本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

最近の製本業界動向

 プリプレス、プレス各分野でのデジタル化により生産性アップを図られた機械が多く導入されている。製本工程の機械もかなり効率化されているが新たな課題もある。製本機械メーカーには品質管理・事故防止も含め製本ラインのより効率化が求められている。製本現場では新しい接着剤へ対応や高性能の検査装置をいかに使いこなすかという課題もある。

効率化が求められる製本ライン

 製本機械の課題は小ロットまたは大ロットでも、いかに生産ラインの効率を上げるかに一番の焦点がある。その背景には製本ラインの売上にある。例えば無線綴じ1ラインで7〜8年前の年間の売り上げがここ1〜2年では約半分になっている。仕事量はそれほど大きく減ったわけでもないが、それよりもコストの低下が大きく影響している。
 中綴じの場合も最盛期の売り上げに比べると今はその約6割だ。既に持っている機械や新規に投資する機械の生産効率をいかに上げて無駄をなくするかに一番注目が集まっている。

製本工程での付加価値

 最近は、IGAS2007でも注目された付加価値をどう付けるかとよくいわれる。 これまではEthylene Vinyl Acetate(以下EVA)系の糊を使っていたが、Polyurethane Reactive(以下PUR)という特殊な糊を使うことによって引っ張り強度を強めることができる。
 また、無線綴じの機械にインクジェットを取り付けてロットナンバー、製本会社の名前まで表紙の中に印字することも行なわれている。

PURへの取り組み

 PURへの移行が叫ばれているのは、コスト削減のために上製本をPURの並製本にすることである。全体的にコストが圧縮されている現状でいかにコストを抑えるかを考えるかである。通常のEVA系の並製本をPURに置き換えるとコストアップになり時間もかかる。
 PUR自体も日本で本格的に始められてからまだ約5年である。ある機械メーカーのテストによると、当初考えられていたPURを約5年経験してその長所と短所がだんだん判ってきた。PURが必ずしも万能だというわけでもなく、これからも研究の余地があるようだ。

工夫が求められる品質管理

 品質に対する顧客の目も厳しいものがある。顧客が一番心配していることは消費者からのクレームである。特に今は消費者の目が厳しいのでそれは絶対に許されない。特にマニュアル本など出版系以外から出版に参入してきた企業は考え方がシビアである。
 品質の他に厳しいことは日程である。特に製本加工の場合は、日程をもらわないと乾燥不良によるコスレやキズ等がでて不良品になるケースがある。

(2008年3月)

2008/03/04 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会