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データから知識へ : 文書管理の変貌

コンテンツとかアセッツとか呼ばれるデジタルデータをデータベースで管理するのは、もう当たり前の話である。ではコンテンツ管理とか文書管理、さらにデジタルアセッツ管理などと呼ばれるシステムは、どのような物であるのかが、PAGE2001コンファレンスのデータ管理トラックのセッション分類となって、コンテンツ管理、文書管理、アセッツ管理という一見似たセッションが並んだ。

文書管理という切り口では、これはコンテンツというよりか知識という情報をどう管理するのかということになる。ここでの呼び名の、コンテンツ管理、文書管理、アセッツ管理の違いとは、扱われるデジタルデータがどのような目的で利用させるのかで言い方が違ってくる。しかし基本的なシステム要素はあまり変わらない。このため、言葉で振り回されるわけだが、基本的には何のためにデータベースを利用するのかである。

文書管理の再定義

PAGE2001カンファレンスの文書管理のセッションは、サイトロック(株)の佐々木雅志様にモデレータをお願いして行った。この文書管理のセッションのコンセプトとしては、次のような考え方から行われている。
今まで紙で管理された情報が、文書管理になってフォルダやキャビネットで管理する仕組みになっていたのが今までの文書管理だが、これでは従来の紙と何も変わらない。ではデジタルになってその利点とは、それは今までできないことができるようになることである。データから知識になることであり、それを実現できるのが文書管理である。

XMLによるドキュメント生成
文書管理のシステム化を行う上でいろいろな技術が出てきているが、その中でPDFやXML技術を文書管理に応用したらどのような事が行えるのかについて、(株)フジミックのソリューション推進部大坂哲司様からお話を伺った。
XMLを利用した文書管理が何故有効か。それはXMLが持つ柔軟なデータ構造があるからである。例えば一つのドキュメントを見ても、タイトルがあり、メニューがあり、また画像があり、リストがあり、マップがありということで、またドキュメントも親があり子がありということになる。これは複数のオブジェクトが木構造の表現で表せるように、XMLもこのような表現が可能である。

またXMLはインターネットとの親和性が高い。このため広範囲のアプリケーションに対応ができる。このようなことからもXMLを利用した文書管理が求められる。では、XMLを利用した文書管理をどのように開発を行ったのか。
XMLでデータを管理して、出力としてPDFを利用した。ここではSVGを利用している。サーバ上ではXMLでデータを持ち、インターネット用のブラウザにはHTMLへの変換を行い、CD-ROMにはPDF、そして印刷には高品位PDFへの変換出力を実現した。
これは、ドキュメントがいろいろなオブジェクトの集まりであり、尚目的や配布形態によりいろいろな出力が要求されためである。このためXMLとオブジェクト指向データベースを用いて、ドキュメントを管理し、ビジネスフローや配布形態により、ドキュメントの自動生成を行い目的のところに渡される。このような、柔軟な対応の必要なドキュメントにXML技術が用いられる。

ドキュメント管理ASPのnsxpres.comのご紹介
新日本製鐵(株)ネットビジネス推進本部笠井正之様から、ドキュメント管理ビジネスとしてのASPについてお話を伺った。
今まで、企業内では膨大な文書がありそれを探したり、分類したり、再利用したりという事を考えているが、ほとんどが実施されていなかった。
理由にはいろいろあるが、デジタルデータになっている物、いない物、また利用すべき対象が、社内だけではなく、社外へも広がっていることなどがある。このような環境でドキュメント管理をシステム化するのは非常に大変である。このような背景からドキュメント管理をASPで提供する事を始めた。
では、今文書管理管理特に図面文書管理に求められていることは何か。まず企業間データ交換としてBtoBのeビジネスがある。次に情報公開。リスクマージメント。ISO9000。そしてナレッジマネージメントなどがある。

ではASPを利用するメリットは何かである。まずコストが月額定額料金で利用でき、初期投資不要である。また管理者が不要で、保守料金などのランニングコストが不要である。これがコストメリットである。次に機能面では、預けた文書をリアルタイムに検索・閲覧・出力・登録がどこでも可能になる。また入出力センターにより、スキャニングから大量プロット/印刷/出力・配送までをWebからの指示で行える。さらに災害時のデータ保全が行えるなどがメリットになる。
このようなシステムを利用するモデルとしては、まずコラボレーションモデルとして制作などを離れたところで、共同で行える。これは制作、デザインのコラボレーションやプロデューサと制作者のコラボレーションなどに利用される。現在は建築プロジェクトへの利用などもあるが、マルテメディア関連の制作への応用が可能である。
次にネットプリンティング技術の共同開発ということで、製作原稿の共有化、デザインデータの管理、カラーモニタープルーフィング仕様研究ということを、通信放送機構から委託研究しており、この仕組みを利用している。

PAGE2001 報告

2001/03/30 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会