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DTPにおける自動組版と分析・設計のポイント

商品カタログや情報誌などさまざまな分野で、データベースパブリッシングや自動組版がおこなわれている。しかし、個別対応のカスタマイズをおこなうため、コストや機能面での完成度には幅があるのが実情である。
テキスト&グラフィックス研究会では、自動組版の分析・設計ポイントについて、キヤノンシステムソリューションズの高橋徹也氏に話を伺った。

自動組版の分析・設計のポイント
まず過去の紙面を可能な限り用意する。以前から自動処理をしていたのであれば、そのルールについて文書化された情報があるだろう。人手に頼った編集をおこなっていた場合は、過去の紙面を用意して分析を行う。

(1)基本パターンの分類・選択
ブロック型(コマ割り)の求人情報誌やホテルガイドなどの場合、幾つかの基本パターン(ブロック)からページが構成される。データベースのレコードをどのブロックに割り付けるか、という条件が重要となる。
一般に、これらは文字量の多少ではなく、求人誌の場合であれば、クライアントが大きいブロックの広告料を払っているかどうかなどの要素で決まる。このような情報は、最初からデータベースに入っていることはあまりない。その場合、いつ誰が指示するか、どのように自動処理に組み込むかが重要となる。

(2)最大項目数と最大文字数の確認
パターンを設計する際に、データベースの全情報がそのパターン内に納まることを想定する必要がある。各項目の最大文字数も確認する。
標準パターンで納まらない場合は、アプリケーションの自動変形処理を使用する。これらの条件・対処を顧客と十分に詰めておく必要がある。

(3)データベースと紙面の差異
例えばデータベースの説明文にルビはないが、紙面を見たらルビが振ってあるとか、データベースの1項目なのに、文字の一部だけゴシックで強調されることがある。このような場合の判断基準や動作をルール化しなければならない。
顧客に「これはできないので諦めてほしい」と言うこともあるし、データベースに項目を追加する場合もある。こういうことをやればやるほど、開発の手間やコストが増えることになる。

(4)組版シミュレーションの回避
組版結果を得ない限り、どのパターンに収まるか判断がつかないというケースが一番困る。文字数で判断できる場合は簡単だが、ある行の中に納まったらAパターン、納まらなければBパターンという場合、組版処理をしなければいけない。文字列の中に欧文やカナ詰めなどがあると、難しい。

(5)例外処理
完全な自動処理を想定すると、頻度が低くても例外処理を組み込むことになる。例外処理をDTPによる手動で対処することも得策である。

組版シミュレーションと編集スクリプト

組版結果によってパターンが決められる場合がある。あるお歳暮カタログでは、品名部分の文字量に応じて、品名2行、3行、4行という3つのパターンを使用していた。文字列が何行になるかを正確に判断するには、レコードごとに組版をおこない、溢れなければそのパターンを選択する処理が必要であった。

その後、EdianWingにオプションソフトとして「編集スクリプト」機能を搭載した。「編集スクリプト」機能では、「if」文による条件分岐を設定し、その結果によって組版の処理を変更する概念を取り込んだ。これはプログラム言語として実装している。
変数の宣言、「枠選択」コマンド、「あふれ評価」コマンドにより、「その枠の文字列が溢れているかどうか判断し、溢れているならこの処理をしなさい」という設定をおこなうことができる。システム側での自動調整に加えて、組版シミュレーションをおこなうことができる。

欠点としては、プログラム言語の形式となっており、使いこなすのが難しい。うまく使いこなすと非常に効率が上がる。
これらのコマンドを使うことで、今まで難しかった自動処理もかなりできるようになった。

(この続きはJagat Info 2007年12月号、詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報誌 Text & Graphics No.262に掲載)

2007/12/17 00:00:00


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