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世界のデジタル印刷事情:2008年3月

オンデマンド・ショー

3月3日〜6日の4日間、ボストンで開かれたオンデマンド・ショーには175社が出展、25000人が来場した。今回の展示会の最大の特徴は、展示の中心がソフトウエアの紹介やケーススタディーに基づく説明とデモにあり、それらを他の展示会のような機械の騒音に煩わされることなく、じっくりと聞き、見ることができる機会になったことである。ドルッパを目前に控えていることがひとつの理由でもあろうが、この分野の展示会のひとつの方向なのかもしれない。

今回の主要なテーマはやはり「パーソナライゼーション」で、商業印刷会社はもとより出版社、企業内印刷から関心を集めた。また、カラーインキジェット技術、トランスプロモ、持続可能な環境作りへの対応も今回の重要なテーマであった。このイベントでは、コンテンツの制作、管理、印刷、配送まで幅広い範囲の技術をカバーするが、コンテンツはますすます個々の個人に向けて作られるようになるとの見方は、出展者、スピーカーが異口同音に主張しているところである。

コンファレンスでは50以上のセッションが開かれたが、その中でも好評だったのは、ニュヨークタイムスの著名なコラムニストやグーグルの製品担当責任者による、「製品自体やインターフェースをいかに利用者に使いやすいものにするかについての重要性と難しさ」についての話であった。
展示では、ほとんどの出展者がワークフロー全体にわたる自動化に焦点を当てていた。ゼロックスは、事前のコンポジションなしでバリアブル印刷を可能にするワークフローを紹介した。XMPieは、ユーザーがパーソナル化した販売促進資料を制作する支援するシステムを紹介した。オセの高速フルカラー・インキジェット・プレスは、トランスプロ等のビジネスの可能性の高さを十分に印象づけた。

ヒューレッド・パッカード

ヒューレット・パッカードは、ドルッパのプレビュー発表会の席で、今後、同社がグラフィックアーツ市場にさらに広い範囲で提供する予定のサービス、技術を紹介した。
ひとつは、書籍、新聞、DMに向けた30インチ幅、分速400フィートの高速印刷ができるInkjet Web Pressである。発売は2009年を予定している。また、同社のインディゴ・シリーズを拡張したIndigo7000やビルボード・や屋外広告用の大判プリンターも含まれる。
同社は、これらは「Print 2.0」戦略の一環であるとしている。それは、アナログの印刷市場からより多くの印刷需要をデジタルに移行させせるとともに、同社の印刷プラットフォームの上で印刷できるウエッブ対応コンテンツを制作することを支援するものである。
そのために、新しい技術・製品はデジタル印刷のスピードとコストを改善することに主眼を置いている。同社イメージング&印刷部門は、第1四半期の売上として731億ドル、115億ドルの利益を計上した。主たるターゲットは、デジタル印刷出力の85%を占めるグラフィックアーツ・マーケットだが、全プリンターの出荷が1%増加する中で、一般消費者向けの販売は減少している。

キャノン

バリアブルデータ出版を扱うプリンタブル・テクノロジーとキャノンは、プリンタブル・テクノロジーのWeb-to-Printソリューションを同社のイメージプレス・ワークフローソリューションに組み込んで提供することで合意したと発表した。
(以上、グラフィック・コミュニケーション・ワールド:2008年3 月17日号)

ポラロイド

ポラロイドは、2008年1月にラスベガスで行なわれた展示会で、写真用の超小型プリンターを公開した。重さ200グラム、大きさはトランプ箱より少し大きい程度である。ユーザーは携帯電話やデジタルカメラで写真を取り、そのデータはブルートウースを使って無線でプリンターに送られ、サーマル印刷技術を使ったプリターでカラー印刷する。印刷サイズは2インチ×3インチである。本製品は、夏ごろに発売予定で、価格は150ドル以下の予定。
(グラフィック・コミュニケーション・ワールド:2008年1月21日号)

2008/03/28 00:00:00


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