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印刷物の作り方から,印刷のトラブル,印刷関連団体・企業に関連して頻繁にJAGATにお問い合わせをいただく質問とその回答を紹介しています.
■ 後加工 Q週刊マンガ本の本文の紙が黄色であったり緑であったり色々ありますが、これには意味があるのでしょうか。 A週間マンガ誌に使われている表面がザラザラした用紙のことを印刷せんか紙といっており、白だけでなくオレンジやグリーン、イエローといった色のついた紙が多く使われています。 この印刷せんか紙は非塗工紙の中でもグレードは低い部類に入ります。 この印刷せんか紙は、古紙から作られており新聞古紙を30〜40%と、印刷工場や製本工場から出る裁落としを原料とするのが一般的です。印刷せんか紙には色がついているものが、殆どです。 この色がついているという理由は大きく二つあります。 第一に製紙メーカーの側の事情があります。印刷せんか紙は新聞古紙を多く含んでできていますが、脱墨技術が進歩したとはいえ、完全に脱墨することは困難であり、どうしても黒ずんでしまいます。真白にはできないということです。これをカバーするために用紙に色をつけるようになりました。 第二に、出版社側のコストの面です。以前はマンガ本もすべて白い紙を使い、何種類かの色インキで印刷していたようです。しかし、色数が多いと制作コストが膨らみます。そこで、墨インキ一色で何色かの印刷せんか紙を組み合わせることにより本に変化をつける工夫をしました。 ここで、製紙メーカー、出版社のメリットが一致した結果マンガ本は殆どのページが色用紙で占められています。 また読者にとっても、同じ色の用紙だと中間まで読んでいくと飽きてくるかもしれません。読んでいるうちに、このモノクロのワンパターンがもたらすマンネリを緩和する、メリハリをつけるといった意味があるようです。 Q定期的に広報誌を作っているが、仕上がりがA4で本の紙の目は縦目ですが、今回発注するときに印刷業者から横目でやってもいいかと言われました。横目でもいいのでしょうか。(某地方自治体用度課の方より) A用紙は木材の中の植物繊維からできています。紙の目とは、木材の中にある植物繊維の流れている方向のことをいい、日本工業規格で定められた用紙の長辺に平行に目が流れているものを縦目、短辺に平行に目が流れているものを横目の紙といっています。 書籍にしたときには、左右に開きますから紙の流れ目は上下に流れていなければなりません。つまり必ず本のノドに平行になっていなければなりません。 上記の質問の場合、おそらく今までクライアントの方はA4仕上がりの広報誌が縦長の状態で、その結果として縦目になっている、だから「従来は縦目で」といっていると思います。 逆に、もしその広報誌の仕上がりが横長の状態であるなら、その紙は横目の状態になっていなければなりません。 印刷業者が「横目でやってもいいか」といったのは、あくまで製造上での話しだと思います。発注側としては仕上がりが横長でも縦長でも結果として書籍のノドに平行に目が流れていれば問題ありません。 例えば仕上がりがA4版縦置きの広報誌の場合、その広報誌を印刷するには、菊全の印刷機(A全版でもいい)で印刷する場合は菊全横目の用紙を使用しなければなりません。また、菊半裁(A半裁でもいい)の印刷機で印刷する場合は菊半裁縦目の用紙を使用しなければなりません。 印刷業者は、全版の原紙寸法の状態で紙の目のことをよくいいますが、印刷業者以外の方は仕上がりの状態で目のことをいう傾向があると思います。 上記の場合は、印刷業者とクライアントとの、紙の目に対する考え方の違いの表れだと思います。こういう場合、印刷業者はあくまでお客さんの考えを理解することを心がける事がトラブル回避へもつながると思います。 ちなみに、紙の目がノドに直角の状態(逆目)の場合、最初のページは開けても中のページは開けなくなり本の機能を果たすことはできません。
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2000/07/11 00:00:00