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真のエキスパートを目指し情報を補給しながら走っていく

◆松本 宜子

私がDTPに携わるようになって5年がたちます。最初は、Windowsは四角い事務のパソコンで、Appleは可愛いスケルトンのパソコン、Macはマクドナルド?という感覚でした。
専門学校で初めてMacの授業を受けた時、「Windowsって難しいね」と言うと「え?Macだよね?」と言われるほど、何も分かっていませんでした。
授業ではIllustratorとPhotoshopの基礎を習いました。ソフトの便利さに驚きつつも、思うように操作できないいら立ちとの間を行ったり来たり……。卒業後、「やはりこれからの時代はパソコンが絶対に必要だ!」と思い、iBookを購入しましたが、いつの間にか使わなくなっていきました。

そんな私に転機が訪れたのは2年後のことです。写真や、ロゴ・マークを使った広告の制作を依頼され、引き受けることにしました。その時はまだ分からないことが多く、本を見たり教えてもらいながら制作しました。「iBookのメモリー不足で表示ができない」「ファイルが壊れて作り直し」といったことも度々で、原因もよく分かっていませんでした。
そんな状況の中、「ようやく完成か!?」という時にデータが壊れてしまい、印刷所のMacを借りて初めから作り直すことになりました。何週間も掛けて制作していたものを2〜3日で作り直すのは大変でしたが、逆にこの状況に燃えたので完成させることができました。同じ作業を何度も繰り返したことで、知識・技術・スピードは、かなり上達したと思います。

お陰で今の会社で働くことができるようになり、現在は販売促進部に所属しています。Illustratorなどでスーパーの広告や売り場のポップ、キャンペーンポスターなどを制作しています。IllustratorやPhotoshopの操作にも慣れ、仕事も評価されるようになりましたが、自分ではあまり自信がありませんでした。
画面上では思うように表現ができるようになっていましたが、知らないことや、知っていても理由が分からないことがたくさんありました。基礎がしっかりしていなかったのです。人に教えることもあるので、「このままでは良くない。もっと勉強しなくては」と思い始めた時にDTPエキスパート試験を知りました。
早速、参考書を取り寄せ、読んでみましたが、全く頭に入らず書いてあることの意味が分かりませんでした。瞬きをする度に、どこを読んでいるのか分からなくなって寝てしまったり、模擬試験もボロボロでした。それでも早朝、昼休み、夜、休日と問題を何度も解き、模擬試験を制限時間内に解けるようになって、やっと受かる希望が見えてきました。

試験当日は、問題集にない問題が出た時は動揺しましたが、以前受けた別の試験の関連問題だったので思い出し、解くことができました。予想以上に苦労したのが課題制作の指示書です。分からないことがたくさんあり、作品作りよりも苦労しました。
制作指示書の出来に自信がなかったので、「落ちたかも」と思っていましたが、何とか無事に合格することができました。どうしても取りたかった資格ですので、うれしくて、うれしくて涙が出ました。

エキスパートの資格を取ったことで、少し自信が付きました。今後は、この勉強した知識を自分の技として身に着け、本物の自信となるようにしていきたいです。
最近は会社がMacを一新して、Illustratorを8.0からCS3にしたり、InDesignやDreamweaverを導入するなど職場も進化しています。せっかくスタートラインに立てたのですから、置いていかれないよう、しっかりといろいろな情報を補給して走っていきたいと思います。

 

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2008年4月号


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2008/05/06 00:00:00


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