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自動組版システム構築の方法と手順(速報)

日立インターメディックス株式会社
印刷メディア本部技術応用センタ 統括副部長 長浜孝信
自動組版システム構築の方法と手順

まず、対象の印刷物が自動組版できるかどうかを検討する。自動組版するには、パターン化が必要であり、デザイン性は犠牲にせざるを得ない。自動組版するための費用対効果があるかどうかの判断も重要である。100%自動化が理想ではあるが、そのためにシステムが複雑になったり、効果が上がらないこともある。自動化するところと手動でやるところを見極める必要がある。

パターンは少ないほうが開発効率は上がる。しかし、パターンが増えるほどいろいろなバリエーションもできる。それをどの程度にするかが、システム設計のキーとなる。

家電カタログでの自動組版システム

家電セールス用の商品カタログの事例を紹介する。
約400ページで商品点数3000点〜4000点のカタログを、年1回製作している。家電製品にはJANコードがあり、別冊で160ページのJANコード表もある。その2冊を自動化するという依頼であった。
以前は、手作業のMac DTPで制作していたものである。

クライアントの要望は、制作効率アップとコストダウンであった。同時に、Webサイトに情報を掲載するため、印刷物とWeb両方にデータを入稿しなければならず、二重の手間を省きたいという要望があった。

まず、自動組版が実現できるかを検討した。テレビ、パソコン、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、照明など製品分野ごとに解析をおこなった。
商品があまりにも多いため、データベースの統一は難しい。レイアウトのパターンも、商品ごとに違っていた。また、商品スペックを紹介するための表組や図版も多く、それらが自動組版を複雑化する要因になっていた。
また、赤字修正が非常に多いという問題もあった。下版寸前まで何度も赤字修正が入るので、その対応を自動組版でどうするかということがあった。

結果的に現状のままでは自動組版はできないと判断した。全ページの自動組版は諦め、80%の自動化ということでシステム開発を始めた。

クライアントとの事前調整

表組やデザイン性のあるページは、部品化し、それを一つのコマとして貼リ込む。データベースの項目を全部解析し、出来るだけ統一するようクライアントに提案した。
小組みパターンを出来るだけ減らし、パターンデザインとして提案した。色違い商品や付属商品は、メイン商品にリンクするような方法でシステムを作った。
そうすることで、いろいろな商品を一つのコマに表現できるようにした。

赤字修正は、DB Publisherの機能を使ってQuarkXPress上で修正したデータをデータベースにフィードバックするようにした。
別冊のJANコード表を廃止し、商品カタログ内にJANコードを掲載することにした。1冊なくなったことで、大幅なコストダウンを実現し、作業性も良くなった。

クライアントからExcel形式で入稿された商品情報をデータベースに取り込み、商品の割付けをおこないデータベースに戻す。データベースからテキストデータを抽出し、QuarkXPress上で自動組版をおこなう。
PDFを作成して、リモートプルーフでクライアントに送る。クライアントはサーバのテキストデータをダウンロードし、Webサーバにアップするという流れでシステムを構築した。

(2007年7月)

2007/09/28 00:00:00


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