2007年11月下旬から12月上旬にかけてJAGAT会員企業の経営者を対象に行ったアンケートの結果と要約を紹介する。調査の設問内容は以下の通り。
(1)2007年はどのような年だったか
(2)2008年の業績予想 (前者:売上高伸び率、後者:営業利益増減)
(3)2008年の重点施策
(4)2008年の抱負
(1)2007年はどのような年だったか
42社中の11社が2007年を「厳しい」と表現している。中には「最悪」あるは「最低」という表現もあった。諸資材の値上げが相次ぎ、多くの印刷会社にとって収益が圧迫され、価格転嫁が課題になった。
一方で、数は多くないものの数年ぶりの好業績になったとする印刷会社もあり、「光が見えてきた」、「底打ち感が出た」というような印刷会社もあって、景況観は強弱入り乱れている。
社内インフラの整備に着手、あるいは目処をつけた会社も多い。
(2)2008年の業績予想
売上伸び率
予想レンジ +0.7%〜+4.1%(+0.4%〜+3.4%)
予想中間値 +2.12%(+2.10%)
営業利益増減
予想の分布
増益 41.9%(27.8%)
2007年なみ 25.6%(47.2%)
減益 32.6%(25.0%)
予想中間値 2.95(2.97)
(大幅増益=1、増益=2、2007年なみ=3、減益=4、大幅減益=5とした予想の中間値)
2008年の予想を( )内の前年調査結果と較べると、売上伸び率は若干ながら上向き予想が増えた。営業利益は前年なみ予想が47.2%から25.6%へ急減した。利益については良くも悪くも見通しが立ってきた部分があって昨年の中立的見方からの分散が進んだと思われる。
予想から希望的観測を割り引いて見る必要があり、2007年業績が悪かった会社は予断を許さない状況でもある。しかし全体として見れば、2008年は諸資材値上げで収益が圧迫された2007年より上向くとの見方がやや優勢だ。
(3)2008年の重点施策
新製品・新事業・新領域への取り組み、東京や他県など地盤地域外への進出、コストダウンなどが目立つ。従来の出版印刷会社が商業印刷に取り組むようなケースも見受けられる。
人材の確保・育成・教育・発掘、あるいは組織改革などを挙げる会社も多い。世代交代、若返り、後継者育成もキーワードだ。
コストダウン、新領域、人材教育を含む組織改革が3本柱である。昨年目立った新規設備投資関係は意外に少なかった。
(4)2008年の抱負
社内を活性化したいという声が多い。現状の裏返しだろうか。「社内の輪(和)を大切に」、「明るく楽しく元気な会社づくり」、「社員に満足してもらえるよう」、「社員が健康で、元気いっぱい活躍できる」、「健康で明るく」など。
抱負に限らないが、コンプライアンス、CSR、「経営改革の見える化」への取り組みや労務改善などの組織環境や組織整備に関する取り組みを挙げた会社も多かった。
取り組むべき課題はあまりにも多く、結果を出すには時間がかかり、組織には疲労感が漂う。「立ち直りつつあったところに原材料高(原油高)が足を引っ張り水泡に帰した」というのは正直なところであろう。
このようなとき、組織をどのように設計し、どのように従業員のモチベーションを向上させて挽回するか―――経営者の腕の見せ所である。
「JAGAT info」2008年1月号より
2008/02/11 00:00:00