究会では、マイクロソフトディベロップメント株式会社の松浦一典氏に、これらの新技術についてお話を伺った。

新しい文字セット採用と新フォント搭載

Windows VistaではJIS X 0213:2004に対応することになり、Unicode3.1の大きな文字セットに全て対応できるようになった。その際、Vistaにおける字形の変更というものが168字出てきた。例えば、「辻」は字体の変更があったため、新書体のメイリオ、MS明朝のバージョン2.5(XP用)、5.0(Vista用)で、字形の変更に対応している。「葛」や祇園の「祇」は、JIS X 0213:2004で新しい字体に変更されたため、字形が変更になっている。

マイクロソフトは、Vista上でXP、Windows2000で使われていた字形を使用するためのフォントをダウンロード提供している。また、XP、2003向けの0213:2004に対応した字形のゴシック、明朝のフォントセットも提供している。

新印刷モデル、XPS

XPSはXML Paper Specificationの略である。画面上の内容やレイアウト結果をこのフォーマットで保存すると、電子ペーパーおよび電子データとして使用し、印刷に使うことができる。または、オンラインで見ることができる。
いったんXPSのフォーマットに変換すると、Officeや特定のアプリケーションがない場合でもXPS Document Viewerというソフトウェアを使って、ドキュメントを見ることができる。このソフトウェアは無償で、Windows XPや2003でも提供している。
Office2007をインストールした後にPDF・XPS保存アドインをインストールすると、「PDFもしくはXPSで保存」というメニューが出てくる。

XPSのファイル構造は、ドキュメントを構成するフォントや電子署名等をヘッダにし、ZIPファイルとして圧縮される。プリンタ用のドキュメント形式、Windows Vistaにおけるスプールファイル形式、ページ記述言語という3つの側面を持ったファイルである。

従来のWindowsのGDIという仕組みでは、各色ごとに8ビット階調までしかないという制限や、印刷上のレイアウトに制約があった。そのため、プロ仕様では独自にプリントドライバやPostScriptを使うアプリケーションが多かった。
Windows Vistaは、これらの制約をなくし、印刷機能を大きく改善しており、Windows Color Systemという新しい色管理を搭載している。

Office Open XML

Office2007の保存ファイル形式が、Office Open XMLというXML形式に変更された。
WordやExcel、PowerPoint等のアプリケーションファイルは、ドキュメントを開くたびに、アプリケーションが必要となる。ドキュメントの共有や保管に適しているとは言えない。
XMLデータとして公開するため、例えば、データベースからバッチ処理によって、直接XML形式で書き出すことが可能になる。オープンソースコミュニティで開発されているOpen Officeのドキュメントとの相互運用も可能となる。

ファイル構造はシンプルで、ドキュメントやスプレッドシートをXMLファイルとし、ZIPで圧縮している。電子署名を付けてZIPで圧縮すると、特定の人しか開けられず秘密保持をおこなうことができる。
Open XML規格として公開されており、Officeのドキュメントフォーマットを誰でも使うことができる。

マイクロソフトは、オープンソースのコミュニティで作られているドキュメントフォーマットとOpen XMLの間で、相互運用する環境を維持し、2つのフォーマットが共存して、それぞれのドキュメントが交換できるような状況を目指している。

(この続きはJagat Info 2007年7月号、詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報誌 Text & Graphics No.257に掲載しています)

(2007年7月)

2007/07/21 00:00:00


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