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FAのためのデータ管理

PAGE2001カンファレンスのC2セッション「FAのためのデータ管理」は、モデレータに室蘭工業大学の三品博達氏、スピーカーに大日本印刷(株)の江川裕仁氏、および(社)日本印刷技術協会山内亮一常務理事の3人で展開された。最初は山内から簡単なAMPACの概説とその意味について説明があり,つづいて三品氏からAMPACの詳しい考え方と説明がなされた。

●AMPACとは
将来の産業のありようを考えるとき,「知識」を集約するだけではなく,「知恵」を活用して協調するための基盤が必要となる。それはコミュニケーションによる協力関係としてネットワークを構築し,それによって高度の自動化を達成するということでもある。知識を蓄積し,系統的なシステム認識やパラメータ整理などを行って知恵のデータベースを作る必要があるが,AMPACはそのようなデータベース構築の有効な手段となりうる。
AMPACとは,database Architecture Model and control PArameter Coding for process control and workflowの略で,データ要素の記述法とデータセットの作り方を決め,系統的に整理されたパラメータリストとパラメータの単位・値のリストを決めたものである。
データベース利用についてはXMLが話題だが,AMPACは理想的なDTDの作成指針を与えるもので,表やパラメータ関連が内包でき,知恵への発展形態が内包されているという意味でXMLの弱点をカバーするものといえる。

●FA/CIMに望まれるもの
大日本印刷の江川氏のお話は江川氏の考えるFA/CIMの要件とはなにかということである。
FAとは生産機械の自動化および生産諸機能の支援を意味する。CIMとは製造企業のすべての業務における「物と情報の統合システム」のことであり,具体的には多品種・少量・短納期に対応するための仕組みである。たとえば,
@設計(CAD)という機能においては部品の標準化やデータベース管理,
A製造(NC,FMS)では工程間の連携強化,
B生産管理(MRP)では作業の平準化
などが必要になる。

これを製版・印刷分野にあてはめると,

@設計に対応する要素としては割り付け・台割・校了紙・製本仕様,
A製造なら製版・校正,刷版,印刷,加工,
B生産管理なら進捗管理,予定組み
などがある。

現状のFA/CIMは,物にしろデータにしろ自動搬送系が中心で,局所的に実現している段階といってよい。また,設計情報を製造機器につたえる手段が成熟していないし,製造機器の制御機構との連携も不足している。
FA/CIMの望ましい姿とは,処理系・加工系と搬送系を自動化すること,そして局所的でなく工程横断的な実現をめざして設計情報から最適な製造指示を伝達すること,さらには製造機器の状態を把握しフィードバック制御する仕組みである。これを実現するためには,何をどこでどれくらい処理するかというプロセスを記述するデータフォーマットが必要である。そして,それを解釈して実行する仕組み,および製造機器側の制御機構との連携が必要になる。

ディスカッションでは,おもに江川氏の問題提起に対するAMPACの有用性が議論されたが,AMPACそのものをご存知ない参加者も少なくなく,どちらかというとAMPAC自体についての話が中心となった。しかし,江川氏の投げかけた問題はたいへん示唆に富むものであり,AMPACとは別にあらためてきちんと議論する必要がある。

PAGE2001報告記事

2001/03/08 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会