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体質強化が第1の印刷eビジネス



印刷ビジネスを考えると、顧客からいかに仕事を受注し、いかに効率よく生産を行い、また必要な資材などを無駄なく調達して行くかということになる。
今、ECとかITを実際に検討を行うには、印刷会社の中がいかにEビジネスになっているかが問題になる。これは、部門間、個人間を含めてeビジネスの土台が問題にある。顧客との最前線にあたる営業部門ではCRMと呼ばれる顧客対応へのアプローチがあり、またそれを支える工程管理、業務管理が後ろ側に控えている必要がある。さらには、社内を発注から生産、納品までをトータルで最適化しようというERPのような考え方も必要になる。このようなアプローチを社内で行ってこそ外へのEビジネスとして、積極的に展開の可能になってくる。
PAGE2001の印刷ビジネスのIT戦略セッションでは、会社内のビジネスの仕組みを変えつつ、顧客を含めて外へいかに展開していくのを考え実施している会社3社のアプローチについてお話を頂いた。

ERP、EC対応を模索する「受託加工業からシステム供給業への転換」
まず、ERP、EC対応ということで、社内のBPRへ取り組み、ISO9001認証取得から10ヶ月を経て、今どのような展開を行っているかを、(株)広告製版社の伊東社長様よりお話があった。
ISOの認証に取り組む前に、ロジスティクス、サプライチェーンマネージメント、ナレッジマネージメント、アプリケーションサービスプロバイダーという経営手法をつまみ食いをすることにより、さらにISOの導入により管理の基準が国際的に通じる安心感やさらに顧客満足度や品質の継続的な改善を行うことができた。
顧客の受注から時間と品質設計、工程管理、デザインDB編集、媒体編集、送稿という流れをサプライチェーンマネージメントにより、省力、低コストを実現してきた。
さらにBtoBという観点から新しい顧客とのつながりとして、スキルデータの活用による顧客満足度の向上を考えている。これは、顧客から支給されるすべての加工素材や情報は、顧客の経営資産と認定し、加工終了時点までは預かり品であり、終了後は変換するシステムを導入する。これは、加工に要したスキルデータや履歴データはすべて顧客の資産としてプールし、顧客の必要時に利用してもらうアクセスサービスとして提供する。
これは顧客とのインタラクティブな関係を発展させて、顧客別にサービスを利用でいるシステム供給と個別料金という考え方になってくる。

ナレッジのデータベース化による営業業務の生産性向上
続いては、営業業務の改善を目指して、社内情報をデータベース化しさらにはナレッジマネージメントへのアプローチを行っている大東印刷工業(株)の佐竹専務よりお話があった。
営業業務のデータベース管理の目的と背景には、営業部門の世代交代に伴い、業務管理をアナログからデジタルへという考え方がある。例えば、今までのOJT的に行われてきた新人営業教育をシステム化して、短時間で営業活動を身につけさせるとか、営業が行っている業務のルーティンワークの部分を効率良くするなどがある。
また、営業個人が持っていたスキルを営業部門全員で共有し、また無駄な重複などを含め、外注経費や用紙経費の無駄を削減することが目的にある。
生産業務のデータベース管理と目的と背景には、社内でかかる製造経費の数値化、オペレータの能力把握とモチベーション向上、人事評価の定量化などである。
このようなデータベース化の導入により、新人営業教育のシステム化を始め、いろいろな面で効率が上がった。またナレッジの共有という面では、営業個人の得意、不得意が無くなり、レベルが向上している。それ以外にも実際に外注費や用紙費用の削減に成功し、オペレータの作業がスピーディになるなどの効果があった。

デジタル情報を用いて、取引コストを限りなくゼロに近くする
また、社内の情報共有化を推進し、さらには受発注をシステム化して取引コストを限りなくゼロに近くするということを目標で、社内IT化を推進している不二印刷(株)の井戸常務からのお話があった。
システム的には、情報系と基幹系とある。情報系は、ノーツを導入してイントラネット構築を行っている。また基幹系としては、サーバにオラクルを利用した受発注システムを構築している。
ノーツの利用としては、経営状況、営業日報・報告、好事例情報、トラブル情報などを共有するのに利用している。社員全員に、ログインを行うといきなり経営状況として、売り上げなどのグラフが出てくる仕組みになっており、売り上げや経営に対する意識を高めている。受発注システムは、定型業務支援、見積もりから受発注、工程管理までが対象となっている。
これらのシステム化の効果としては、プラニングの時間短縮、流用データのトラブル減少、クライアントとの結びつきの強固などがあり、今後はこの2つを統合し、原価管理の徹底を行うことにより、日次決算の実現、将来的にはERPを目標としている。

基本的には、3社に共通しているのは、社内業務を流れを含めてどこまで効率的に行えるのかという点と、顧客との結びつきをサービス化を含めてどこまで強固にしていくのかという点がある。そしてそれに対して、ITを利用したシステム化を行うというアプローチである。
実際には、業務形態や顧客層がそれぞれ異なるため、ポイントはかなり違うように思える、目指しているのは顧客から受発注を得て、生産して納品するまでどのように一気通貫の仕組みにできるかという思想である。

PAGE2001

2001/02/25 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会