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4割の人はポスターや写真集でもデジタルプルーフでOK!

インクジェットや静電レーザープリンタによるデジタルプルーフへの利用はどこまで進んだのであろうか? PAGE2000のJAGATコーナーでは、ポスター/写真集という高度な校正でもデジタルプルーフでOKという回答が、4割もあった。これは 凸版印刷株式会社様にご協力を頂いて、カラーマネージメントの技術展示を行なった際のアンケート結果である。展示では、A半裁のスーパーチラシとSCIDのカラーチャート(A3)などを組合わせたデータを、ICCプロファイルでカラー調整された4種類の市販カラープリンタで作成したデジタルプルーフと、比較に為にDDCPで作成した印刷物相当の出力物を使用した。これら、計5点のB全判パネルを演色AAAの標準光源下に掲示し、ご来場の皆様189人にお願いしてアンケート形式でご評価いただいた。

(PAGE2000/JAGATコーナーCMS展示ブース<左>とサンプルパネルの一つ<右>)


デジタルプルーフ1と2は、乾式静電方式のカラーコピー兼用機とPostScript RIPの組合わせの2機種である。同じく3と4はインクジェットプリンタとPostScript RIPを組合わせているが、3の機種は染料インク、4の機種は顔料インクが使われている。また3の用紙は純正品ではなく、デジタルプルーフ用のコート紙系インクジェット用紙を使用した。
そして下表は当日会場で、「デジタルプルーフ、ズバリ! 私ならここまで使う」というアンケートに回答いただいた皆様にお願いして、'あなたのいち押しのプルーフと使用できるレベル'を、お一人一つだけ選択していただき、集計したものである。

アンケートでは、「どの品質レベルの印刷校正にまで、デジタルプルーフを使いますか?」と聞いているので、一番上の「ポスター/写真集レベルもOK」回答は、それ以下のチラシや情報誌の校正にも使えると解釈している。この集計は表の左欄の(累計)欄に、パーセントの累計値として示した。
各項目で見ると、最も品質レベルの高い部類の「ポスター・写真集」用途に'使用する'という回答が全体では39%もあった。掲示したデジタルプルーフはDTPの校正出力用に慎重にプロファイル調整しての出力とは言え、汎用カラー出力機の実力の高さに改めて感心させられるとともに、高額な印刷専用機からの世代交代を感じた方も多かっただろう。

「(やっぱり)カンプレベル」、という保守的な回答はわずか6%である。ただし仕事によっては白抜き文字の細部チェックやモアレチェック、本機上でのインキフローの再現の確認もあるが、高レベルな点検は印刷網点が再現できるDDCPや本機校正で行ない、残りのほとんどの色校正はカラー出力機で済ますという使い分けが一般化するだろう。何といっても設備投資額が、RIPを含めても数百万円の下のレベルで済むものもあり、これならリモートプルーフとして客先に貸し出せる範囲であることが大きな魅力である。

カラープリンタの
イメージング方式
価格は本体+RIPの概算
---------------------
来場者に聞いた上限品質
(私はこのレベルまで使う!)
デジタルカラー
プルーフ 1
乾式電子写真
500〜600万円台
デジタルカラー
プルーフ 2
乾式電子写真
500〜900万円台  
デジタルカラー
プルーフ 3
インクジェット
(6色染料インク)
  100万円台
デジタルカラー
プルーフ 4
インクジェット
(6色顔料インク)
  200万円台  
合計
ポスター/写真集レベルもOK
(39%:累計)
  3%(6件) 2.5%(5件)20.5%(39件) 13%(24件)39%
74件
チラシ(不動産系)までOK
(72%:累計)
  8%(15件)  9%(17件) 11%(20件)  5%(10件)33%
62件
チラシ(スーパー系)までOK
(82%:累計)
  4%(8件)  2%(4件) 2.5%(5件) 1.5%(3件)10%
20件
情報誌、広報誌までOK
(94%:累計)
  2%(4件)  1%(2件)  7%(13件)  2%(3件)12%
11件
(やっぱり)カンプレベル
(6%)
 0.5%(1件) 0.5%(1件)  2%(3件)  3%(6件) 6%
11件
回答総数(189件)/合計17.5%(34件) 15%(29件) 43%(80件)24.5%(46件)189件

PAGE2000のテーマであるグラフィックアーツのIT戦略では、カラー品質の保証にはカラーマネージメント技術が必須になってくる。幸い最近のOA用プリンタメーカーが提供するカラー出力機は高品質で安定した出力物を得られる機種が増え、デジタルプルーフとしての使用されることも増えてきた。展示ではリモートプルーフなども想定して、客先に設置してもメンテナンスが容易で印刷専用機に比べて安価な機種を4つ選んだ。一般的に電子写真方式は速度は早いが最大紙サイズがA3ノビまでで、大サイズ用途では面付け作業が必要になる、一方インクジェット方式は速度は遅いが大サイズがそのまま出力できるなど、使い道によって選択できる。

サンプル作成には、凸版印刷様に全面的なご協力を頂いた。出力、ICCプロファイル作成システム、キャリブレーションシステム、色変換方法は各出力機のRIP機能または凸版印刷様のCS-Sharpener2.0、CS-CompassPro XTを使用している。

JAGATではCMS導入を検討されている方々のために,カラーマネージメント・ワークショップも募集中ですので、どうぞご利用下さい。

2000/02/14 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会