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過去の自分に打ち勝つためのあくなき挑戦

◆阪本 秀憲

夫婦でアンティーク食器(ファイヤーキングや昭和レトロ食器など)収集に凝っています。週末はフリーマーケットに出掛けています。

「あー、課題やっておけばよかった……」。とても悔しい思いをした、第25期DTPエキスパート認証試験。筆記試験がどのみち合格していないと踏んだ私は、課題テストを提出しませんでした。 その後、結婚などを理由(言い訳)に、時間を置いて受験した第28期DTPエキスパート認証試験。「今回こそは課題テストをやり遂げる」そんな気持ちで受験しました。 結果は晴れて合格。大変申し上げにくいのですが、できればもう二度と受験したくない試験の一つです。なぜ、私はこの資格に必死になったのだろうか? 今回の執筆にあたり思い返してみると、今となってはぼやけてしまった当時の気持ちを鮮明に思い出します。

DTPエキスパート認証試験との出合いは2003年にさかのぼります。 実は、私は落第した第25期以前に、一度この試験を受験しようと思ったことがあります。転職を検討するにあたり、資格を取得しようと調べていた時にこの資格と出合いました。 当時は広告写真スタジオでデジタルクリエイターという肩書きで仕事をしておりました。デジタルクリエイターと言ってもDTPそのものを行うのではなく、Photoshopを使用し、画像データにある汚れなどを「スタンプツール」を使用して消したり、取引先の印刷会社向けに色調補正を行うことがメインでした。

そのころは「修復ブラシツール」もなく、ゴミ消しでさえもパスで抜いて作業を行ったり、不透明度を駆使したりとスキルを要する立派な仕事でした。しかし、Photoshop7.0のリリースを受け、今後ソフトの機能が増えて便利になるにつれ、将来私は必要なくなると予感し仕事に挫折したのを覚えています。 そして2003年当時は「DTPエキスパート認証試験」の模擬問題も、出てくる単語の意味すらも全くのちんぷんかんぷんで、知識のなさを痛感し受験をあきらめた自分がいました。 それから縁があって、現在勤める「株式会社アスカネット」に中途入社しました。私の会社では、オンデマンド印刷機を使って、写真集を1冊から製作販売する仕事をしております。

そこで私は、生産管理業務を担当しています。どちらかと言えばDTPアプリケーションよりも表計算ソフトと向かい合うことがほとんどです。 当社ではさまざまなプロフェッショナルがいて技術を支えておりますが、生産管理という職務柄、私には誇れる技術がありませんでした。それがとても悔しく感じていた私は、資格を技術として体現することを決意します。 少し遅い手習いでしたが「初級システムアドミニストレータ」に合格し、自信を得た私の次の目標になったのがDTPエキスパート認証試験でした。当然ながら、DTPと直接関わりを持たないため、合格までの道のりはとても長くつらいものでした。

当時、資格は私を護身する武器・道具としか見ることができませんでしたが、第25期の不合格を受け、いつの間にかそんなことは忘れていました。 それは過去に仕事に挫折したころの私を超えるための挑戦となっていました。ですから、第28期の試験には2003年に購入した問題集も攻略し臨みました。 しかし、何よりも2003年当時と違っていたのは私を取り巻く環境でした。当時と違い、私の周りにはDTPエキスパート認証試験に既に合格されている先輩方がたくさんいて、私を応援してくださいました。これがとても大きな助けとなりました。 2年ごとに更新試験があるDTPエキスパート認証試験は、私にとっていつまでも自分自身を超えるための挑戦と考えております。また、今後DTPエキスパート認証試験を受験する後輩たちに良いアドバイスができるよう、たゆまぬ努力をし、見聞を広めていきたいと考えております。

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2008年7月号

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2008/07/28 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会