コンピュータの100年と、インターネットへの相転移 その3
社団法人日本印刷技術協会 副会長 和久井 孝太郎
世界初の商用コンピュータは,ENIAC を開発したモークリーとエッカートが設立したコンピュータ製造会社を,米国のレミントン・ランド社が買収して開発した 「UNIVAC-1」 であった。その1号機が米国国勢調査局に納入されたのは,1951年のことである。ちなみにUNIVACとは,Universal Automatic Computer(万能自動計算機)を商標化したもので,「UNIVAC-1」は,入出力装置として磁気テープ装置を用いユーザの好評を得た。メモリ装置には水銀遅延管方式が用いられた。
IBM社初の商用コンピュータは,主に科学計算用に設計されたもので,「IBM-701」 と呼ばれ1952年に発表された。1号機は米国の原子力委員会に53年に納入された。 701の入力方式は,IBM社が得意とするパンチカード方式であった。そのため入力操作にオペレータを必要とした。これは,ランド社のUNIVACが磁気テープ方式で自動的にデータ処理を行えるなどの特長から遅れを取っていた。
しかし,この機種は国防計算機ともあだ名され20台の 701が生産されて,1台当たり月 2万4000ドルという高額でリースされたと伝えられている。いずれにしても701 が,IBM社を真のコンピュータ会社に押し進める第一歩となった。この年,同社の社長に就任したトーマス・ワトソン・ジュニアは,コンピュータ分野の激烈なビジネス競争に全社を挙げて打って出る決心を固めた。
1953年には,IBM社の二つの新型コンピュータが相次いで発表された。磁気ドラムメモリ方式の中・小形汎用コンピュータ 605と,磁気テープメモリ方式の事務用大型コンピュータ 702である。それ以降70年代にかけて,UNIVACやIBMなどによる汎用コンピュータの時代となった。
参考図
2000/05/05 00:00:00