品質と環境の2本柱へ
〜ISO9000運用アンケート報告(第1回)〜
ISO先行企業の中には、ISO9000というマネジメントシステムの手法・仕組みを他にも活用して、規格の対象を広げようという企業も増えてきた。それらに取組むことで、企業としての管理基盤(経営姿勢の具現化)の整備を進めようということかも知れない。
今回は「ISO9000認証取得後の運用状況についてのアンケート調査」から「ISO9000以外に予定(あるいは取得)している印刷関連のマネジメントシステム」導入状況についてみてみよう。
●環境ISOへの高い関心、取得企業が30%、予定が34%。
現在品質ISOと双璧をなすのが環境ISOであるが、本アンケート調査では、回答企業(64件)の約3割19件がすでに環境ISOを取得している。これに取得予定(行動している)企業34.4%も加えると、41件64.1%が2つのマネジメントシステムを運用、あるいはすることになる。さらに思案中も加えると86%が関心を持っていることになる。このような高い関心を示している環境ISOと好対照なのがJIS 15001(プライバシーマーク制度)で、「当面考えていない」企業が53.1%、不明(ノーコメント)が31.3%で合わせて84.4%が無関心という状況である。このような中でも、すでに取得している企業が4件(6.2%)、予定が4件(4.7%)ある。
JIS15001は個人情報保護のための規格で、これからの情報社会にあってバリアブル印刷あるいはオンデマンドによるいろいろな電子印刷を利用したダイレクトメールや種々の申込書などの個人帳票、個別学習テキスト・ドリルの作成、あるいは1to1のためのデータ加工、Webビジネスの制作・設計などITを利用したビジネスを展開しようとする印刷会社にとっては、クライアントへの信頼と社内体制の整備には、今後欠かせないマネジメントシステムである。本アンケート回答企業で、品質・環境・情報の3つのマネジメントシステムを取得・運用しているところは、T社(東京)とD社(新潟)の2件のみであった。思案中を含めても、8件であった。
その他、セキュリティーマネジメントシステム(ISO17799あるいはBS7799)については、従来の情報システム安全対策実施事業所認定制度(安対制度)を廃止し、ISO17799あるいはBS7799規格を参考に「情報セキュリティーマネジメントシステム適合性評価制度(ISMS)」が開始され、今後は重要なマネジメントシステムの一つになるであろう。特にWebをビシネス対象としたり、クライアントのデータを預かり、加工処理、保管を生業とする印刷業にとってセキュリティーは一般企業以上に重要な運用技術となる。本アンケートでは、まだ思案中が3件(4.7%)に留まっている。
労働安全衛生については、工場を持つ印刷会社としては昔から安全に配慮した教育を行なってきたが、労働安全衛生システム(BS8800:英国規格)のようなシステム規格として導入している企業は少ない。厚生労働省による労働安全衛生法の改定やISO/IECガイド51機械の包括的安全基準の指針」が本年6月に発表され、印刷機械についても安全規格(ISO12684)が制定されようとしていることから、今後、印刷工場での労働安全衛生への関心も高まるであろう。本アンケートでは、導入予定が2件(3.1%)、思案中が7件(10.9%)という結果であった。
■ISO9000あるいは印刷に関連するマネジメントシステムの導入あるいは予定(括弧内は件数)
マネジメントシステム |
導入済み
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予定
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思案中
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当面なし
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不明
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環境(14000)
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29.0%(19)
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34.4%(22)
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21.9%(14)
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10.9%(7)
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3.1%(2)
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JIS15001
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6.2%(4)
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4.7%(3)
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4.7%(3)
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53.1%(34)
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31.3%(2)
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ISO17799/BS7799
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0.0%(0)
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0.0%(0)
|
4.7%(3)
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56.3%(36)
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39.1%(25)
|
BS8800
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0.0%(0)
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3.1%(2)
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10.9%(7)
|
51.6%(33)
|
34.4%(22)
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