1999年の2月から開始されたiモードは,8月上旬には登録者数1000万人を突破した。携帯端末にインターネットの世界を持ちこみ,全く新しいモバイル・ビジネス市場を創造してしまったのである。
この爆発的普及の背景には,2年ほど前からのパソコンおよびインターネットブームに伴うメール利用者の増加がある。高価なパソコンを購入することが難しい中・高校生にとって,iモードは欠かせないコミュニケーションツールとなり,「親指族」とも言われる若者を創り出した。 またビジネスマンにとっては,情報を収集するビジネスツールにもなることから,今では世代や性別を問わず利用者が広がっている。
iモードはなぜここまで普及したのか?サービススタート時には,誰も想像もしなかったことである。PCやTVと比べ,あんな小さな画面しか持たない媒体で,誰がインターネットをしたり,メールをしたりするだろうか?当初は誰もがそう思っていた。iモードビジネスに着手し,世間から白い目で見られていたベンチャー企業も,今や左うちわである。その急激な発展とますます拡大する市場規模のため,iモードが独占に近い状態にまで巨大化した理由は一体何なのか?
話は簡単。iモードは,人間対応のツールだからである。つまり,そもそも人間自体がモバイルなのである。人が動けば,電話も動く。当たり前のことを,iモードが普及して初めて気づいたのだ。iモードは利便性の当然の帰結として普及したのである。業務としても出先で情報を収集して社内に持ち帰って処理をしていたことが、iモードとインターネットとサーバにより、その場で処理が完結するような使い方がIT革命の中で必須のパターンになりつつある。発想の劇的転換にいち早く気が付いたiモードが市場を独占しているのもまた,当然の帰結と言えるだろう。
しかし,恐ろしいことは,iモードはまだまだ発展途上にある,ということである。今冬には,Java搭載の携帯電話も出現し,本格的なソフトのダウンロード機能が付くことになる。また,来年5月には,ドコモが全世界に先駆けて次世代携帯電話「IMT-2000」のサービスを開始する。一般電話機なみの音質に加え,携帯にカメラを付けることにより,テレビ電話や会議なども視野に入れた高速・大容量通信(約384Kbps)が可能となるのだ。 また,次世代携帯電話に搭載予定の「UIM(User Identity Module:認証用小型チップ)」により,電子商取引のほとんどを携帯電話で行えるようになる。携帯電話が財布代わり,というわけだ。
iモード対応の携帯電話が,電話やメールなどのコミュニケーションツールとしてはもちろん,仕事にゲームに,財布に・・・なるのは明らかだ。先行してサービスを開始し,他通信キャリアを圧倒する利用者数とブランド力を確立したiモード。必要不可欠のツールとして,これからも目が離せない。
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2000/09/17 00:00:00