◆「経営シンポジウム2001」基調講演 主旨
講演:塚本 芳和 氏 <元(株)電通/常務取締役、(株)エレクトロニック・ライブラリー/相談役>
1.日本に、T型フォード以来の工業化時代のマーケティングがアメリカから輸入されたのは、1955年、ちょうど高度経済成長期のスタートの時点であった。日本の近代工業化の成長とともに、日本のマーケティングは進化してきた。
2.ほぼ10年ごとに変わる日本人の価値観やライフスタイルの進化が、マーケティングの形態やコンセプトを変えてきた。
3.マス・マーケティングの時代から、ターゲット・マーケティング、そして90年代後半から、ITの進歩と絡まって、ワン・トゥ・ワン・マーケティングへと主軸は移ってきており、「顧客」から「個客」へ、さらにそれを表現したのが、ライフタイムバリュー(LTV:生涯価値)戦略である。
4.マーケティングという考え方を、企業の戦略としてだけではなく、行政や労働組合、学校、病院といったいわゆる非営利組織などにも応用し始めている。政治の世界にも適用されることになるだろう。
5.ITの進化とともに、社会は情報化時代を迎えつつある。情報化時代のビジネスやマーケティングは、工業化時代とは異なった原則によって行われることが予想される。そのコンセプトは「顧客主義」であり、逆マーケティングである。
6.顧客と企業の関係が逆転し、売り手から買い手にパワーシフトが起こることとなり、このバランスの変化が、工業化時代のマーケティング発想や実践に変化をもたらし、マーケティングの主要概念、マーケティング・プロセス、マーケティング組織の変革を迫り、本当の「顧客本位」のマーケティング活動が展開されることになるだろう。
7.現在は、工業化時代から情報化時代への進化の過渡的、段階的な時代である。これからの変化は、個々の企業にマーケティング・イノベーションを迫ることとなる。
8.マーケティングにおける経営の役割は、時代の潮流をしっかり見極めて、社内の統合をはかることにある。
9.このような「情報化社会への変化」の中にあって、あなたの会社はどのような状況にあるのか、現在実践しているマーケティング活動の根底にある「基本的な仮定」について、洗い出す時期である。
マーケティングは「自分を知る」ことから始まる。
<基調講演の骨子>
「マーケティングの変遷」
⇒「マーケティングの基本概念」
⇒「マーケティングの戦略」
⇒「マーケティングの新しい概念」
⇒「人材」
▼ 講師略歴
塚本 芳和(つかもと・よしかず)氏
元(株)電通/常務取締役、(株)エレクトロニック・ライブラリー/相談役
1930年東京生まれ。1954年東京大学農学部卒。1959年農学博士号取得。
同年(株)電通入社後、調査、マーケティング、連絡、システム開発、総合開発、総合計画室などを経て、1983年メディア開発局長に就任。以後、1987年取締役・総合計画室長、1989年常務取締役を歴任。1995年顧問と同時に(株)エレクトロニック・ライブラリー代表取締役社長に就任し、1999年、同社相談役、現在に至る。
著書に、「電子メディアの近代史」「マルチ・メディア曼荼羅」他、多数。
2001/08/23 00:00:00