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CTPの普及とプルーフの効率運用

国内のCTP動向

国内における半裁以上のCTP新規導入は、ほぼ終わり中堅以上の印刷会社には行き渡ったと考えられる。オフセット刷版におけるCTP版の面積比率は、すでに70%といわれている。
大日本スクリーン製造のPlateRite8800シリーズは、最新のGLV(Grating Light Valve)技術を採用したヘッドにより、42版/時の生産性を実現する。PlateRiteシリーズは、導入後の仕事量に合わせ、EからZモデルまで生産性をアップグレードできる。

また、サーマルCTPのエントリーモデルPlateRite Niagaraと新聞業界向けに特化したPlateRite News 2000LEの2機種がある。PlateRite Niagaraは、A1ワイド対応、11版/時の生産性を低価格で実現する。PlateRite News 2000LEは、新聞のカラー紙面の増加に伴うCTP化のニーズに応えるものであり、26版/時の生産性を実現する。
アグフアのAvalon LFは、世界最速ケミカルレスプレート出力対応の菊全判CTPシステムであり、コダックのTrendsetter 800V Quantumは、従来のオフセット印刷および水なしオフセット印刷用プレートの出力が可能である。

半裁市場にもCTPの普及が始まっている。アグフアの:Acento IIは、ケミカルレスプレート:Azuraに対応する四六半裁出力用サーマルCTPである。11版/時の出力、最小324×370mm〜最大830×660mmのプレートサイズの出力が行うことができる。露光後の現像や水洗などの処理工程が不要なサーマルCTPプレートは、ワークフローの合理化はもちろん、低コスト、検版性も兼ね備え、10万部の耐刷力、品質を実現するものも存在する。

富士フイルムのLuxel PLATESETTER T-6300シリーズは、21版/時の出力を実現し、最小324×370mm〜最大830×660mmまでのサーマルプレートに対応する。
A倍判〜A4倍判のVLF(Very Large Format)ダイプには、コダックのMagnusシリーズ、大日本スクリーンのPlateRite Ultimaシリーズ、アグフアの:Avalon VLFシリーズなどがある。

CTPとともに普及する新たなスクリーニング技術

FMスクリーニング(Frequency Modulation Screening)は、網点の大きさを変えることで階調を表現するAMスクリーニング(Amplitude Modulation Screening)に対し、ある領域のドット数を変えることで濃淡や画像の階調を表現する方法である。ドットの配置は、ランダムでありスクリーン角度は存在しないため、多色印刷をしてもモアレやロゼッタパターンが発生しないのが大きな特徴である。CTPなどデジタル機器の進化により刷版や印刷機側の諸条件も整備され普及が進んでいる。FMスクリーニング等を使用するには、専用のソフトウェアまたはFMスクリーニングをサポートするRIPが必要になる。

また、AMスクリーンとFMスクリーン両方のドット構造と配置の長所を利用し、画像の濃淡に応じて網点を使い分け、絵柄のあらゆる部分において最適な表現を行うハイブリッドスクリーニングもある。 新たなスクリーニングには、大日本スクリーン製造のFairDot、Randot X、アグフアの:Sublima、ハイデルベルグのStochastic Screening、富士フイルムのTAFFETA、コダックのStaccatoなどが提供されている。

デジタルプルーフの効率運用

CTPが普及した現在、従来の校正刷りに代わって、DDCP(Direct Digital Color Proofing)やインクジェットプリンタなどのデジタルプルーフが主流になりつつある。CTPを効率運用するには、印刷条件を標準化することと、プルーフの色管理をおこない印刷条件に対応することが重要である。とくにインクジェットプリンタは、色再現品質とコスト面で実用性が高く、色校正の役割を果す場合も多くなっているので、DDCPとの使い分けが必要である。

印刷会社がデジタルプルーフに期待する機能には、カラーマッチングの精度、網点再現によるモアレチェック、文字品質の向上、リモートプルーフの活用などがある。また、短納期に対応する生産性、低コストなどの経済性も求めている。
ハイエンドDDCPの網点生成タイプでは、コニカミノルタのDigital Konsensus Premiumがある。従来のDDCPでは再現不可領域であった本紙の紙白や印刷の質感まで再現幅を広げ、より完成度の高いカラープルーフを出力する。

インクジェットプリンタを利用したプルーフシステムには、富士フイルムのPRIMOJETや大日本スクリーン製造のLabProofがある。これらのシステムは、ICCプロファイルをもとにカラーマッチングを行い、1bit TIFFに対応する。最終印刷物に近いカラープルーフが出力でき、機種によってはモアレやロゼッタパターンも判別できる。
大判インクジェットプリンタには、EPSON MAXART PXシリーズがあり、ハイクオリティモデルとハイスピードモデルがある。

校正の手段が、平台校正機や本機校正からDDCPやプリンタに大きく移行するなか、ますます低コストのプリンタベースによる出力が重要な位置付けになるだろう。

モニタープルーフによる校正業務の効率化

CTPの普及などにより印刷工程の効率化が進むなか、一層の短納期化やコストダウンを実現するには、色校正や承認プロセスにおける改善が求められる。製版・印刷会社では、色校正やカラーマネジメントへの課題が多く、その改善策を求めている。とくに、色校正のやり取りについては、品質保証の承認はもちろん、長年の慣習の問題からそのスタイルを変更しづらく、依然として校正刷りやデリバリを用いた手法がとられるケースも多い。

モニタープルーフシステムは、業界色基準などを基に液晶モニターと印刷物のより高精度なカラーマッチングを実現するものである。ある印刷会社では、写真の多い月刊誌を以前はデジタルプルーフとデリバリによる煩雑な校正フローで行っていたが、モニタープルーフを活用した色校レスによって大幅な納期短縮とコスト削減を実現している。
モニターによるリモートプルーフシステムには、コダックのリアルタイムプルーフやマッチプリントバーチャルプルーフィングシステムがある。これらは、モニター上でコンテンツの確認や色校正作業ができるリモートプルーフソリューションである。

富士フイルムのi-ColorQCモニタープルーフは、自社の色基準に基づきDDCPやプリンタとモニターの色を合わせることで、CMYK変換済みデータの「印刷仕上がり」をリアルに再現できる。たとえば、モニターで最終印刷物をイメージしながらレタッチ作業を行うことにより、レタッチの精度も上がり、ワークフローの効率化だけではなく印刷物の品質向上にも寄与する。

印刷工程における品質管理

検査・検版などの品質管理は、安定した製品をクライアントに提供するという意味において、重要な役割を果たすものである。
印刷工程では、DTPやCTPなどデジタル化が進展したことにより、中間工程が省かれ生産性向上を実現した。しかし、効率化の裏には印刷事故防止や品質管理などの大きな課題がある。

例えば、印刷会社ではクライアントから入稿するデータを加工して、印刷用データとして出力することが大幅に増加した。入稿データには、不備や不具合もあり、それらが現場に渡ってから発見されると大きなロスになってしまう。また、気づかずミスや印刷事故になる可能性もある。
CTP普及以前は「フィルムと校正紙(印刷物)」などフィルムを基にした検版体制が確立していたが、DTPデータから直接CTP出力になるとフィルムは存在しない。CTPによって、工程が短縮されたが、従来フィルム上で行ってきた検版ができなくなり、最終印刷物までミスが引き継がれることも多い。

これらを防止するためには、データのチェックポイントを明確にして、検査のルール化、自動化を確立する必要がある。印刷物製作全体における品質管理や検査面から、ワークフローを検討することが重要である。
具体的には、デジタルワークフローにおける入稿データの検査から、プリプレスのデジタル検版など、製造工程における品質検査や事故防止のポイントを考慮して、機械やシステムによる自動化を効率よく活用するフローを構築すべきだろう。

■出典:JAGAT 発行「2007-2008 グラフィックアーツ機材インデックス」 工程別・印刷関連機材総覧

(2007年8月)

2007/09/02 00:00:00


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