ISO事務局の6割は兼任業務、部署名に「品質」を表示
〜ISO9000運用アンケート報告(第3回)〜
ISO事務局はISOを実質的に支えリードする参謀本部であり、その役割は大きい。ことに認証受審までの準備は並大抵の業務ではない。この事務局スタッフが1年を経過するなかでどのような位置付け、体制で業務遂行をしているのであろうか。今回は、機関車役である「事務局スタッフ」について取り上げる。
【ISO事務局のスタッフについて】
〜兼任か専任か〜
●事務局のスタッフの6割が兼任
まずISOは専任業務なのか兼任業務なのか。「兼任」が57.8%、専任は29.7%。専任と兼任の割合は約1:2である。また「混成」企業が12.5%ある。専任者の割合が多いか少ないかは、企業事情によってかなり違ってくるのでなんともいえない。専任者のいる企業を規模(対象人数)でみると9割(89.5%)が101人以上の規模のところで占めており、専任者企業の規模が大きいことがハッキリするが、逆に規模が大きい企業(対象人数)イコール専任者かというとそうはなっていない。兼任者の企業で規模(対象人数)が101人以上の企業が51.3%(19件)もあり、事業所数の絶対比較では、専任者の企業の17件(対象人数101人以上)を上回っている。ISO業務の専任か兼任かは規模にはあまり関係がなさそうである。
■品質ISO事務局業務について
専任/兼任
|
事業所数
|
%
|
ISO事務局は専任 |
19件
|
29.7%
|
ISO事務局は兼任
|
37
|
57.8
|
ISO事務局は専任者と兼任者の混成 |
8
|
12.5
|
〜事務局人数は?〜
●約7割の企業が1人ないし2人
「1人」が31.3%、「2人」が35.9%で、1人ないし2人で7割弱(67.2%)を占めている。4人以上の企業が12.5%(8件)あるが、人数が多いからといって必ずしも規模(対象人数)が多い企業ではなく、100人未満と以上の企業は半々である。この4人以上の事務局スタッフのうち75%(6件)が兼任で、混成、専任はそれぞれ12.5%(1件)であった。
■ 品質ISO事務局人数は?
事務局人数 |
事業所数
|
%
|
事務局人数1人 |
20件
|
31.2%
|
事務局人数2人 |
23
|
35.9
|
事務局人数3人 |
9
|
14.1
|
事務局人数4人以上 |
8
|
12.5
|
不明 |
4
|
6.3
|
〜事務局ポジションの推移〜
●事務局の位置付けは各社各様
ISOの事務局は取得後どのようなポジションにあるのかを尋ねたところ、「ISOの取得後正式部署に」(7.8%)あるいは「スタート時点で専門の部署に」(28.1%)なったという、いわゆる部署の独立化が合わせて35.9%である。事務局を「プロジェクトとして運営し、仕事は兼任」であるところが32.8%、「取得まではプロジェクトとして運営し、取得後は既存の組織内に移行」したところが29.7%と大きく3つに分かれている。
■品質ISO事務局ポジションの推移について
事務局ポジション |
事業所数
|
%
|
取得後、プロジェクトは解散し、運営は既成組織内に移行 |
19件
|
29.7%
|
取得後もプロジェクトとして運営、仕事は兼任 |
21
|
32.8
|
取得後、プロジェクトは正式な部署になった
|
5
|
7.8
|
スタート時点で専門部署を設置、その後も継続 |
18
|
28.1
|
不明 |
1
|
1.6
|
〜事務局の部門名称は?〜
●約6割が部署名に「品質」を明示
品質保証部<課・室>(21.9%)、品質管理部<課>(18.8%)、品質検査部(1.6%)、品質ISO推進部(12.5%)、その他、品質保証/地球環境推進室、ISO/TPM推進グループ、ISO9002推進室、ISO事務局など、なんらかの形で「品質」を明示している企業は全体の6割に達している。それ以外では、総務・管理(18.8%)が最も多く、生産管理(6.3%)、社長室、あるいは経営企画室(4.7%)技術部(3.1%)、企画部(1.6%)、製造部(1.6%)、委員会制(3.1%)などがある。「ISOの取得後正式な部署」あるいは「スタート時点で専門の部署」になり、そのまま継続して独立部署となった企業の74%に「品質」あるいは「9000」の名称が使われている。また、製造あるいは総務・管理部門に所属しているが専門の係りとして活動しているところもあり、やはり「品質」の名称を使っている。
■品質ISO事務局を運営している部門名は(複数回答)
事務局の所属部署名 |
事業所数
|
%
|
品質保証部(課・室) |
14件
|
21.9%
|
総務部あるいは管理部 |
12
|
18.8
|
品質管理部(課) |
12
|
18.8
|
品質ISO推進部 |
8
|
12.5
|
その他(製造部、品質保証・地球環境推進室・
委員会制、ISO・TPM推進G 他) |
6
|
9.4
|
生産管理部 |
4
|
6.3
|
社長室、あるいは経営企画室 |
3
|
4.7
|
技術部 |
2
|
3.1
|
企画部 |
1
|
1.6
|
品質検査部 |
1
|
1.6
|
不明 |
1
|
1.6
|
〜ISOの管理責任者は誰か?〜
●品質保証部門長か工場長か
ISOの管理責任者には「品質保証部門の長」(31.3%)か、あるいは「工場長クラス」(28.1%)かの2つに分かれている。事務局の所属する部署の長が管理責任者であるパターンが多く、「品質」あるいは「9000」表示部署(60.9%、39件)の5割が所属長の「品質保証部門長」を管理責任者としている。事務局が総務・管理部署に所属している場合の管理責任者も、その41.6%が総務・管理部門長になっている。一方工場長(あるいは技術担当役員)を管理責任者にしている場合の事務局の所属は、「品質」あるいは「9000」表示の部署が56.5%、「総務管理部門」が26.1%となっている。
■ISOの管理責任者は誰ですか?(複数回答)
ISOの管理責任者 |
事業所数
|
%
|
品質保証部の長(部長クラス) |
20件
|
31.3%
|
工場長クラス |
18
|
28.1
|
技術・生産管理部門の長 |
6
|
9.4
|
技術担当の取締役 |
5
|
7.8
|
総務・管理部門の長 |
4
|
6.2
|
総務・管理部門の中間管理者
(課長クラス) |
2
|
3.1
|
技術・生産管理部門の中間管理者
(課長クラス) |
2
|
3.1
|
営業・企画の長(部長クラス) |
2
|
3.1
|
営業・企画の中間管理者
(課長クラス) |
1
|
1.6
|
その他(専務等) |
1
|
1.6
|
不明 |
3
|
4.7
|
〜ISOの経営者は誰か?〜
●6割が実際の社長・会長である
57.8%が実際の社長が「経営者」となっており、積極的に関わっていこうとする表れであろう。社長以外では、副社長・専務・常務取締役クラス(14.0%)と技術担当取締役クラス(15.6%)とに分かれている。2000年版での「経営者」は牽引者としての役割が一層強化されており、代理ではなく自らが「機関車」とならねばならない。
■ISOの経営者は誰ですか?
ISOの経営者 |
事業所数
|
%
|
社長・会長 |
37件
|
57.8%
|
技術担当取締役クラス(工場長) |
10
|
15.6
|
副社長、専務・常務クラス(工場長) |
9
|
14.0
|
営業担当取締役クラス
(事業本部長) |
3
|
4.7
|
企画・営業担当取締役クラス
(事業本部長) |
2
|
3.1
|
総務管理・経営企画担当の取締役
(事業本部長) |
2
|
3.1
|
不明 |
1
|
1.6
|
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2001/09/17 00:00:00