WebをDTPの延長で捉えるのは命取り
〜トータルメディアコーディネータの機能を〜
印刷とWebは強力な連携メディアとなり、印刷会社にもクライアントから広報・宣伝等様々な領域でWeb活用の要望が寄せられるようになりました。クライアント側がトータルなメディア活用を志向し始める中で、「ウチは印刷会社 だから・・・」と印刷以外のメディアを回避することはもはや不可能と云っても過言ではありません。しかしこの新しいメディアに対して、提案面や制作体制面など一体何から手を付けたらよいのか戸惑われている方が多いというのが現実ではないでしょうか。
また一方で早くからWebの受注体制・制作体制を整備してはみたものの、クライアントへの提案の切り崩しがうまく行かなかったり、自社のビジネスとして成立する受注に繋がらないというケースも耳にします。
Webの画面をきれいに作ること、デザインを行うことはDTPのノウハウの延長で可能かもしれません。またWeb上でビジネスを行うために受発注の仕組みを用意したり、クライアントと顧客のコミュニケーションの仕組みを用意することは出来るかもしれません。しかしここで行っていることはメディア制作ではなく「ツール制作」に過ぎません。印刷物にも増して費用対効果が問われるWebを安請け合いして、後日「全く反応がない」「売上が上がらない」などと責任の矛先が印刷会社側に向かって来てクライアントとの関係がぎくしゃくしてしまうということも現実に起こっています。
印刷にせよWebにせよメディアを生業とするのならば、クライアントの目的に対して如何に効果的であるか、つまり如何にレスポンシブルであるか、如何に費用対効果に優れているかが重要なのです。その視点あってこそのデザイン、システムであるべきです。「クライアントは印刷物が欲しいのではない。その印刷物を用いて得られる効果が欲しいのだ」とはよく耳にする言葉ですが、Webにおいてもその意味を噛みしめる必要があります。
今、印刷会社には「トータルメディアコーディネータ」という機能・人材が求められているという実感があります。これまでコアとしてきた印刷メディアのコーディネーションに加え、Webを中心としたデジタルメディアを含めたトータルな企画・提案のプロデュース能力そして制作のディレクションを理解した人材育成、体制作りが急務なのではないでしょうか。
JAGATではその一環として7月から「
Webメディアコーディネーションシリーズ」と題して、Webメディアのプロデューサ、ディレクタなどそれぞれの能力・目的に合わせた総合的な研修プログラムをご用意し、順次企画化、実施を行ってまいります。ご期待下さい。
2001/05/28 00:00:00