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印刷会社を超える組織 printing interprise

Mills Davis, VP printCafe  PAGE2001基調講演のためのメッセージ

インターネットが戸口までやってきて、けたたましくドアをノックする。昨年アメリカで起こったさまざまな出来事は、印刷出版業界に「さあ、起きろ!」と叫んでいるようである。
過去の印刷会社はもっぱら印刷製版などの製造設備に投資をしていて、ビジネスの前線である B2B や、ビジネスの背後にある ERP とか MIS にはあまり投資してこなかった。

印刷業界の次ステップの姿は printing interprise である。このネットで会社を拡張した印刷組織の中では、印刷部門も顧客も誰もがオンラインで一緒に仕事をし、それぞれのシステムはリンクされ、互いに補完しあう。printing interprise の構成要素は、インターネットを介して統合され管理されるデジタルサービスであり、以下の五つに大別できる。

・ コンピュータと通信インフラ
・ 管理システムと情報
・ コンテント-メディアのバリューチェーン
・ 顧客からサプライヤまでのB2Bソリューション
・ 知識の共有

コンピュータと通信インフラ

印刷会社にとってITはコアコンピタンシになったのである。コストを削減するためだけではなく、戦略的な必要性がある。デジタルを身につけよう。会社のコア機能はデジタルにしなければならない。中途半端ではいけない。アナログとデジタルの共存期間から抜け出よう。ネットワークを身につけよう。社内全域のイントラネット、外部とのエキストラネット、完全なインターネット接続を導入しよう。高速大容量に向けて投資しよう。

管理システムと情報

printing interprise の基礎は、印刷会社を支える管理システムであり、ERP、MIS、MRPなどと呼ばれているものである。これによって印刷会社はインターネット上でともにビジネスをする皆と協調し、仕事、プロジェクト、資産、資源、関係の把握ができるようになる。印刷ビジネスのあらゆる部分にわたって、統一的な情報環境を構築しなさい。これは管理システムの基盤であり、ビジネスを共通にし、リアルタイムに運用上の情報を提供することができる。

コンテントとメディア

コンテントからメディアに至るプロセスで印刷会社は価値をつけられる。これは、印刷会社と顧客とサプライヤが一緒にプランニングするところから、マスター情報を作りコンテントを管理し、校正・確認をし、複製を作るとか印刷以外のメディアを作るとか、フルフィルメントや最終商品の流通、結果の計測や報告など、多岐にわたるプロセスがある。アイディアの段階から配送まで、これらのプロセスはデジタルになり、速くなり、データベースで駆動されるようになる。
しかしネットワークを経由することで、顧客やサプライヤのニーズを受けてワークフローは変わってしまう。制作や印刷の会社をまたがってシステム的にこなれるように、バリューチェーンをデジタル化し、統合し、自動化しよう。バリューチェーンの中の、特にプランニングから、コンテントの創造、デジタルアセット管理、制作ワークフロー、フルフィルメント、サービスの効用の測定などにおいて、リポジトリ管理が鍵になる。社内の管理システムの基盤と、これらのバリューチェーンのサービスをリンクし、統合しよう。

B2Bプロセス

印刷会社や他の業者が一緒にビジネスをする時の活動の環がB2Bである。印刷会社は顧客やサプライヤにどう売り込んで関係を築くかのことで、引き合いや提案の応酬、見積もりのやり取り、交渉と合意の形成、受発注、作業状況の追跡と報告、商品やサービス提供の通知や受け取り、請求と支払い、仕事の評価などがB2Bである。
顧客とリンクして互いの管理システムを統合し、バリューチェーンのソリューションになるような、包括的なB2Bの方法を開発し発展させよう。ECに心配する必要はなく、より強靭な顧客との関係管理を促進することを気にかけよう。例えば、クロスセルやトータル顧客サービスをサポートする共通の方法のプレゼン、バリューチェーン全域にわたるコラボレーションやコンテント/メディアのサービスの提供、B2Bサイクルのトランザクションや状況把握、管理/報告ができるようにすること、顧客管理/コンテント/調達/ERPシステムを今後統合すること、などである。

知識の共有

印刷会社と顧客とサプライヤの間でお互いに交換される知識や、互いに補完し合うようにシステムの中に埋め込まれた知識など、ネットワークで結ばれた印刷の interprise はそれらの知識の上に成り立っている。共有された知識が、B2Bやコンテント/メディアと管理プロセスの統合を可能にする。知識共有の例としては、
・ ビジネスや製品やサービスのディレクトリ
・ ビジネスのルール
・ 製品の仕様
・ セキュリティとアクセス権
・ 技術やプロセスや製品の標準
・ 効果測定
などである。新たな機会がそこまできているのだ!

PAGE2001コンファレンス

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2001/01/25 00:00:00


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