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拡大するデジタルプリント市場

富士ゼロックス株式会社 執行役員 プロダクションサービス事業本部 事業本部長 栗原博氏に聞く

ここへきて急速に拡がってきたデジタルプリントの分野で、PODとマーケティングを連動させたビジネスなど新しい事業を展開する、富士ゼロックスに現在の市場と今後の取り組みを伺った。

−−現在の販売展開は。

栗原 一般企業では、社内で印刷部門をもつ会社だ。印刷会社に対しては、事務用ではたくさん導入しているが、生産財としては、ようやく数年前に参入したところだ。ちょうどこのタイミングで、富士フイルムの資本が少し増えた。
富士フイルムは印刷市場を熟知している。弊社の商品を印刷市場に投入して、チャネルの一つとして一緒にビジネスを展開するのは、相乗効果としてプラスだ。富士フイルムグラフィックシステムズに印刷に強い販売チャネルとしてかなり注力してもらっている。日本国内、アジアパシフィックエリアでは直接に活動している。欧米には、アメリカのゼロックスを通して参入している。国内では富士フイルムグラフィックシステムズと協業し、海外ではゼロックスというチャネルを通して商品を出す。メーカーとしては、そういうグローバルな戦略を位置付けている。

−−マーケティングと販促、印刷、PODの連携は。

栗原 一つはエリアを絞った、エリアマーケティングで、その地域でのデータを層別し、そこに合ったマーケティングを展開するためのツールとしてPODを使う。
もう一つは、企業がもつデータベースの属性を分析し、PODをつなげて、個の点でアプローチをする手法だ。郵政公社と協業し、新しいビジネスモデルが立ち上がってきた。お客様のビジネスを一緒に考え、どういう層のお客様を拡大したいのか、分析をする。結果として、そこに弊社の機械が入るケースもあれば、同じことを印刷会社に依頼することもある。その印刷会社は、ビジネスとしては弊社の機械を使っているところを紹介するが、それでも基本的には使える、役に立つということをまず実感してもらう。

−−PODが先行しているアメリカのモデルは参考になるのか。

栗原 日本の商習慣、考え方にカスタマイズして導入するほうが、うまくいく。ヒントはたくさんあるが、そのままでは良くない。アメリカは印刷の注文に対して24時間以内に全部納品しろと言われる。そうなるとPODしかない。ロジスティクスまで全部含めての提案が必要だ。今後、日本でもそうなると考えたとき、ビジネスモデルも大きく変わる。印刷会社でもそれに対応するのであれば、従来の印刷機とPODは何の違和感もなく同居し、要求に応じて、これはPOD、これは印刷と決めることになる。近い将来、日本もそれが印刷会社のスタンダードな設備になると思っている。そのきっかけは、エンドユーザーがそういうニーズを喚起し、印刷会社もそれに合わせて業態変革をしていくということだ。

(「JAGAT Info」2007年7月号より一部抜粋)

2007/08/10 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会