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知識を深め自分をステップアップ

◆橋本 香織

 私は学生のころから小説を読むことが好きで、本を作る仕事に就きたいと思っていました。就職活動を始めたころ、同じ文学部の同級生たちの希望職種は、出版・マスコミが多く、私も例に漏れず出版社の編集志望でした。しかし、企業研究を進めていくうちに「自分が本当にやりたい仕事は、企画ではなく編集実務なのではないか?」と思うようになりました。


 私が就職活動をしていたころは、就職氷河期と言われていた最中でした。「自分の仕事にズレを感じて数年後に転職するよりは、自分のやりたい仕事に就いて長く働きたい」と考えていた時、DTPと出合いました。しかし、DTPオペレーターを募集している企業は、オペレーター経験者を欲していることが分かり、少しでも経験を積もうとDTPオペレーターのアルバイトを始めました。ほぼパソコンを触ったことのない状態からのスタートだったので、編集ソフトの機能はもちろん、ショートカットを覚えるのにも四苦八苦でした。この時、WindowsのDTPソフトを使っていたことが、ワコープラネットで働くきっかけとなりました。

 ワコープラネットは、教育関連の教材や一般書籍、マニュアルなどの制作から印刷、製本までを総合的に行っています。自社に制作から印刷・製本部門を持ち、CTPオフセット印刷に特化した企業です。


 DTPエキスパート認証試験を知ったのは、社内でエキスパートの資格取得を推奨していたことがきっかけでした。入社当初、上司に試験を勧められ『DTPエキスパート受験サポートガイド』を読みましたが、当時の私には難解な単語の羅列でした。その時、自分はまだ資格にチャレンジする段階ではないと思い、オペレーターとしての経験を積むことを最優先としました。

 まだ未熟ながらもオペレーターとしての経験を積んだ数年後、オペレーターとして次のステップへ進みたいと思い、DTPエキスパート認証試験にチャレンジしました。

 有資格者の上司に、勉強方法や気を付けることを教えていただき、2006年8月の第26期試験に向けて勉強を開始しました。5月のゴールデンウイークに『DTPエキスパート認証試験対策』『DTPエキスパート試験完全対策問題集』を購入しました。最初はテキストに答えを記入して、文章として読み始めました。本を細かく分割して持ち歩き、通勤や、帰宅後にテキストを読み、7月までは内容をひたすら理解していくことに努めました。7月からは過去の問題集を借りてひたすら過去問を解きました。勉強しても勉強してもまだ理解が足りていないのではないかと、不安に思う日々でした。7月の終わりに「DTPエキスパート通信添削模擬試験」を紹介制度を使って受験しました。通信添削模擬試験なので、自宅で受けましたが、テキストなどを一切見ずにどれだけ自分の学習が足りているのかを確認しました。添削の結果は7割の正答率でしたが、それではまだ足りないと8月の本試験まで必死にがんばりました。本試験を受けた後、全く手ごたえがなく、不安な気持ちでいっぱいでした。
 課題制作を始めた時もあきらめの思いがありましたが、最後までしっかりやろうと取り組みました。課題に関しても社内で添削してもらったり指導していただきました。


 ひどく自信がなかったのですが、合格していました。独学で勉強と言っても、社内の多くの方にお世話になった故の結果だと思い、協力していただいたことに対して良い結果を返すことができ、うれしさとともに胸をなで下ろす思いでした。


 合格後、DTPエキスパート認証試験で学んだ知識を、仕事に生かせているかというと、そうだと言い切ることはできません。しかし、試験を受ける前の自分よりは確実に知識が深まっています。その知識をどのように使うか試行錯誤の最中にいます。
 現在、社内の有資格者は8人います。また、2008年2月の試験にも2名が受験します。試験は簡単なものではありません。ですが、結果として得ることができるものは多いと思います。オペレーターのみならず、印刷業界で働く自分のステップアップとして挑戦することをお勧めします。

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2008年2月号


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2008/02/16 00:00:00


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