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印刷物の作り方から,印刷のトラブル,印刷関連団体・企業に関連して頻繁にJAGATにお問い合わせをいただく質問とその回答を紹介しています.


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Q-1 GCR製版(Gray Component Replacement:グレー成分を置き換え)とUCR:下色除去とどこがちがうのでしょうか?
A  両者の基本的な考え方は同じですが、UCRはシャドー部分のCMYをスミ版に置き換え、GCRがハイライト部からシャドー部、つまりすべての階調部分のCMYをスミ版に置き換えています。このときCMYをどのくらいの割合でスミ版に置きかえるかで細部の再現が変わってきます。
印刷ではCMYKの4色のインキが重なり合ってカラーを表現しています。しかし、特に高速で運転するオフセット輪転機では、重なった網点の面積率の合計がある一定の%以上になるとうまく刷り重ならないという現象が起こることがあります。そこで、CMYで作られるシャドー部のベタを何割か減らしてスミ版に置き換えています。
 またUCRは、CMYからB版を差し引いていく考え方で、シャドー部の色かぶりの補正やグレーバランスをとることにも利用されています。
 GCRは、CMYで構成されたグレー部分をブラックインキに置き換えます。置き換えた分だけインキは除去され、適当な量のブラックインキが生成されます。これにより、シャドー部のコントラストと細部の再現性がよくなります。

Q-2GCRについて、インキ代はスミが安いので安さのメッリトは出るのでしょうか? 又、GCRのスミに割合を多くするか否かは各社の問題かと思いますが、カラー印刷の再現性にどの程度から問題が起きるのでようか?それも各社の問題なのでしょうか?
AGCRを使うのは、絵柄のグレーをよりニュートラルに表現したいときなど に使われているのうです。CMYを重ねて刷るよりも、カラーバランスなどのことをさ ほど気にせずに刷れると思います。
 あと、日本の伝統的な考え方に基づいて、CMYを刷り合わせてグレーを表現しなければならない物については、GCRはあまりかけられないことにもなります。
 また、GCRを掛けると通常のプロセスカラーの総インキ量が300%近くあるのを、相当減らせることができます。これはどういうことかというと、ポスターなどの1枚ペラのものにはさほど影響はないと思いますが、例えば分厚いカタログ類などの場合、当然にそのカラログの重さも減って郵送料金にも差が出てきます。
 しかし、あくまでも絵柄にあわせて、お客さんの要望にあわせて印刷することが重要だと思います。したがって、墨インキが価格が安いというメリットも二義的には考えられると思いすが、メインではないと思います。


Q ヘキサプリンティングの日本での現状を調べて欲しいという要望があり、高精細、FMなどは骨董品、織物、などの印刷がある一部のユーザー様で応用されていることはわかりますが、6色印刷が今どう見られているのか?日本での実績はどうなのか?を教えてください。
A 結果から申しますと、高品位印刷についての市場を捉えた客観的なデータはないようです。
HexaCromeの技術を利用した6色印刷については、アメリカではありますが日本では無いようです。
7色印刷については、興味をもたれている会社はあるようですが、本当に採用しているのかどうかの確かな情報はありません。
高精細印刷や、FMスクリーンを使って印刷できる印刷会社はあります。そういう会社では毎月高精細印刷やFMスクリーンの需要はあるようですが、それが全体の何割を占めているか、またどういうものに印刷しているかというデータは公表されていません。
高品位印刷については、1994年ごろに注目を浴びて、特に高精細印刷やFMスクリーンについて、各印刷会社が新しい印刷技術の波に乗り遅れてはいけないという意識から積極的に取り組んでいた印刷会社が多かったようです。それ以来、取り組む会社が少なくなり、現在にいたっているというのが現状のようです。


Qキャストコート紙に印刷するとインキがこすれてきたなくなりますが、どうしてでしょう。また、1年くらいおくと、変色するのはなぜでしょうか。
Aまず、キャストコート紙の場合、印刷が終わるとビヒクルが用紙に浸透し、顔料が紙面上に取り残されてしまい、その結果顔料がこすれてチョーキングのような現象を起こすことがあります。こうしたケースではインキに約5%ほどニスを混ぜてみると効果的です。
また、1年ぐらいおいて変色する現象ですが、用紙のpHの酸性値が高いことが考えられます。なるべく中性の用紙を使用することをお勧めします。


QUVインキ樹脂凸版でプラスチックボトルのキャップ天面に1色又は2色の印刷を行っていますが、キャップ天面からインキがはがれたり、オーバープリントニスが輸送後削れるといった現象を起こしますが、この原因としてどのようなことが考えられますか。
A原因として考えられることは、インキと可塑剤の相性がよくないかもしれません。
可塑剤とは不揮発性の溶剤成分で、ビニール系樹脂やニトロセルロースなどと溶け合って乾燥膜に柔軟性をあたえるはたらきをします。
プラスチックフィルムなどに印刷するインキは乾燥膜が樹脂分だけで形成されると、もろく、ひびが入りやすいので可塑剤の添加でこの面の調節を行い、接着性を向上させるはたらきをするものです。
もうひとつ考えられることは、キャップの表面にインキがスムースに定着するように放電処理やフレーム処理を施しますが、これが不足するとインキが着かないケースがあるようです。
このような個別の問題については、一概に確定することは言えませんので、インキメーカーの技術部門のかたと相談しテストしながら解決するのがよいと思います。


Qデジタルカメラの画像の取り込み方にはどんなタイプがありますか。
A従来のカメラは銀塩フィルムに光を取り込み画像を記録します。これに対しデジタルカメラは光を受けて光信号を電気信号に変換する撮像素子と電気信号を処理する部分と記憶する媒体とに別れています。
デジタルカメラの撮像素子には半導体が使われ(イメージセンサ)代表的なものにCCD(Charge Coupled Device)とCMOS(Charge Metal Oxcide Semiconductor)があります。
デジタルカメラは、最終的な画像を得るまでのプロセスの違いによりタイプ別けされています。タイプとしては、1)1ショットタイプ、2)マルチショットタイプ、3)スキャナタイプ、4)3CCDタイプに大別されます。
1)1ショットタイプ:1回のシャッター動作で画像を得るシステムのものです。RGBフィルタをも ったエリアCCDによるデジタルカメラでコンシューマ用を含め広く普及しています。動きのあ る被写体を撮影できるデジタルカメラです。
2)マルチショットタイプ:1カットの撮影につき3回のシャッター動作でRGB各々の画像を得るシステムと、画素ずらしのために2〜4回シャッターを動作させるものに大別されます。RGBの3ショットタイプは、色分解フィルタ無しのエリアCCDを1枚用いてRGBフィルターを1回の撮影ごとに回転させて3回露光し3色の画像を合成してカラー画像を生成しています。動体は撮影できず、カメラを確実に固定しておかなければなりませんが、3回露光することで解像力を上げています。
3)スキャナタイプ:受光素子が横一列になったラインCCDを用いるカメラです。RGBの各フィルタを持った3ラインCCDを移動させ、白色照明を行って縦方向の画素数分複数回露光する仕組みと、分解フィルタ無しの1ラインCCDを用いて、RGBの各照明を交互に照射するタイプに大別されます。高い解像力を得られますが、静物専用であること、撮影時間が長いという特長があります。
4)3CCDタイプ:3つのCCDを同時に使って画像を得るものです。仕組みとしては、ダイクロック・プリズムなどを利用して、色分解された光を3枚のエリアCCDで露光するものです。デジタルカメラへの応用例は少なく、むしろ高級アマチュア用やプロ用ビデオカメラで一般的に用 いられる方式です。


Q色校の初校の段階で人の顔色のところに微妙な注文が入った。これを解決するための案として、スクリーン角度を変えてみるという意見が出たが、4色のカラー印刷でスクリーン角度を変えることにより色相が変わることがありますか。
A印刷の色の濃淡を表現するには網点の大きさを変えることにより表現しています。その網点は、縦横、水平垂直に規則正しく並んでおり、このことをスクリーンと呼んでいます。
人間の目は、水平方向垂直方向には敏感という特性をもっていますが、斜めにするとスクリーンの並びが人間の目に目立たなくなります。そこでモノクロ一色で印刷する場合はこの角度を45°にして印刷します。この角度のことをスクリーン角度といいます。
しかし、2色以上の色を使って印刷する場合互いに網点情報を持ったスクリーンが重なるとモアレが発生し、スクリーンがお互い平行になったときがモアレが一番大きく、一方を傾けていくとだんだんモアレが小さくなり一番モアレが小さくなる角度はお互い30°離れたときです。
4色のカラー印刷する場合、4つのスクリーンが重なります。色々なケースがあり一概には言えませんが、よくあるケースとしてマゼンタを45°の角度にもってきてこのマゼンタを中心に30°離してシアン(75°の位置)、ブラック(15°の位置)を設定します。そして、イエローは0°の角度、つまりブラックより15°離しておくことがよくあります。
こうしたかたちで、スクリーン角度を設定してモアレを最小限に押さえています。
もし、上記の場合、マゼンタとブラックの角度を交換したときに、印刷物としての色に影響があるか否かという問題については、色の角度を変えることによって、モアレの出方も微妙に違ってくることが考えられますから、部分的に影響が出ることも十分考えられます。ハイライトの部分の色相の変化はあまり目立たないかもしてませんが、中間調からシャドー側にかけて、特にブラックが入っているところは変化が考えられます。
 したがって、各絵柄によって影響が出たり出なかったりするものなので、どのように色相が変わるかはやってみないと判りません。


Qオフ輪で印刷した後、枚葉機で追刷りをする場合に、枚葉機で印刷した刷り見当が合いません。約3ミリぐらいのズレがでます。機械の状態、シートで印刷する前の断裁の状態、その他工場内の温度・湿度の設定に問題はないが、見当を合わせるいい方法はないでしょうか。
A通常オフ輪で印刷された用紙は、水分を含んでいるためどうしても歪んでしまいます。そういう用紙を枚葉機で印刷しても、見当ずれが生じるケースが多いでしょう。
このような場合、多くの印刷会社では、追刷りされる部分を、版下を制作する部分で見当ズレが生じることを見込んで広めにとっておくという方法を用いているようです。デザインの時点から印刷・追い刷りのことを念頭に入れておくとよいでしょう。


Qゴーストについて,原因と処置の仕方を教えて下さい。
A
◆ゴーストとは
印刷面のベタ刷りや中間部からシャドー部に対して,濃度のぼけた部分が現れ,その形がくわえ側にあるベタや白抜きのある絵柄の影響を受けた形をしていることから,なにやらその現象が因縁めいていて,まるで幽霊のようだということから,このような名前がつきました。

◆原因

  1. くわえ側のベタや白抜きのインキ消費の過不足の影響によるもの。
  2. 水上げ量の影響から,インキ着けローラの表面に水がのり,インキを反発することによるもの。
  3. 乾燥時の酸化重合過程で発生するガスの影響によるもの。
◆処置
  1. 絵柄に対応してブレードの調整を行うのは当然として,インキの皮膜は可能な限り薄くして,インキ元ローラの送り量を多くします。
  2. 少量の湿し水で印刷するためには,水着けローラの上の均一で薄い水膜の確保が不可欠である。したがって,アルコールやエッチ液まどの添加剤を入れて表面張力を下げ,適正なローラニップで水供給することが大切です。
  3. 給水装置によっても違いはあるが,多くの場合,水着けローラが汚れているかインキが絡んでいる時にはゴーストは出やすい。したがってローラの洗浄と新水化処理を行うことです。
  4. 原色であっても,水を含みやすく,乳化時の粘弾性の変化が少ないインキを採用する必要がある。そのためには,インキを受け入れる時に,これらのデータを把握しておかなければならない。資材,技術担当が十分にインキメーカーと相談の上,対処すべきです。
  5. インキ着けローラを揺動させることで,ゴーストを目立たなくさせることができます。これは非常に効果の高い方法といわれています。
  (以上 JAGAT「オフセット印刷技術のトラブル解決法」より)


2000/07/11 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会