印刷産業の出荷額は、2008年暦年では何とか前年並みで推移したと見られるが、年度ベースでは２％程度のマイナス成長が見込まれ、収益性のさらなる低下も確実視される。しかし時代の大きな潮流に乗る分野では、景気に関わりなく前向きの着実な動きのあることも指摘することができる。

　デジタルメディア革命の影響は、次第にそのテンポを速めてきた。インターネット、ケータイといったメディアの進化と普及は旧来メディアの価値を大きく変え、クロスメディアは当然になった。印刷市場では、各社の広告出稿意欲低下が、オフ輪需要を左右するチラシとフリーパーパーに大きな影響を及ぼしている。

　今回の世界的な景気後退は、印刷業界の2009年を過去50年の最悪にする懸念がある。しかし、一面では印刷業界に変化を促す契機にもなる。ワンストップサービスに対する誤解も散見されるが、顧客との関係を深化させるワンストップサービスの提案力を持つ印刷企業にとっては、飛躍の好機にもなりうるだろう。

14:00-16:30 「2008年の印刷産業を振り返る」
　　(1) 2008年の印刷業界
　　(2) 主要市場の状況と今後の動向
　　(3) 2009年の展望と課題

略歴：千葉大学工学部印刷工学科卒業。印刷適性・印刷技術・生産管理分野の調査研究と教育・コンサルティングに従事。現在は印刷産業と市場の把握と分析に注力。著書に「印刷白書」等多数。

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