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変わる冠婚葬祭業

ブライダル産業最大の市場は挙式披露宴市場であるが、その競争は熾烈だという。相変わらずホテルがトップのようだが、最近はゲストハウスウエディングやレストランウエディングに人気があるようで、着実に売り上げを伸ばしているという。旧態依然とした昔からある専門結婚式場は、対照的に厳しい淘汰の波にさらされている。ブライダル産業=専門結婚式場のイメージが強く、人口減少という昨今の最大の話題も手伝って「斜陽産業」と考える人も多いようだ。ブライダル産業の総体的潮流としては減少に向うのであろう。 ブライダル産業にとって人口減少は最も根本的なことだが、関係者の関心はむしろ非婚層の動向だという。ミレニアム婚ブームによって大幅に伸びたがその反動か、2001、2002年とかなり落ち込んでいる。その後は逆に微増を続けている。
一方、冠婚葬祭の葬祭関係は医療技術が進んでも人間が死ぬことは避けられない自然現象である。超高齢化社会という高齢者人口の飛躍的な増加が葬祭産業をそのまま成長産業に押し上げている。
ブライダル産業の関係者が、非婚層の動向に強い関心をもっているのもそのことで、結婚に対する普遍的願望をどう顕在化させるかが大切であるという。それには新鮮なコンセプトでの刺激が重要である。旧態依然としたコンセプトとサービスで受注を待つだけでは価格競争しか残っていない。やがて市場から退場することは目に見えている。これは印刷業とて同じことである。

建物をリニューアルして、はやりのデザインや料理、演出をするだけでなく、ブライダル産業全体のサービス向上が必要である。その典型的な例が、結婚情報サービス業の成長である。1980年代に登場した企業が大きく成長したが、昨今は外資系やインターネット企業が進出してきた。
ブライダル業界も顧客視点で見直し、自分たちから仕掛けを始めている。結婚情報サービス業の充実や透明化、質の向上といった事業者間の連携に加え、ブライダル産業やキャリアコンサルティング業など、異業種(ライフサポート関連産業)の専門家との連携などを提言している。また、結婚、あるいは結婚へのプロセスにはメンタルな側面が大事で業界の認証制度などによってサービス業としての信頼性の確保(カウンセラーの資格制度、個人情報保護、契約ルールの透明化など)を推進している。

冠婚葬祭をめぐる環境は急速な勢いで変化しており、今までの業界のしきたりや一般社会通念に引っ張られていると取り残されてしまう。斜陽産業になるかどうかは、経営者、関係者次第で、人口減少が決めるものではない。そのためには未来を託せる人材育成が必要で、企画開発力と質の高いコーディネート力が望まれている。
インターネット関係の企業の参入はまさにこのような若い優秀な人材を背景としているようだ。上場する企業も増えており、事業の海外展開なども始まっており、幅広い連携とビジネスモデルの開発など可能性は広がるという。

一時、映画産業も斜陽といわれたがみごと立ち直った。印刷産業についても斜陽産業などと表現する人がいるが、そうだろうか。印刷メディアにいろいろな考え方はあっても大抵の人は「印刷はなくならないが・・・・・・」という但し書きをつける。であれば、斜陽産業にするかどうかは我々の努力と知恵、そして固定観念や足枷となる慣習からの脱皮に掛かっていると言えよう。

葬祭産業も国家資格を設けたり、費用の明確化、そして様々なニーズに合わせた商品開発を行っているという。冠婚葬祭といった保守的で慣習やタブーに縛られることが多い業界であっても時代に合わせて変化しており、印刷業も見習いたいものだ。


印刷経営戦略情報配信サービス『TechnoFocus』No.#1506-2007/8/13より転載

2007/10/30 00:00:00


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