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ホームページ作りはビジネスになるか?

インターネットのWEBが始まった時から、htmlのタグつけでページ制作する業務は印刷会社のビジネスとして取り組まれた。もともと印刷会社が紙の出版用にコンテンツを預かって加工していたので、この流れは自然であり、当時マルチメディアのビジネスを模索していた印刷業にとっては早くから携わった業務であった。

しかし1996〜7年頃からホームページは爆発的に盛んになり、パソコンが個人にも大量に普及し、同時にhtmlのページが素人にもできるツールが無料/有料でたくさんでてきたため、かつて1ページ何千円取っていたホームページ作りが桁違いに安くなって、商売にならないと制作業務から撤退していった印刷会社が多くあった。事実ちょっとしたWEBなら、自分で処理する会社やお店は非常に増えて今日に至っている。

ところが1999年頃からまた様子が変ってきた。日本でもECの波が始まったからである。それまでは自然発生的に、蒲鉾屋、酒屋とか金魚屋など全く自発的な努力としてインターネットでの情報発信が取り組まれていたのが目立っていたが、企業の組織的な参入が盛んになりだしたのである。つまり紙のカタログで通販業務も行っていたようなところは、顧客との関係でホームページは必須になった。

これは印刷会社にとってもビジネスを伸ばす大きなチャンスであるが、すでに過去に挫折した想いや、htmlのページ制作単価が下がった状態を考えて、再度インターネットに取り組む姿勢が失せた会社もある。しかし、過去に挫折していない新たな会社にとっては、面白い市場であるようだ。振り返るとほんの数年で、WEB制作を取り巻く状況が変わっているので、ほんとに過去の経験が意味をなさないことがわかる。つまり、いつでも新たな気持ちで取り組むのでなければ、こういう仕事はできないということでもあろう。

WEBがビジネスになりそうであるといっても、過去のhtmlタグをつけてページを作っていた時代とは、いろんな意味で異なる能力が必要とされるようになった。ECを前提にすると認証や決済などセキュリティからみのちゃんとしたシステムの上にWEBが構築されることになり、個人のホームページの制作経験だけでは仕事はできない。これはその筋の専門家に頼めば良いことであるが、印刷会社としてECをする際のセキュリティやポリシーを理解して取り組むと言うような意識の変革が必要になる。

またコンテンツ加工に関しては、ビジュアル面はDTPと同じようにイラストレータやフォトショップでできる部分が主であろうが、加工作業の速度は印刷の納期の感覚では追いつかず、場合によっては24時間体制ということもあり得る。つまりSOHO的個人で請け負うのは限界があり、ちゃんと業務管理されるところが信頼を得るようになるだろう。

コンテンツのなかで文字の処理は、紙の出版やデータベースなどとの連携で、しかもコンテンツに変更が起こってからWEBの方を優先で作業するような流れになるので、やはり手作業でのhtmlには限界があり、電算写植のときでもawk、perlなどのスクリプトで処理をしていたような、自動処理能力が求められることになる、当然情報の入っているデータベースにアクセスする知識も必要になる。

グラフィックのパーツ作りはツールの充実が期待できて、従来と同じようにできるといったが、解像度/フォーマットなどはやはり自動処理ができないと「品質保証」できないだろう。ページレイアウトはテンプレートのデザインになり、これもツールを使うことでデータベースの中の情報との関連付けくらいは簡単にできるようになる。しかしこれらのメカニズム全体の理解がないと、作業の輪には入っていけないであろう。

今あらためて印刷はWEBの情報発信に非常に近い所に居るように感じる。WEBも印刷の仕事をする上で必須であると考えて、しかも印刷の業務とのよい連携ができるようなメカニズムの理解をし、リーダーシップを発揮できるように励むべきであろう。

2000/11/26 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会