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低下する電波媒体と紙媒体の位置

インターネットの普及が広告市場に大きな影響を与えていることは、もう誰もが認めざるを得ない。この2、3年は、特にテレビを含むマス4媒体への影響が大きい。2005年、GDPはプラス成長であったがテレビ広告ほかマス4媒体の広告費全てが前年割れになった。そのような状況は従来考えられないことであったが、以降、その状況が続いている。
図1、図2は、電通の日本の広告費に掲載されている各媒体を、「電波媒体」(テレビ、ラジオ)、「紙媒体」(新聞、雑誌、DM,折込、交通広告、電話帳)および「その他」(POP,屋外、展示映像)、インターネット・衛星メディアに分けて、広告費(図1)とそのシェアの推移(図2)をまとめたものである。


まず、図1で広告費の推移を1985年基準の指数で見ると、「その他」の大きな動きが目立つ。バブル期においては展示映像がそれまでの倍以上に伸びたが、バブルの崩壊とともにバブル以前の水準にまで萎んだ。1995年以降2004年までの変化は主に景気変動によるものであったが、次の大きな変化が2005年以降、インターネット広告の拡大によって起きた。

「電波媒体」と「紙媒体」の推移を見ると、1990年代後半から両者に差が出始めた。電波媒体は1997年以降、景気変動による上下はあるがほぼ一定水準で推移している。ラジオはずいぶん前から低落傾向にあったが、メディアの王様といわれてきたテレビの動向で全体が動いていた。しかし、そのテレビも2005年、2006年、そして2007年と、景気状況に関わらず減少に転じ、電波媒体は下降に向かい始めた。紙媒体は、2003年から一段とその低落傾向が明らかになった。「その他」は、景気回復を受け手2004年以降は増加に転じている。

そのような中で、インターネット・衛星広告は2000年に入ってから明らかな増勢に転じ、特に2004年以降はその勢いを増している。電波媒体(特にテレビ)、紙媒体(特に新聞、雑誌)の減少は、インターネット広告拡大のマイナス影響といわざるを得ない。
図2は、4グループのシェアの推移を示している。
上記のような状況を受けて、大手広告代理店も、インターネットなどマス4媒体以外の分野への取り組みを強化しつつあるようで、商業印刷物分野の競争環境にも変化をもたらすのではないだろうか。

(2007年8月7日「印刷マーケティング研究会会報」より)

2007/08/07 00:00:00


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