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今日の友は明日の敵:IEEE1394とUSBの魑魅魍魎

コンピュータには似た機能でも異なる規格が存在することがよくある。インタフェースは特にいろいろあって厄介なので、次第に便利なもの中心に統合整理されていくことになる。どんなものがよいか考えると、高速であることと、一つのインタフェースにいろいろなものがつなげられること、またホットプラグとかホットコネクトというようにパソコンの動作中でも抜き差しできるものが望まれる。これらについてはJAGAT発行の「はじめて学ぶ印刷技術/デジタルプリプレス編」(DTP研究会著、水無月実監修)にはこう書いてある。

IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)は、米国電気電気技術者協会のことである。同協会はコンピュータ関連の多くの規格を定めている。Ethernetもここで決められたデータ転送の規格IEEE802.3に基づいている。さらに、GB-IB、ISAバス、PCIバスなどもこの協会が提唱した規格である。
注目されている高速インターフェース転送規格のIEEE1394はビデオカメラ、デジタル映像機器、ハードディスクなどの接続に使われる。この規格ではコードをコネクタに接続するだけで周辺機器を使用でき(Plug&Play)、SCSIと同じくディジー・チェーン方式で何台も機器が増設できる(最大で63台)。IEEE規格はもともとAppleComputer社が開発したもので、同社はこの規格をFireWireと呼んでいる。

USB(Universal Serial Bus)もシリアル・データ転送の規格である。USBの仕様はMicrosft社やIntel社が中心となって策定された。USBではキーボード、マウス、プリンタ、モデムなどの周辺機器を統合して接続できる。
USBもコードをコネクタに接続するだけで周辺機器が仕様できる。USBはシリアル接続の規格であるが、複数のポートを持つUSB Hubを使えば、最大127台もの周辺機器が接続できる。
データの転送方式には音声データなど一定量のデータをリアルタイムに転送する等幅転送、キーボード、マウスなどデータサイズが小さく、操作のたびにデータが送られる場合の非同期の割り込み転送、印刷データなど大量のデータを非同期に転送するバルク転送、周辺機器の制御のために必要な情報をやりとりするコントロール転送がある。
これらの転送方式のうち、割り込み転送、コントロール転送では1.5Mbpsのロースピードモードが使われるが、フルスピードモードでは最大12Mbpsのデータ転送ができる。

最初はインテルはIEEE1394を次世代インタフェースの主役としてサポートする予定だった。これには日本の各家電メーカーがかんでいて、家電とPCの関係が今後深まるものと思われた。ところが、AppleがIEEE1394の機器を作る場合に個別に使用料を払えと言い出したので、IEEE1394の世界に不協和音が増加していった。インテルはパソコンのチップセットの大メーカーでもあり、毎年何千万個か大量に販売している。このチップセットはインタフェース機能が要であるから、インテルの利益とAppleの利益は相反することになった。

IEEE1394はパソコンがなくても周辺機器間での接続も出来るもので、USBよりもインテリジェントであり、デジタル家電には向いている。USBはパソコンというホストを中心に機能するもので、当然パソコン関連メーカーはUSBは必須である。すべてはパソコン中心であり、拡張にはハブが必要であるが、IEEE1394はそうではない。

このようにいままでIEEE1394とUSBは機能的に住み分けがされていたのが、2000年後半にはUSB2.0が登場し状況が変ってしまう可能性が出た。USB2.0は機能が上がり、IEEE1394との速度差はなくなる。またIEEE1394対抗として,USB2.0を実装するときに必要な特許に関するランセンス料は徴収しない。USB2.0はAppleは含まないが主たるパソコンメーカーが後押をするような形になり、両者は激突状態になるのである。

2000/04/16 00:00:00


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