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プリプレスを自動化するExtreme PAGE2000より

C1のセッションはアドビからのExtremeの説明である。しかし当日の同社の説明は,PDFを中心とした広い意味でのデジタルパブリッシングが中心だったため,C2以下のセッションとのつながりを考えて,ここではモデレータの説明を元にExtremeを概観しておく。ただし,アドビ社の説明は,Acrobat4.0を使ったPDFの高解像度出力やPressReadyの説明など多岐にわたり,最新情報も盛り込まれた興味深いものだった。これは近いうちに別にまとめたい。

Extremeとはどういうものなのか?

Extremeはコンセプトであるため,具体的にどんなものかと聞かれてもなかなかイメージがつかみにくい。もともとアドビのExtremeは「アーキテクチャ=構造,設計」であって,建築物がそうであるように,実装されたシステムを見なければ具体的な姿はわからない。ところが実装方法はメーカーによって異なるから,結局のところ,これがExtremeだという具体物は事実上存在しないことになる。あるいは逆に,レベルの差はあれ,どれもみなExtremeだとも言える。身も蓋もない言い方だが,それが大前提である。

モジュール方式とJob Ticket

アドビが提案しているExtremeの中心コンセプトはモジュールの組み合わせという考え方である。つまりトラッピングや面付け,カラーマネージメント,出力などプリプレスで行われるいろいろな作業をそれぞれ独立したモジュールで行うこととし,それを組み合わせてワークフローを構築しようというものだ。具体的には,処理の対象となるファイルといっしょに,その「ファイル=ドキュメント/ページ」にどういう処理を施すかを記した「作業票=Job Ticket」をつけて各処理モジュールに渡す。各モジュールは,Job Ticketに書かれた指示を読み取ってそれぞれ必要な処理を施していく。この処理モジュールをJTP=Job Ticket Processorと呼ぶ。トラッピングJTP,面付けJTPという具合だ。
あらかじめ必要なJTPを組み合わせておき,それぞれの処理の詳細をJob Ticketで指定すれば,後は自動的に仕事が流れていく。これがExtremeの基本である。処理するファイルはPDFが対象で,Job TicketもPDFに基づいたPJTF(Portable Job Ticket Format)という仕様に基づいている。

Extremeシステムの条件とは?

現時点でアドビが掲げているExtremeシステムの要件は次のようなものである。

@PostScriptとPDFの両方を入力フォーマットとして受け付けること。ただしシステムの内部フォーマットはPDFを使う。
APDF生成にはアドビのノーマライザを使うこと。
B面付けや最終段階での修正/変更ができるよう,PDFファイルを見,編集できること。
Cワークフローと各処理のコントロールにはPJTFを使うこと。
DPostScript3 RIPあるいはアドビのプリンタJTPをレンダリングに使うこと。

ノーマライザはAcrobatのDistillerと同様,DTPソフトなどで作ったPostScritpファイルやPDFファイルを,そのExtremeシステムで処理できるよう,いわば最適なPDFに変換する役割を持つJTPである。これはC2で登場する3社のExtremeシステムすべてがアドビが提供するノーマライザを使っているが,ただしそれぞれ変更を加えて差別化/最適化をはかっている。また,レンダリングは,今までの感覚だとRIP内でインタープリット後に行っていた処理だが,Extremeでは始めにノーマライズ(=PDFへのインタープリット)が行われるため,最終出力の直前にPDFをラスタライズし網点化する処理をレンダリングと呼ぶようである。従来のRIPをオープンにして機能を分割し,その間に各種のプリプレス処理をはさむというイメージだろうか。プリンタJTPとはアドビのレンダラをJob Ticketでコントロールするようにしたものである。また,上記の条件には出てこないが,アドビは各JTPをコントロールし動きを調整するためのシーケンサJTPとコーディネータJTPも提供している。

以上を基礎知識として次はC2「メーカーからの提案」の話になる。

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2000/03/03 00:00:00


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